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第8章~ラグナロクの終わり~

第21話

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 ――げっ、扉がない……!

 この透ノ国では、一度入ってきた扉は消えてしまう仕組みになっているのか? 世界の行き来は常に一方通行になのか? なんて不便でやりにくい世界なんだろう……。

「はあ……」

 ますます不安になってきたが、来てしまったものは仕方がない。今更後戻りはできない。

 大丈夫、きっとまた出口が見つかるはずだ……と自分に言い聞かせ、アクセルは周辺を探索することにした。念のため、もともと扉があったであろう場所に大きめの石と枝を置き、目印にする。ここを起点に探索しよう。

 まず、目印から半径数キロ圏内を歩き回る。これといった大きな発見はなかったが、ひとつだけ見覚えのある岩を発見した。監視塔付近で見つけた地下への入口に似ている。

「これってまた……」

 アクセルは当たり前のように岩を押し、岩一つ分ズラしてみせた。

 思った通り、岩の下には階段があった。

 ――やっぱりな……。

 目の前に現れた階段を見て、軽く溜息をつく。

 ――罠にしてもあからさますぎないか、これ……。

 降りていったらどうせ幻を見せられて、落とし穴に誘導されるんだろう。もうそんな手に乗るものか。

 ……とはいえ、ここ以外に進む道はないのも事実。

 ――他にダンジョン的なものはなさそうだしなぁ……。

 もう一度周りを見渡してみたが、真っ平な荒野がひたすら広がっているだけで、家も塔も洞穴も落とし穴も、何一つ見当たらない。当然、戻る道もない。

 というかこの状況、既に罠にかかっているのではないか? 他に道がない状況まで追い込んで、わざとこの先に進ませようとしているのではないか? だとしたら、やはり本棚から入ってきてしまったのは失敗だったか。

 もう罠にはかかるまいと思っていたのに……。
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