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第18章~トーナメント初戦~
第8話
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きっとこの脆さはどうにもならないから、兄に慰めてもらって気持ちを切り替えられた後は、いつも通りしっかり頑張ればいいと思う。誰だって落ち込むことはあるんだから、それをどう乗り越えるかが重要だ。
乗り越える方法がわからず、いつまでもウジウジしているよりかずっとマシである。……多分。
半ば開き直りのようなことを考えつつ、アクセルは顔を上げた。
「じゃあ兄上、俺は庭で鍛錬してくるよ。何かあったら声をかけてくれ」
「はいはい、頑張って。唐突な思い付きでまたどこかに行かないようにね」
そう釘を刺され、苦笑いして庭に出る。
庭ではピピが素振り用の丸太をガリガリ齧り、前歯の伸び具合を調整していた。既に丸太はボロボロだったが、これはうさぎあるあるなので仕方がない。
……とはいえ、ピピには鍛錬に使っている新しい丸太ではなく「こっちの古い丸太を齧ってくれ」と教えたはずなんだけどな……。
「ぴぇっ!?」
アクセルが出て行った途端、ピピは丸太を齧るのをやめ、しれっとそっぽを向いた。新しい丸太を齧ったのがバレて、気まずそうに目を逸らしている。
――やっぱり、マズいことをしたのは自覚してるんだな。無駄に賢いというか何というか……。
怒るよりもむしろ笑いそうになり、アクセルは齧られた丸太を担いでうさぎ小屋の傍に置いた。そして再度ピピに言い聞かせた。
「ピピが齧っていいのはこっちな。新しい方は鍛錬に使うから遠慮してくれ。あとは自分の小屋や露天風呂を齧らなければいいよ」
「ぴ……」
乗り越える方法がわからず、いつまでもウジウジしているよりかずっとマシである。……多分。
半ば開き直りのようなことを考えつつ、アクセルは顔を上げた。
「じゃあ兄上、俺は庭で鍛錬してくるよ。何かあったら声をかけてくれ」
「はいはい、頑張って。唐突な思い付きでまたどこかに行かないようにね」
そう釘を刺され、苦笑いして庭に出る。
庭ではピピが素振り用の丸太をガリガリ齧り、前歯の伸び具合を調整していた。既に丸太はボロボロだったが、これはうさぎあるあるなので仕方がない。
……とはいえ、ピピには鍛錬に使っている新しい丸太ではなく「こっちの古い丸太を齧ってくれ」と教えたはずなんだけどな……。
「ぴぇっ!?」
アクセルが出て行った途端、ピピは丸太を齧るのをやめ、しれっとそっぽを向いた。新しい丸太を齧ったのがバレて、気まずそうに目を逸らしている。
――やっぱり、マズいことをしたのは自覚してるんだな。無駄に賢いというか何というか……。
怒るよりもむしろ笑いそうになり、アクセルは齧られた丸太を担いでうさぎ小屋の傍に置いた。そして再度ピピに言い聞かせた。
「ピピが齧っていいのはこっちな。新しい方は鍛錬に使うから遠慮してくれ。あとは自分の小屋や露天風呂を齧らなければいいよ」
「ぴ……」
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