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第28章~魔剣士の台頭~

第10話

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「よおぉし! 行くぜ!」

 アロイスが気合いの雄叫びを上げる。それで会場の熱気も一緒に高まった。

 ――アロイス、頑張れ……!

 アクセルも心の中で応援する。ドラコだか魔剣士だか知らないが、あんな新人に負けないで欲しい。

『死合い開始十秒前、九、八……』

 ヴァルキリーのカウントダウンが始まった。会場も静かになり、独特の緊張感が漂い始める。アクセルも自然と手を握り締めていた。

『三、二、一……スタート!』

 開始と共に、アロイスの闘気がぶわっと膨れ上がる。

 早々に狂戦士モードに入ったのか、大剣を振り上げてドラコに斬りかかる。

「ぅおおおっ、りゃああぁ!」

 だが大剣が振り下ろされる瞬間、今まで動かなかったドラコが鞘に入ったままの剣を掲げた。

 大剣は見えない壁に阻まれるようにバチーンと弾かれ、いとも簡単に吹っ飛ばされて観客席まで飛んで行った。そして張られていた透明板にぶつかった。

「はっ……!?」

 予想外の出来事に、アロイスもやや動揺している。

 そんなアロイスに向けて、ドラコは素振りするように剣を振り下ろした。

 振り下ろした剣からは巨大な火球が現れ、勝ち誇ったようにアロイスに向かって飛んで行った。

「な、なんのこれしき……っ!」

 武器がなくなっても、徒手空拳で火球を止めようとするアロイス。

 だが身の丈の三倍以上もある火球の勢いには勝てず、アロイスはそのまま火球に飲み込まれて壁際まで叩きつけられた。

 ドカーン、と激しい爆発音が響き、会場全体が煙と爆風に覆われた。
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