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第26章~狩りの引率~

第23話(フレイン視点)

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「自力で動けないのかい? じゃあそのままでいるしかないね」

 這いつくばっている新人の側に寄り、上からにこりと微笑みかける。

「弟を棺に入れて、他の人の話を聞いて、それでも時間が余ってたら迎えに来てあげるよ。まあ、その前に獣に喰われちゃうかもしれないけど」
「っ……!?」
「この場で生かさず殺さずの拷問をするより、ずっと優しいでしょう? せいぜい生き延びられるといいね」
「まっ……!」

 その後も何やら新人が後ろで喚いていたが、フレインはかまわず下山した。

 他の三人も髭面の新人が気掛かりだったようだが、皆素直についてきてくれた。まあ、腕が潰れたり失くなったりしている人もいるから、他人に構っていられる状況ではなかったのかもしれないが。

「なるべく早く蘇生できる棺がいいな。空いているのはどれ?」

 オーディンの館に着くやいなや、フレインは係を捕まえて棺に案内させた。

 館の奥にある大きめの棺に弟を入れ、パタンと蓋を閉める。自分のせいだとは思わないが、何だか気が重かった。

 ――やっぱり私がこっそりついて行ってあげればよかったな……。

 過保護だろうが何だろうが、最初の嫌な予感に従うべきだった。

 そうすればどんな新人がメンバーになったのかもわかるし、スレイプニルの気まぐれ散歩にもすぐに気づくことができた。

 うちの弟は残念ながら危機意識が低く、能天気で舐められやすいので、こういったトラブルを引き起こしやすいのだ。

 呼び鈴三つだけでなく、もっと慎重に送り出してやるべきだった……。
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