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第10章~日常の中で~
第27話※
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「くそがァァ!」
ディーンが動いた。怒り狂ったままこちらに突進し、残った腕で手斧をめちゃくちゃに振り回してくる。
その中でアクセルは、ディーンに届く真っ直ぐな線を見つけていた。目は見えないけれど、確かに見えていた。ここを通れば彼の首まで手が届く。
「たあぁぁっ!」
一気に間合いの内側に飛び込み、彼の懐目掛けて小太刀を振り抜いた。
弾力のある肉の手応えを感じ、一瞬ゴリッと硬い部分にぶつかった後、再びスパッと肉が切れる。
それと同時に生温かい返り血を真正面から浴びてしまい、自分の全身に血の臭いがこびりついた。
ちょっと不快だったものの、これだけ血を浴びたのなら、相手は戦闘不能になったはず……。
『勝者・アクセル。遺体回収班は遺体を回収してください』
空からヴァルキリーの声が降ってきた。
それでようやくアクセルは、自分の勝利を確信できた。
「う……」
会場がざわめくのと同時に、ふっと集中力が切れてしまった。
忘れていた目の痛さと全身の倦怠感、強烈な血の臭いが鼻について、さすがに気持ち悪くなってくる。早く帰りたい。
――まだ目は開けられないか……。
しかし、会場全体がどよめいているのもあり、聴覚が頼りにならない。遺体回収班がバタバタと走り回っている音は聞こえるが、彼らがどこからやってきたのか、どこから退場していくかはよくわからなかった。
どうせ遺体回収班が出てきたのなら、誰かエスコートしてくれればいいのに……。
ディーンが動いた。怒り狂ったままこちらに突進し、残った腕で手斧をめちゃくちゃに振り回してくる。
その中でアクセルは、ディーンに届く真っ直ぐな線を見つけていた。目は見えないけれど、確かに見えていた。ここを通れば彼の首まで手が届く。
「たあぁぁっ!」
一気に間合いの内側に飛び込み、彼の懐目掛けて小太刀を振り抜いた。
弾力のある肉の手応えを感じ、一瞬ゴリッと硬い部分にぶつかった後、再びスパッと肉が切れる。
それと同時に生温かい返り血を真正面から浴びてしまい、自分の全身に血の臭いがこびりついた。
ちょっと不快だったものの、これだけ血を浴びたのなら、相手は戦闘不能になったはず……。
『勝者・アクセル。遺体回収班は遺体を回収してください』
空からヴァルキリーの声が降ってきた。
それでようやくアクセルは、自分の勝利を確信できた。
「う……」
会場がざわめくのと同時に、ふっと集中力が切れてしまった。
忘れていた目の痛さと全身の倦怠感、強烈な血の臭いが鼻について、さすがに気持ち悪くなってくる。早く帰りたい。
――まだ目は開けられないか……。
しかし、会場全体がどよめいているのもあり、聴覚が頼りにならない。遺体回収班がバタバタと走り回っている音は聞こえるが、彼らがどこからやってきたのか、どこから退場していくかはよくわからなかった。
どうせ遺体回収班が出てきたのなら、誰かエスコートしてくれればいいのに……。
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