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第8章~ラグナロクの終わり~

第20話

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「…………」

 アクセルは席を立ち、余っていた野菜のスープを鍋ごと家の外に置いた。ピピが帰ってきた時にすぐ食べられるよう、蓋も開けておく。

 テーブルの上にも、自分のとは別に兄の分も用意しておく。そして見つけた紙に一言記しておいた。

『兄上へ
 ご飯を作っておいた。お腹が空いていたら食べてくれ。俺は先に進んでいる。
アクセルより』

 自分の分の食事を平らげ、台所で食器を洗い、片付けをしていたらあっと言う間に二〇分経った。それでもやはり兄とピピは戻って来ず、外の様子も変わらなかった。

 ――仕方ない……。

 アクセルは寝室へ行き、本棚を動かして扉を開けた。開けた瞬間、ヒュッ……と風が吹きつけてきて、すぐに吸い込むように風が流れ出した。

 扉の向こうには、薄暗い荒野が広がっている。それがどんな世界かわからないが、進んでみなければわからないこともある。

 それに、もしかしたら兄はこの先に進んで待っているのかもしれないし……。

 覚悟を決めて、アクセルは扉の向こうに進んだ。

 そこは見渡す限りの荒野が広がっていて、目立った建物は何もない。植物も最低限しか生えていないような場所だった。何をあてに進んでいいか見当がつかない。

 こんなところを一人で進むのは気が重いな……と思いつつ、背後を振り返る。それならせめて扉を目印に探索しようと考えたのだが、すぐ後ろにあるはずの扉はいつの間にか消えてしまっていた。
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