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第一話 最悪のギルド!?
強敵! スカルクリーチャー
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「せりゃっ!」
先手を取ったのはナガレ。マルチスタッフを器用に振り回し、角張った腕を殴りつける。
カァン!
(ッ……か、硬え!)
骨に少しだけヒビが入ったが、まるで鉄を叩いたように手応えが無い。スカルクリーチャーが大きな腕を振り上げる!
「カカコッ!」
ブンッ……ドガァン!
「ぐわぁっ!」
長棒をかざしてガードしたナガレだったが、凄まじい衝撃に吹っ飛ばされた。ダメージが体を突き抜け呼吸が詰まる。
「くっ……くそっ、ダメで元々だ!」
しかしナガレは痛みを堪えて長棒を構え直し、振り返ろうとするスカルクリーチャーの頬を思い切りぶっ叩く! ここで自分が倒れるのは簡単だ。しかし、少女と馬を助けるためなら、この命などどうなっても良い!
「カッ⁉︎」
パワーの乗った一撃に、少しだけスカルクリーチャーが怯んだ。
「早く行くんだ……うがぁっ!」
「カカンッ!」
叫んだナガレだが回避が間に合わず、腕の反撃をくらいまたも吹っ飛ばされた。後ろにあった大岩に叩きつけられ、小さなクレーターができる。
ドガァン!
少女はすぐ逃げ出していたが、馬の方は負傷しておりゆっくりとしか歩けていない。それを少女が励ましながら、ヨロヨロと谷の出口へ進んでいく。
「ぐ……くそぉっ!」
二度も吹っ飛ばされたせいで、ナガレの格好は土で汚れている。自慢のスカーフも泥にまみれてしまったが、それでも立ち上がった。
「まだまだ……ぐぁっ!」
「ガガガッ!」
しかしスカルクリーチャーは追撃とばかりに突進し、そのままナガレを蹴り飛ばす! 今度はガードも出来ずに吹き飛び、少女がいる近くの岩壁に叩きつけられた。
バキバキバキッ!
「ぐはっ……!」
ライトアーマーが衝撃を和らげてくれたが、それでも一瞬視界が真っ赤になるほどのダメージである。うずくまった状態から立とうとしても、体に力が入らない。血を吐いたのか、口の中で生っぽい鮮血の味がする……。
「きゃあっ! し、しっかりして!」
少女が悲鳴をあげた。立ち止まっている暇があるなら早く逃げろというのに……。
「や、やめてください! このままじゃ、貴方が死んじゃうわ!」
「ぐ……っ! うおぉっ!」
少女の悲痛な言葉も無視して、ナガレは自力で立ち上がりスカルクリーチャーに向き直る。スカルクリーチャーはついにナガレのことを明確に『敵』と認識したようだ。腕を回しながら、こちらにのっしのっしと近づいてきた。
「はやく……はやく、逃げるんだ……ここは、オレが……!」
この言葉をうわごとのように繰り返す。意識が朦朧として、足元がふらついた。
(でも、あと数発は耐えられる……オレが、時間を稼ぐんだ……!)
「カカコ……ッ」
スカルクリーチャーはゴツゴツした拳を握りしめた。そしてナガレに向かって強力なパンチを放つ!
ギリギリギリ……ダァンッ!
「ぐあぁぁぁっ!」
必死で長棒を前に構え受け止めようとするが、まるで砲弾のような一撃をガードできるわけがない。直撃こそ避けたが持ち堪えられず吹き飛び、地面をゴロゴロ転がった。
「うっく……!」
今度こそ立ち上がれない。指先一本動かす力も残っていなかった。仰向けの状態から顔を上げると、こちらに迫ってくるスカルクリーチャーの大きな姿がよく見える。
(あの子、逃げられるかな? いや、自分の心配をするべきか……)
心の中でため息をついたナガレ。
(オレはもう、ゲームオーバーってところか……最後に誰かの役に立てたのかな?)
スカルクリーチャーはナガレの前で立ち止まり、拳をギリギリ握りしめた。そして頭上に腕を振り上げる。その様子をナガレは黙って見上げるしかなかった。
砂煙をバックにこちらを睨みつけるスカルクリーチャー。パラパラ落ちてくる石などの破片が、骨の体にぶつかっては跳ねていた。たくさんの石ころが……。
(……ん⁉︎ あ、あれは⁉︎)
突然ナガレの目に異変が映った。スカルクリーチャーの後ろから、一つの影がこちらへ走ってくる。落石だろうか? いや……あれは人間だ!
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