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第22章~トーナメント・第五死合い~
第65話※
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「上等だゴルァ! 誰が半人前のクソ狂戦士に負けるか!」
激昂したまま、ナダルが仕込んだ矢を一斉射撃してくる。
アクセルは残った力を掻き集め、二振りの小太刀を思いっきり振り下ろした。
「……ハアァッ!」
小太刀から巨大な風の刃が飛び出してきた。それはスタジアム全体を這うように移動し、真っ直ぐナダルに向かっていった。
「げっ……」
ナダルの小さい呻き声が聞こえた。
スタジアム全体に及ぶ風の刃を回避する術はなく、ナダルは首と胴体を切断されてあっさりと絶命した。
ナダルを切り裂いても風の刃は止まらず、観客席の一部を破壊してようやく勢いを失った。
『死合い終了! 勝者、アクセル! 遺体回収班は遺体を回収してください』
ヴァルキリーの声が降ってきたことで、張り詰めていた気持ちがふっ……と緩んだ。
それで一気に力が抜け、アクセルはどっ……とその場に膝をついた。上半身を丸めて蹲り、荒っぽい呼吸を繰り返す。
「はぁ……はぁ……」
全身が痺れる。熱いし、下肢が疼いてたまらない。
直接見なくても勃っているのがわかるから、このままでは恥ずかしくて立ち上がれなかった。
ああ、どうしよう……。こんなんじゃ、誰かに触れられただけで軽くイってしまう。
せっかく勝ったのに、こんな恥ずかしい姿を大勢の前で晒してしまうなんて……。
「アクセルさん、大丈夫ですか?」
遺体回収班の一人が、親切に声をかけてくる。
その気持ちはありがたかったが、今はなるべく近づかないで欲しいというのが本音だ。
もう薬が全身に回りまくって限界だ。兄上、早く来て……兄上……!
激昂したまま、ナダルが仕込んだ矢を一斉射撃してくる。
アクセルは残った力を掻き集め、二振りの小太刀を思いっきり振り下ろした。
「……ハアァッ!」
小太刀から巨大な風の刃が飛び出してきた。それはスタジアム全体を這うように移動し、真っ直ぐナダルに向かっていった。
「げっ……」
ナダルの小さい呻き声が聞こえた。
スタジアム全体に及ぶ風の刃を回避する術はなく、ナダルは首と胴体を切断されてあっさりと絶命した。
ナダルを切り裂いても風の刃は止まらず、観客席の一部を破壊してようやく勢いを失った。
『死合い終了! 勝者、アクセル! 遺体回収班は遺体を回収してください』
ヴァルキリーの声が降ってきたことで、張り詰めていた気持ちがふっ……と緩んだ。
それで一気に力が抜け、アクセルはどっ……とその場に膝をついた。上半身を丸めて蹲り、荒っぽい呼吸を繰り返す。
「はぁ……はぁ……」
全身が痺れる。熱いし、下肢が疼いてたまらない。
直接見なくても勃っているのがわかるから、このままでは恥ずかしくて立ち上がれなかった。
ああ、どうしよう……。こんなんじゃ、誰かに触れられただけで軽くイってしまう。
せっかく勝ったのに、こんな恥ずかしい姿を大勢の前で晒してしまうなんて……。
「アクセルさん、大丈夫ですか?」
遺体回収班の一人が、親切に声をかけてくる。
その気持ちはありがたかったが、今はなるべく近づかないで欲しいというのが本音だ。
もう薬が全身に回りまくって限界だ。兄上、早く来て……兄上……!
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