1,375 / 2,666
第13章~獣化の秘密~
第14話
しおりを挟む
「う、ん……」
テーブルを整えているところで、兄が目を擦りながら起きてきた。
「あっ、兄上……!」
急いで駆け寄り、ふらついている身体を支える。
「兄上、大丈夫か? もう起きて平気か?」
「うん……。まだちょっとねムい……けど、おなかすいタ」
「そうか。胃に優しいものを作っておいたから、たくさん食べてくれ」
ボケーッとしながら椅子に座った兄の前に、ステーキやスープを置く。
兄は未だに眠そうな目をしていたが、出された瞬間ナイフを取り上げてステーキにグサッと刺し、突き刺さった状態のままガブリと肉に噛みついた。
一口サイズに切り分けることもなく、フォークすら使わずにガツガツ食べている兄。それを見たら、再びうっすらと危機感が湧いてきた。
――このままじゃ、いずれ手づかみで食べるようになってしまうな……。
ナイフやフォークを使ってこそ、理性ある者の食事である。道具を使わないのは獣と同じだ。そうなる前に、ちゃんと治療しなければ……。
「なあ、兄上」
アクセルは向かいに座り、食事をとりながら話を振った。ストレートに「治療に行こう」などと言っても絶対に拒否されると思ったので、あえてこう誘いをかけた。
「お腹いっぱいになったら、ちょっと散歩に行こうか」
「さンぽ? どこに?」
「どこっていうのは考えてないが……兄上、今日はどこにも出掛けてないだろ? 泉には行ったけど」
「ウん……。なんカおでかけするきぶンじゃなくて」
テーブルを整えているところで、兄が目を擦りながら起きてきた。
「あっ、兄上……!」
急いで駆け寄り、ふらついている身体を支える。
「兄上、大丈夫か? もう起きて平気か?」
「うん……。まだちょっとねムい……けど、おなかすいタ」
「そうか。胃に優しいものを作っておいたから、たくさん食べてくれ」
ボケーッとしながら椅子に座った兄の前に、ステーキやスープを置く。
兄は未だに眠そうな目をしていたが、出された瞬間ナイフを取り上げてステーキにグサッと刺し、突き刺さった状態のままガブリと肉に噛みついた。
一口サイズに切り分けることもなく、フォークすら使わずにガツガツ食べている兄。それを見たら、再びうっすらと危機感が湧いてきた。
――このままじゃ、いずれ手づかみで食べるようになってしまうな……。
ナイフやフォークを使ってこそ、理性ある者の食事である。道具を使わないのは獣と同じだ。そうなる前に、ちゃんと治療しなければ……。
「なあ、兄上」
アクセルは向かいに座り、食事をとりながら話を振った。ストレートに「治療に行こう」などと言っても絶対に拒否されると思ったので、あえてこう誘いをかけた。
「お腹いっぱいになったら、ちょっと散歩に行こうか」
「さンぽ? どこに?」
「どこっていうのは考えてないが……兄上、今日はどこにも出掛けてないだろ? 泉には行ったけど」
「ウん……。なんカおでかけするきぶンじゃなくて」
0
お気に入りに追加
828
あなたにおすすめの小説
侯爵令息セドリックの憂鬱な日
めちゅう
BL
第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける———
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。
嫌われ者の長男
りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
勇者の料理番
うりぼう
BL
いつもと変わらないある日、朝日と太陽の二人は異世界へと召喚される。
勇者として呼ばれた太陽と巻き込まれた幼馴染の朝日。
勇者として奮闘する太陽を支えるには朝日の料理しかない!
そんな二人の異世界奮闘記です。
メインは朝日。
※異世界で日本の料理を楽しむ
※魔法ならなんでもあり
※がばがば設定
※ほぼファンタジー
※一応BLですが要素は薄いです
あと一度だけでもいいから君に会いたい
藤雪たすく
BL
異世界に転生し、冒険者ギルドの雑用係として働き始めてかれこれ10年ほど経つけれど……この世界のご飯は素材を生かしすぎている。
いまだ食事に馴染めず米が恋しすぎてしまった為、とある冒険者さんの事が気になって仕方がなくなってしまった。
もう一度あの人に会いたい。あと一度でもあの人と会いたい。
※他サイト投稿済み作品を改題、修正したものになります
【完】ゲームの世界で美人すぎる兄が狙われているが
咲
BL
俺には大好きな兄がいる。3つ年上の高校生の兄。美人で優しいけどおっちょこちょいな可愛い兄だ。
ある日、そんな兄に話題のゲームを進めるとありえない事が起こった。
「あれ?ここってまさか……ゲームの中!?」
モンスターが闊歩する森の中で出会った警備隊に保護されたが、そいつは兄を狙っていたようで………?
重度のブラコン弟が兄を守ろうとしたり、壊れたブラコンの兄が一線越えちゃったりします。高確率でえろです。
※近親相姦です。バッチリ血の繋がった兄弟です。
※第三者×兄(弟)描写があります。
※ヤンデレの闇属性でビッチです。
※兄の方が優位です。
※男性向けの表現を含みます。
※左右非固定なのでコロコロ変わります。固定厨の方は推奨しません。
お気に入り登録、感想などはお気軽にしていただけると嬉しいです!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる