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第17章~トーナメントに向けて~
第53話
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「そう言えば兄上、いつもの道の脇に変な小道があったぞ」
「……小道? 何それ?」
「わからない。人一人がギリギリ通れるくらいの細い道で、茂みに隠されていたんだ。きっとケイジ様が修行場への道として新しく作ったんだろうな」
そう言ったら、兄はますます怪訝な顔をして首をかしげた。
「? ケイジがハイキングコースに新しく道を作ったなんて聞いたことないけど」
「えっ……?」
「ケイジがそういうことをするのは、あくまで自分が所有している土地の中だけだよ。公共の施設までは勝手に作り替えたりしないはず。ハイキングコースはみんなが使う道でしょ? そんな場所に横道を作ることはないと思うね」
「ええ? じゃああの横道は一体……」
「新しくできた獣道か何かじゃない? あるいは、単なる見間違いとか」
「見間違いなわけない。あれはピピが最初に発見したんだ。それで、どうしようか悩んでいる俺を止めてくれたんだ」
「え? お前、そっちに進もうとしてたの? どんな道かわからないのに?」
「う、うん……。でも結果的にはスルーしてきたから大丈夫だ」
そう弁明したけれど、盛大に溜息をつかれてしまった。
次いでガシッと両手で肩を掴まれ、心底ホッとしたようにこう言われる。
「……ホント、無事に帰ってきてくれてよかったよ。ピピちゃんに感謝しなきゃな」
「え……そんなに危険な道だったのか……?」
「……小道? 何それ?」
「わからない。人一人がギリギリ通れるくらいの細い道で、茂みに隠されていたんだ。きっとケイジ様が修行場への道として新しく作ったんだろうな」
そう言ったら、兄はますます怪訝な顔をして首をかしげた。
「? ケイジがハイキングコースに新しく道を作ったなんて聞いたことないけど」
「えっ……?」
「ケイジがそういうことをするのは、あくまで自分が所有している土地の中だけだよ。公共の施設までは勝手に作り替えたりしないはず。ハイキングコースはみんなが使う道でしょ? そんな場所に横道を作ることはないと思うね」
「ええ? じゃああの横道は一体……」
「新しくできた獣道か何かじゃない? あるいは、単なる見間違いとか」
「見間違いなわけない。あれはピピが最初に発見したんだ。それで、どうしようか悩んでいる俺を止めてくれたんだ」
「え? お前、そっちに進もうとしてたの? どんな道かわからないのに?」
「う、うん……。でも結果的にはスルーしてきたから大丈夫だ」
そう弁明したけれど、盛大に溜息をつかれてしまった。
次いでガシッと両手で肩を掴まれ、心底ホッとしたようにこう言われる。
「……ホント、無事に帰ってきてくれてよかったよ。ピピちゃんに感謝しなきゃな」
「え……そんなに危険な道だったのか……?」
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