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第11章~強くなるために~

第75話

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 小太刀を握り始めて十年以上は経過しているが、今からそんな太刀筋を矯正することなどできるんだろうか。そもそも、強くなるのに「正確な太刀筋」というのが本当に必要なんだろうか。確かに兄のような美しい太刀筋には憧れるけど、「斬れればどこでもよくないか?」などと考えているのは自分だけだろうか……。

 兄は顎に手を当てて、言った。

「やり方はシンプルだよ。まず丸太を二本立てて、その間を数センチ開ける。最初は三センチくらいから始めればいいかな。で、その隙間に向かって素振りを続ける。素振り中に刃が丸太に触れてしまったら、それは垂直に振り下ろせていないっていう証拠だからすぐにわかるよ」
「ははあ、なるほど」
「ただし、お前の場合は大幅な矯正が必要だろうから、本気でこれをやろうとしたら丸太がボロボロになるだろうね」
「う……そ、そうだよな……」

 アクセルは小さく肩を落とした。

 さっさとヒノキを加工して露天風呂を作る予定だったのに、計画が思いっきり狂ってしまった。さすがにここまでいい加減な太刀筋をしているとは思わなくて、なんだか少し落ち込んでしまう。

「まあ、今問題が発覚してよかったじゃない。修行のきっかけにもなるし」
「はあ、まあ……な」
「太刀筋が直れば、もっとランクが上がること間違いなしだよ。というわけで、頑張ってね」

 そう言って兄は、ご丁寧にもう一本の丸太も地面に立て、家に戻っていった。

「太刀筋か……」

 アクセルは直立した二本の丸太を眺めた。
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