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第15章~些細なすれ違い~
第30話
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「でもほら……ジークってあの通り、すごく面倒見がよくていい男じゃない? 弱っている時に優しくされると、つい揺らいじゃうんだよね。だから、お前まで誘惑されたらどうしようって心配になっちゃって」
「いや、それは……」
何の心配をしてるんだ、と言いたい。自分はジークと浮気なんてしないし、兄のように揺らいだりもしない。
だいたい、弱った時に浮気に走ってしまうのは兄であって、アクセルがそういった方向に走ったことは一度もない。弱った時はピピに本音をぶちまけて、寄り添って慰めてもらうくらいだ。少なくとも、人を相手にしたことはない。
――兄上と一緒にするなよな……。
釈然としなかったが仕方ない。ここはおとなしくしておこう。
だがそんなアクセルをからかうように、兄が上にのしかかってきた。
「……ま、お前が浮気と無縁なことはわかってるんだけど。でも気持ち的にちょっと納得できないから、今日は少し酷くしていい?」
「えっ!?」
ぎょっとして目を見開いたが、兄の目は本気のようだった。
続けざま、懐から妙な道具を取り出してにこりと微笑んでくる。細い金属製の棒で、真っ直ぐではなくところどころに緩い膨らみがある。
「あ、あの、それは……」
「ああ、これね。この間、お前に見せようとしてそのままになっていたヤツだよ。お前、あの時はさっさと爆睡しちゃって見せる暇もなかったからね」
「いや、それは……」
何の心配をしてるんだ、と言いたい。自分はジークと浮気なんてしないし、兄のように揺らいだりもしない。
だいたい、弱った時に浮気に走ってしまうのは兄であって、アクセルがそういった方向に走ったことは一度もない。弱った時はピピに本音をぶちまけて、寄り添って慰めてもらうくらいだ。少なくとも、人を相手にしたことはない。
――兄上と一緒にするなよな……。
釈然としなかったが仕方ない。ここはおとなしくしておこう。
だがそんなアクセルをからかうように、兄が上にのしかかってきた。
「……ま、お前が浮気と無縁なことはわかってるんだけど。でも気持ち的にちょっと納得できないから、今日は少し酷くしていい?」
「えっ!?」
ぎょっとして目を見開いたが、兄の目は本気のようだった。
続けざま、懐から妙な道具を取り出してにこりと微笑んでくる。細い金属製の棒で、真っ直ぐではなくところどころに緩い膨らみがある。
「あ、あの、それは……」
「ああ、これね。この間、お前に見せようとしてそのままになっていたヤツだよ。お前、あの時はさっさと爆睡しちゃって見せる暇もなかったからね」
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