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第8章~ラグナロクの終わり~

第39話

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「あなたは当然のことながら『巫女が石碑を破壊する』という部分も読めていた。石碑を破壊すれば石碑通りの道を歩まずに済むから、本当はすぐにでもそうしたかったはずだ。でも石碑を破壊したら、自分が消滅してしまうことも知っていた。だからできなかった……」
「えっ? そんなペナルティーがあるのか?」

 兄の後ろで目を丸くしていたら、兄が肩越しに振り返った。

「お前にはそこまで話していなかったね。そうだよ、石碑を破壊すると破壊した本人が消えちゃうんだ。その人が存在した痕跡さえも残らない。最初からそんな人、なかったことになってしまうんだ」
「そんな……」
「だからオーディン様ですら、石碑を破壊できなかったんだよ。自分が生きていた痕跡すらなくなってしまうんだから。単純に死ぬより、よっぽど嫌だろう。自分の存在を根本から否定されるようなものだからね……」

 衝撃を受けていると、巫女が忌々しげに呟いた。

「……本当に面倒な息子。私が育てなければ大丈夫だと思ったのに、何でそんな能力が付与してるわけ? 意味がわからないわ」

 その言い草から、アクセルは全てを悟った。腹の底から湧き出るおぞましさに吐き気がして、思わず兄の腕を掴んだ。何か縋りつくものが欲しかったのだ。

「あなたは最初から……自分の代わりに、俺たちを……。何もかも承知の上で、俺たちを犠牲にしようとしたのか……」
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