上 下
2,478 / 2,669
第26章~狩りの引率~

第11話

しおりを挟む
「さすがにそれはな……。狩りの引率だって仕事だろ? 仕事場にペットを連れて行くなんて聞いたことがないよ。また怪我をさせちゃったら申し訳ないし」
「そうかい……? でも、そこまで言うならちゃんと無事に帰ってくるんだよ? お兄ちゃん、この間の熊をカレーにして待ってるからね」
「ああ、わかった」

 兄に見送られ、アクセルは家を出て集合場所の広場に向かった。

 そこには既に三人の戦士が集まっていた。

「よう、あんたも狩りに参加するのか?」

 黒髪に赤いメッシュが入った戦士が、陽気に話しかけてくる。

「オレはブラッドだ。今日はよろしくな」
「あ、ああ……よろしく……」
「にしても、引率の上位ランカーはまだかね? もう時間になるんだけど」

 と、時間を確認しているブラッド。

 ああ、これは初手から勘違いされているパターンだな……と察し、アクセルは苦笑して言った。

「全員集まったか? 今日の引率を担当させていただくアクセルだ」
「えっ……? あんたが引率するのか?」
「ああ、よろしく」

 そう挨拶したのだが、何故かブラッドは微妙な顔をしていた。

 他の新人戦士も値踏みするようにこちらを見ていたし、中には、

「はあ? こんな若造が引率するのかよ。初めての狩りなのに、あり得ねぇ」

 と、あからさまに不満の声を上げている者もいた(そいつは見た目からしてベテランの戦士だったので、余計にアクセルが「若造」に見えたのだろう)。

 ――そりゃあ俺はランゴバルト様みたいな迫力はないけど、そこまで侮らなくてもいいじゃないか……。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

侯爵令息セドリックの憂鬱な日

めちゅう
BL
 第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける——— ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。

ヤンデレ化していた幼稚園ぶりの友人に食べられました

ミルク珈琲
BL
幼稚園の頃ずっと後ろを着いてきて、泣き虫だった男の子がいた。 「優ちゃんは絶対に僕のものにする♡」 ストーリーを分かりやすくするために少しだけ変更させて頂きましたm(_ _)m ・洸sideも投稿させて頂く予定です

イケメン王子四兄弟に捕まって、女にされました。

天災
BL
 イケメン王子四兄弟に捕まりました。  僕は、女にされました。

兄が媚薬を飲まされた弟に狙われる話

ْ
BL
弟×兄

童貞が建設会社に就職したらメスにされちゃった

なる
BL
主人公の高梨優(男)は18歳で高校卒業後、小さな建設会社に就職した。しかし、そこはおじさんばかりの職場だった。 ストレスや性欲が溜まったおじさん達は、優にエッチな視線を浴びせ…

アルファだけの世界に転生した僕、オメガは王子様の性欲処理のペットにされて

天災
BL
 アルファだけの世界に転生したオメガの僕。  王子様の性欲処理のペットに?

モブ男子ですが、生徒会長の一軍イケメンに捕まったもんで

天災
BL
 モブ男子なのに…

処理中です...