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第11章~強くなるために~
第77話
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「アクセル、がんばってる。ピピ、おうえんしてる」
「ピピ……」
「アクセル、すき」
純粋に応援してくれるピピに、違う意味で涙が出そうになった。傍目には決していい飼い主とは言えないのに、ピピはこうやって慕ってくれている……。
「ありがとう、ピピ……。本当にありがとう、嬉しいよ」
「ぴー♪」
「よし、まずは右手からだな。頑張るぞ」
それ以降、アクセルはただひたすら素振りを繰り返した。
最初は全然上手くいかなくてすぐに丸太が削れてしまい、兄に新しい丸太を切り出してもらっていたのだが、一週間くらい経つと三センチの幅なら傷がつかなくなってきた。これは明らかな進歩だ。単調な素振りばかりでいい加減心が折れそうだったが、効果が出ているようで少し安心した。
――次は二センチに狭めてみよう。
そうやって徐々に間を狭くしていく。これも十日くらい繰り返したら、真っ直ぐ振り下ろせるようになってきた。ついでに素振りの速度も上がり、体力も保つようになった。
「お前、今まで無駄な力を使ってたんだね」
夕食の時、兄がそう解説してくれた。
「武器を振るう時は、振るいたい方向に力をかけるのが一番エネルギー効率がいい。でもお前は今まで、垂直に切るべきところをナナメに切っちゃったりして、力の方向がズレていただろう? それだと結果的に力が無駄になるわけ。太刀筋矯正ってのは、力のかけ方を正常に戻すことでもあるんだよね」
「そうなのか……。そんなの、今まで考えたことなかったよ」
「ピピ……」
「アクセル、すき」
純粋に応援してくれるピピに、違う意味で涙が出そうになった。傍目には決していい飼い主とは言えないのに、ピピはこうやって慕ってくれている……。
「ありがとう、ピピ……。本当にありがとう、嬉しいよ」
「ぴー♪」
「よし、まずは右手からだな。頑張るぞ」
それ以降、アクセルはただひたすら素振りを繰り返した。
最初は全然上手くいかなくてすぐに丸太が削れてしまい、兄に新しい丸太を切り出してもらっていたのだが、一週間くらい経つと三センチの幅なら傷がつかなくなってきた。これは明らかな進歩だ。単調な素振りばかりでいい加減心が折れそうだったが、効果が出ているようで少し安心した。
――次は二センチに狭めてみよう。
そうやって徐々に間を狭くしていく。これも十日くらい繰り返したら、真っ直ぐ振り下ろせるようになってきた。ついでに素振りの速度も上がり、体力も保つようになった。
「お前、今まで無駄な力を使ってたんだね」
夕食の時、兄がそう解説してくれた。
「武器を振るう時は、振るいたい方向に力をかけるのが一番エネルギー効率がいい。でもお前は今まで、垂直に切るべきところをナナメに切っちゃったりして、力の方向がズレていただろう? それだと結果的に力が無駄になるわけ。太刀筋矯正ってのは、力のかけ方を正常に戻すことでもあるんだよね」
「そうなのか……。そんなの、今まで考えたことなかったよ」
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