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第12章~不穏な空気~

第146話

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「フレイン様、昨日夜更かしでもしてたのか?」
「どうだろう……? 仮に夜更かししてたとしても、そこまで眠くなるのはおかしいと思うんだ。アロイス、何か心当たりはないか?」
「んなこと言われてもなぁ……。オレは気絶するほど眠くなったことないからわかんねぇよ」

 確かに、アロイスは見た目からして元気満々だ。そういった眠気とは無縁に思える。

「……あ。でもひとつだけあるかも」

 と、アロイスがスープを飲む手を止めた。

「オレ自身はそういう経験ないけど、ランゴバルト様がさ。十何年に一回くらい、眠くなったり腹が減ったり、ギンギンに滾っちゃったりするらしいぞ」
「ギンギンにって……」

 それは……つまり、性欲のことだろう。

 要するに、睡眠欲・食欲・性欲の全てが高まってしまう時期が、十何年に一度やってくるということだ。今の兄も、もしかしたらそういう時期なのかもしれない。実際、兄はヴァルハラに来て十年ちょっと経っているし。

「そうなった場合、ランゴバルト様はどうしてるんだ?」
「オレもよく知らないんだけどさ、なんかどっか別の場所に行って治してるらしいぞ。期間はその時によってまちまちだけど、帰って来る頃にはちゃんと元に戻ってるしな」
「そうなのか……」
「詳しい話は、ランゴバルト様から直接聞いたらどうだ? オレはこれ以上のことは話せないし」
「そ、そうだな……そうするか……」
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