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第8章~ラグナロクの終わり~
第27話
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「……!」
突然、背後に誰かの気配を感じ、アクセルは反射的に身構えた。直感でバルドルではないと悟った。
絶対にロクなものじゃないと思って、振り返りざま、持っていた小太刀を振り払う。肉が切れた手応えがあり、当たり前のように鮮血が迸った。
「っ……!」
斬った相手の顔を見て、ぎょっと目を見開く。それは化け物どころか武器を持った男性でもなく、丸腰の若い女性だった。どこかで一度会ったかのような、見覚えのある顔だった。綺麗な白い頬に血痕が飛び散っている。
「……どいつもこいつも血の気の多い者ばかり。呆れるわ」
「あっ……ご、ごめ……」
動揺しているアクセルを軽く睨み、女性は無造作に頬の汚れを拭った。そしてアクセルを横に押し退け、ガラスケースの前に立つ。たった今斬られたはずなのに、それを物ともしていない様子だった。
「あの……すまない、大丈夫か……?」
「自分から斬り付けたくせに、私の心配をするの? 変わってるのね」
「いや、だって……」
こんな若い女性だと思っていなかったから……というのは心の中の言葉である。丸腰の女性を斬ってしまうなんて、戦士として恥ずべきことだ。
――でもこの人、全然痛がってないような……?
斬った瞬間は血が飛んだものの、今はそれ以上出血していないように見える。服の血もほとんど広がっていない。
もしかして、既に傷が塞がってしまったのか。ここは透ノ国だから、そういう人が出てきてもおかしくはない。
もっとも、敵だった場合はどうやって倒せばいいかわからないけど……。
突然、背後に誰かの気配を感じ、アクセルは反射的に身構えた。直感でバルドルではないと悟った。
絶対にロクなものじゃないと思って、振り返りざま、持っていた小太刀を振り払う。肉が切れた手応えがあり、当たり前のように鮮血が迸った。
「っ……!」
斬った相手の顔を見て、ぎょっと目を見開く。それは化け物どころか武器を持った男性でもなく、丸腰の若い女性だった。どこかで一度会ったかのような、見覚えのある顔だった。綺麗な白い頬に血痕が飛び散っている。
「……どいつもこいつも血の気の多い者ばかり。呆れるわ」
「あっ……ご、ごめ……」
動揺しているアクセルを軽く睨み、女性は無造作に頬の汚れを拭った。そしてアクセルを横に押し退け、ガラスケースの前に立つ。たった今斬られたはずなのに、それを物ともしていない様子だった。
「あの……すまない、大丈夫か……?」
「自分から斬り付けたくせに、私の心配をするの? 変わってるのね」
「いや、だって……」
こんな若い女性だと思っていなかったから……というのは心の中の言葉である。丸腰の女性を斬ってしまうなんて、戦士として恥ずべきことだ。
――でもこの人、全然痛がってないような……?
斬った瞬間は血が飛んだものの、今はそれ以上出血していないように見える。服の血もほとんど広がっていない。
もしかして、既に傷が塞がってしまったのか。ここは透ノ国だから、そういう人が出てきてもおかしくはない。
もっとも、敵だった場合はどうやって倒せばいいかわからないけど……。
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