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第20章~トーナメント・第三死合い~

第90話

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「タアアァァッ!」

 風の刃で周囲を晴らそうとしたら、再び視界が開けてきた。

 何だかよくわからないが、やられっぱなしはよろしくない。

 そろそろこちらも仕掛けなければ……と思い、チェイニーを捜そうとしたのだが、

「……は……?」

 自分が今いる場所は、スタジアムではなかった。

 何もない草原に、一人ぽつんと取り残されている状態だった。

 ――え、ちょ……なんで……? ここどこ……?

 動揺し、周囲を見渡す。

 そこは本当にただっ広い草原で、人の気配どころか建物もなかった。虫や鳥すらもいない。

 ――なんでだよ……! チェイニーはどこに行ったんだ……?

 わけがわからず、混乱しながら周辺を駆け回る。

 さっきまでスタジアムの中にいたのに、いきなりこんなところに飛ばされるなんておかしい。

 チェイニーがボウガンの矢を放った途端こうなったから、きっとあの矢に何かしらの仕掛けがあったんだと思う。

 となれば、四隅に刺さった矢を抜くか破壊してしまえば元に戻れるのでは……?

「っ……!」

 そう思って矢を探していると、不意に後頭部に殺気を感じた。

 本能的に身体を捻り、殺気から逃げようとした途端、左肩に切られたような衝撃を覚えた。

 チラッと見たら、案の定そこがスパッと切れて生温かい血が噴き出していた。

 狂戦士モードだったから痛みは感じなかったけれど、タダで切られてしまったのは結構な痛手である。どうせ切られるのならば、接近されたついでに切り返してやりたかった。

 ――でもそうか、ちょっとわかってきたぞ……。
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