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第13章~獣化の秘密~
第126話
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「ええ……? 応援するの……? さすがにそれはちょっと……」
と、再び兄が小声で突っ込んでくる。「もういいから」としきりに腕を引っ張ってきたが、何故そんなに止めてくるのかアクセルにはわからない。こちらは真面目に提案しているのに。
「……。そうですね……」
グロアは力なく毒針を持った手を下ろした。それを見て、一番驚いているのは兄・フレインだった。
「……彼女は本当に、自由奔放で気まぐれな人でした。透ノ国に閉じ込められても事あるごとに抜け出ようとしたり、自分がした予言と真逆の行動をとってみたりと……予言の巫女であることに囚われないような生き方をしていました。巫女・グロアとしてこの施設で過ごし、怪我や治療をするのが当たり前として生きてきた私からすれば、まるで太陽のように輝いていました……」
「グロアさん……」
「私に『もっと自由に生きていいのよ』と教えてくれたのは彼女です。完全に彼女の真似はできませんでしたが、彼女のおかげで私は随分救われました。初めて施設の外に出たのも、彼女に出会ってからです。施設のことしか知らなかった私が、世界はこんなに広くて明るいのだと知りました。彼女がいてくれれば、私はもっと自由に生きられるかもしれない……そんな幻想を抱いてしまうほどに」
そう言いつつ、グロアは再び毒針を振りかざした。
と、再び兄が小声で突っ込んでくる。「もういいから」としきりに腕を引っ張ってきたが、何故そんなに止めてくるのかアクセルにはわからない。こちらは真面目に提案しているのに。
「……。そうですね……」
グロアは力なく毒針を持った手を下ろした。それを見て、一番驚いているのは兄・フレインだった。
「……彼女は本当に、自由奔放で気まぐれな人でした。透ノ国に閉じ込められても事あるごとに抜け出ようとしたり、自分がした予言と真逆の行動をとってみたりと……予言の巫女であることに囚われないような生き方をしていました。巫女・グロアとしてこの施設で過ごし、怪我や治療をするのが当たり前として生きてきた私からすれば、まるで太陽のように輝いていました……」
「グロアさん……」
「私に『もっと自由に生きていいのよ』と教えてくれたのは彼女です。完全に彼女の真似はできませんでしたが、彼女のおかげで私は随分救われました。初めて施設の外に出たのも、彼女に出会ってからです。施設のことしか知らなかった私が、世界はこんなに広くて明るいのだと知りました。彼女がいてくれれば、私はもっと自由に生きられるかもしれない……そんな幻想を抱いてしまうほどに」
そう言いつつ、グロアは再び毒針を振りかざした。
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