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第13章~獣化の秘密~
第137話
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「……俺の自己満足だってことはわかってるんだ。邪魔にならない場所に作ったし、兄上には絶対迷惑をかけない。だから、この墓だけは壊さないでおいてくれないか。骨も埋まっていないただのシンボルだけど、どうかこれだけは……」
「いいんじゃない? 死んだ者を埋葬するって大事なことだよ」
意外な答えが返ってきて、思わず「えっ?」と聞き返してしまった。
兄のことだから、「そんなもの作らなくていいよ」と怒るかと思ったのに。
「というか、どうせ作るならもっと日当たりのいい場所に作ればよかったじゃない。そんなところに作ったら、お墓にカビが生えそう」
「えっ……? いいのか? 本当に?」
「いいよ。そんな薄暗い隅っこに埋葬されるのは、私だって嫌だもん」
「…………」
「誤解しないで欲しいんだけど、私は別に、あのコピーたちと相性が悪かったわけじゃないんだよ。お前に手を出したり私の邪魔をしたりしなければ、それぞれ外に出て自由に幸せを掴んで欲しいとも思ってた。作られた存在であっても、生きる権利はあるはずだからさ」
「兄上……」
「結果的には残念な結末になっちゃったけど……お前がそうやって自発的に墓を作ってくれるのは嬉しいよ。これなら、私が死んだ時も立派なお墓を作ってくれそうだしね」
「兄上は死なないだろ」
兄が死んだらちゃんと棺に入れて復活させるし、仮に死者の国に送られたら女王に頼んでヴァルハラに戻してもらうつもりでいる。兄自身の墓を作ることはまずない。
「いいんじゃない? 死んだ者を埋葬するって大事なことだよ」
意外な答えが返ってきて、思わず「えっ?」と聞き返してしまった。
兄のことだから、「そんなもの作らなくていいよ」と怒るかと思ったのに。
「というか、どうせ作るならもっと日当たりのいい場所に作ればよかったじゃない。そんなところに作ったら、お墓にカビが生えそう」
「えっ……? いいのか? 本当に?」
「いいよ。そんな薄暗い隅っこに埋葬されるのは、私だって嫌だもん」
「…………」
「誤解しないで欲しいんだけど、私は別に、あのコピーたちと相性が悪かったわけじゃないんだよ。お前に手を出したり私の邪魔をしたりしなければ、それぞれ外に出て自由に幸せを掴んで欲しいとも思ってた。作られた存在であっても、生きる権利はあるはずだからさ」
「兄上……」
「結果的には残念な結末になっちゃったけど……お前がそうやって自発的に墓を作ってくれるのは嬉しいよ。これなら、私が死んだ時も立派なお墓を作ってくれそうだしね」
「兄上は死なないだろ」
兄が死んだらちゃんと棺に入れて復活させるし、仮に死者の国に送られたら女王に頼んでヴァルハラに戻してもらうつもりでいる。兄自身の墓を作ることはまずない。
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