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第9章~再会と記憶~

第23話(フレイン視点)

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 ――オーディン様の屋敷ヴァラスキャルヴで、あんな戦闘をおっぱじめてる方が処罰されそうだけど……。

 まあいい。今はアクセルを取り戻すのが最優先だ。

 長い階段を上り、フレインはようやく最上階に到達した。

 階段の目の前には頑丈な鉄門があり、両脇にカラスの銅像が一羽ずつ置かれていた。

 近づいて門を軽く叩いてみたが、かなり頑丈……というか普通の方法では開かないようになっていて、強引に突破することはできないと思われた。

 さて、どうやって開けてもらおうか……。

眷属エインヘリヤルが来た」
眷属エインヘリヤルが来た」
「……!?」

 唐突に、両脇の銅像が喋った。銅像だったはずのカラスたちはバサバサと羽を羽ばたかせ、瞬く間に本物のカラスになってフレインの周囲を飛び回った。

眷属エインヘリヤルが直接訪ねてくるのは珍しい」
「こいつはただの眷属エインヘリヤルではない」
眷属エインヘリヤルにして巫女の息子だ」
「でも巫女の息子は二人いた」
「一人はラグナロクで消えた」
「残された方は何をする?」

 飛び回りながらあれこれ言い合うカラスたちを、フレインは冷静に眺めた。

 ――なるほど、これが思考フギン記憶ムニンか。

 オーディンの所有物である、二羽のカラス。世界中を飛び回り、オーディンに情報を持ち帰っていると聞いた。この様子だと、フレインが訪ねてくることもとっくに知っていた可能性がある。それでもバルドルが手紙を送ったのは、形だけでも予告しておかないと心象が悪くなるからだろう。
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