1,170 / 2,730
第11章~強くなるために~
第115話(フレイン視点)
しおりを挟む
「……さて、私はどうしよう。明日まで特にやることないんだよね」
空っぽになった食事の皿を見て、やれやれと腰を上げる。キッチンで皿洗いをしていたら、うっすらした空しさがこみ上げてきた。
自分の食事を自分で用意することほど、面倒な仕事はないと思う。そしてやり甲斐がない。自分一人だとつい「適当でいいか」などと思ってしまい、調理せずに食べられる干し肉とパンを齧って終わりにしてしまう。
今はピピがいるので料理しないわけにもいかないけど、かつてアクセルがいなかった頃の自分は食事を疎かにしがちで、訓練中によく倒れていたものだ。もちろん、今はそんなことなくなったけれど。
――やっぱり私には、あの子がいないとダメみたいだ。
密かに苦笑し、フレインは洗った皿を乾かして食器棚にしまった。
その後、ふとあることに思い至り、寝室のクローゼットを開いて持っている衣装を確認する。
食事会に招待されたはいいけれど、ドレスコードはどうなっているのだろう。バルドルのことだからあまりうるさくは言わないだろうけど、あまり変なものを着ていったら他の出席者に嘲笑されてしまうかもしれない。眷属と違って、アースガルズの神々はそういう身だしなみにこだわる者も多いのだ。
――あー……やっぱり、ロクな服がない。
一瞬、いつも着ている戦闘用の衣装で行こうかなと思ったが、それも何となく場違い感が拭えない。
仕方なくフレインは、最後の手段とばかりにユーベルの屋敷にお邪魔しに行った。
空っぽになった食事の皿を見て、やれやれと腰を上げる。キッチンで皿洗いをしていたら、うっすらした空しさがこみ上げてきた。
自分の食事を自分で用意することほど、面倒な仕事はないと思う。そしてやり甲斐がない。自分一人だとつい「適当でいいか」などと思ってしまい、調理せずに食べられる干し肉とパンを齧って終わりにしてしまう。
今はピピがいるので料理しないわけにもいかないけど、かつてアクセルがいなかった頃の自分は食事を疎かにしがちで、訓練中によく倒れていたものだ。もちろん、今はそんなことなくなったけれど。
――やっぱり私には、あの子がいないとダメみたいだ。
密かに苦笑し、フレインは洗った皿を乾かして食器棚にしまった。
その後、ふとあることに思い至り、寝室のクローゼットを開いて持っている衣装を確認する。
食事会に招待されたはいいけれど、ドレスコードはどうなっているのだろう。バルドルのことだからあまりうるさくは言わないだろうけど、あまり変なものを着ていったら他の出席者に嘲笑されてしまうかもしれない。眷属と違って、アースガルズの神々はそういう身だしなみにこだわる者も多いのだ。
――あー……やっぱり、ロクな服がない。
一瞬、いつも着ている戦闘用の衣装で行こうかなと思ったが、それも何となく場違い感が拭えない。
仕方なくフレインは、最後の手段とばかりにユーベルの屋敷にお邪魔しに行った。
0
お気に入りに追加
840
あなたにおすすめの小説
【完結】壊死回生〜寝てたら異世界に転移しちゃってた!?ならここでスローライフ始めます~
都築稔
ファンタジー
瑞田明里は現代社会に疲れ果て、逃げ出す気力もなく毎日を過ごしていた。いつもの如く眠りについて、目が醒めると・・・ここはどこ?!知らない家に知らない青年。もしかしてこれは、第二の人生を始めるにはいいチャンスかも?のんびり、たまに刺激的に、スローライフ始めます!
婚約破棄される悪役令嬢ですが実はワタクシ…男なんだわ
秋空花林
BL
「ヴィラトリア嬢、僕はこの場で君との婚約破棄を宣言する!」
ワタクシ、フラれてしまいました。
でも、これで良かったのです。
どのみち、結婚は無理でしたもの。
だってー。
実はワタクシ…男なんだわ。
だからオレは逃げ出した。
貴族令嬢の名を捨てて、1人の平民の男として生きると決めた。
なのにー。
「ずっと、君の事が好きだったんだ」
数年後。何故かオレは元婚約者に執着され、溺愛されていた…!?
この物語は、乙女ゲームの不憫な悪役令嬢(男)が元婚約者(もちろん男)に一途に追いかけられ、最後に幸せになる物語です。
幼少期からスタートするので、R 18まで長めです。
あと一度だけでもいいから君に会いたい
藤雪たすく
BL
異世界に転生し、冒険者ギルドの雑用係として働き始めてかれこれ10年ほど経つけれど……この世界のご飯は素材を生かしすぎている。
いまだ食事に馴染めず米が恋しすぎてしまった為、とある冒険者さんの事が気になって仕方がなくなってしまった。
もう一度あの人に会いたい。あと一度でもあの人と会いたい。
※他サイト投稿済み作品を改題、修正したものになります
普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です。帰らせて。
かーにゅ
BL
「君は死にました」
「…はい?」
「死にました。テンプレのトラックばーんで死にました」
「…てんぷれ」
「てことで転生させます」
「どこも『てことで』じゃないと思います。…誰ですか」
BLは軽い…と思います。というかあんまりわかんないので年齢制限のどこまで攻めるか…。
オワコン・ゲームに復活を! 仕事首になって友人のゲーム会社に誘われた俺。あらゆる手段でゲームを盛り上げます。
栗鼠
SF
時は、VRゲームが大流行の22世紀! 無能と言われてクビにされた、ゲーム開発者・坂本翔平の元に、『爆死したゲームを助けてほしい』と、大学時代の友人・三国幸太郎から電話がかかる。こうして始まった、オワコン・ゲーム『ファンタジア・エルドーン』の再ブレイク作戦! 企画・交渉・開発・営業・運営に、正当防衛、カウンター・ハッキング、敵対勢力の排除など! 裏仕事まで出来る坂本翔平のお陰で、ゲームは大いに盛り上がっていき! ユーザーと世界も、変わっていくのであった!!
*小説家になろう、カクヨムにも、投稿しています。
異世界に召喚され生活してるのだが、仕事のたびに元カレと会うのツラい
だいず
BL
平凡な生活を送っていた主人公、宇久田冬晴は、ある日異世界に召喚される。「転移者」となった冬晴の仕事は、魔女の予言を授かることだった。慣れない生活に戸惑う冬晴だったが、そんな冬晴を支える人物が現れる。グレンノルト・シルヴェスター、国の騎士団で団長を務める彼は、何も知らない冬晴に、世界のこと、国のこと、様々なことを教えてくれた。そんなグレンノルトに冬晴は次第に惹かれていき___
1度は愛し合った2人が過去のしがらみを断ち切り、再び結ばれるまでの話。
※設定上2人が仲良くなるまで時間がかかります…でもちゃんとハッピーエンドです!
俺だけ皆の能力が見えているのか!?特別な魔法の眼を持つ俺は、その力で魔法もスキルも効率よく覚えていき、周りよりもどんどん強くなる!!
クマクマG
ファンタジー
勝手に才能無しの烙印を押されたシェイド・シュヴァイスであったが、落ち込むのも束の間、彼はあることに気が付いた。『俺が見えているのって、人の能力なのか?』
自分の特別な能力に気が付いたシェイドは、どうやれば魔法を覚えやすいのか、どんな練習をすればスキルを覚えやすいのか、彼だけには魔法とスキルの経験値が見えていた。そのため、彼は効率よく魔法もスキルも覚えていき、どんどん周りよりも強くなっていく。
最初は才能無しということで見下されていたシェイドは、そういう奴らを実力で黙らせていく。魔法が大好きなシェイドは魔法を極めんとするも、様々な困難が彼に立ちはだかる。時には挫け、時には悲しみに暮れながらも周囲の助けもあり、魔法を極める道を進んで行く。これはそんなシェイド・シュヴァイスの物語である。
精霊の港 飛ばされたリーマン、体格のいい男たちに囲まれる
風見鶏ーKazamidoriー
BL
秋津ミナトは、うだつのあがらないサラリーマン。これといった特徴もなく、体力の衰えを感じてスポーツジムへ通うお年ごろ。
ある日帰り道で奇妙な精霊と出会い、追いかけた先は見たこともない場所。湊(ミナト)の前へ現れたのは黄金色にかがやく瞳をした美しい男だった。ロマス帝国という古代ローマに似た巨大な国が支配する世界で妖精に出会い、帝国の片鱗に触れてさらにはドラゴンまで、サラリーマンだった湊の人生は激変し異なる世界の動乱へ巻きこまれてゆく物語。
※この物語に登場する人物、名、団体、場所はすべてフィクションです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる