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第12章~不穏な空気~
第133話
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そう言って兄はキッチンに入り、残っていたシチューをほとんど全部皿に盛って席についた。全部食べてしまうなら、鍋ごと持ってきてもよかったのでは……とも思う。
「うん、今日も美味しそう。いただきまーす!」
「い、いただきます……」
躊躇なくがつがつ食べ始めた兄を眺めつつ、アクセルも食事をした。
――どんだけ食べてきたのか知らないけど、本当によく食べるなぁ……。
それで当たり前のように体型を維持しているのだから、それはそれですごい気がする。アクセルがそんなに食べたら、体重が増えて鍛錬しづらくなりそうだ。
……いや、それ以前に兄と同じ量は胃に入らないのだけれど。
「アクセル」
急に兄が手を止め、神妙な面持ちになった。何かと思い、アクセルも食事の手を止めた。シチューに変なものでも入っていたのだろうか。
「どうしたんだ?」
「あのさ……お前から見て、私の食欲はどう思う?」
「え。それはまあ……旺盛だなと思うぞ。生前はここまで大食いじゃなかった気もするけど、戦いに明け暮れていたら腹が減るのは当然だ」
「……そっか……」
「食料のことを気にしてるなら、今度狩りに付き合ってくれ。大物を仕留めてくれば、しばらく肉には事欠かないだろう」
「そうだね……。近いうちに山登りしようか」
小さく笑い、兄は食事を続けた。アクセルもそれ以上気に留めることはなく、軽めの食事を続行した。
「うん、今日も美味しそう。いただきまーす!」
「い、いただきます……」
躊躇なくがつがつ食べ始めた兄を眺めつつ、アクセルも食事をした。
――どんだけ食べてきたのか知らないけど、本当によく食べるなぁ……。
それで当たり前のように体型を維持しているのだから、それはそれですごい気がする。アクセルがそんなに食べたら、体重が増えて鍛錬しづらくなりそうだ。
……いや、それ以前に兄と同じ量は胃に入らないのだけれど。
「アクセル」
急に兄が手を止め、神妙な面持ちになった。何かと思い、アクセルも食事の手を止めた。シチューに変なものでも入っていたのだろうか。
「どうしたんだ?」
「あのさ……お前から見て、私の食欲はどう思う?」
「え。それはまあ……旺盛だなと思うぞ。生前はここまで大食いじゃなかった気もするけど、戦いに明け暮れていたら腹が減るのは当然だ」
「……そっか……」
「食料のことを気にしてるなら、今度狩りに付き合ってくれ。大物を仕留めてくれば、しばらく肉には事欠かないだろう」
「そうだね……。近いうちに山登りしようか」
小さく笑い、兄は食事を続けた。アクセルもそれ以上気に留めることはなく、軽めの食事を続行した。
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