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第8章~ラグナロクの終わり~
第16話
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「固いなぁ……。これじゃ本の意味がないじゃない」
「いや、ちょっと待ってくれ。これってもしかして……」
兄が取り出そうとした本を、逆にぐいっと奥に押し込んでみる。すると何かの手ごたえを感じ、ガコン、と本棚がズレた。
あっ、と思って本棚を横に引いたら、案の定その奥には全く違う景色が広がっていた。
「おお、すごい。ビンゴだ。ここから違う場所に行けるんだね」
「そうみたいだな……。向こうの景色がちょっと不気味だが……」
遠目から見る景色は、穏やかなものとは言い難い。雲は灰色で時折ピカッと雷が鳴っているし、大地も荒れ果てて植物の類いがほとんど生えていなかった。城や塔はないものの、フェンリルが住んでいる周辺の地域に似ている。
――とはいえ、ここは進まないといけないんだろうな……。
透ノ国まで来てしまったのだ。今更後には退けない。
「兄上、ここで待っててくれ。ピピを呼んでくる」
そう言って、アクセルは家の外に出た。ピピはドアの近くで待っているはずだ。
「ピピ、待たせてごめんな。変な扉を見つけたから、きみも一緒に……」
だが、ピピの姿は見当たらなかった。「あれ?」と思って周りをキョロキョロ見回したが、丸くてもふもふしたシルエットはどこにもなかった。
「ピピ? ピピ、どこだ? 隠れてないで出てきてくれ! おーい!」
ピピは耳がいい。アクセルが呼びかければ、遠くにいても駆けつけてくれるはずだった。
が、そのまましばらく待ってみてもピピは一向に姿を現さない。
「いや、ちょっと待ってくれ。これってもしかして……」
兄が取り出そうとした本を、逆にぐいっと奥に押し込んでみる。すると何かの手ごたえを感じ、ガコン、と本棚がズレた。
あっ、と思って本棚を横に引いたら、案の定その奥には全く違う景色が広がっていた。
「おお、すごい。ビンゴだ。ここから違う場所に行けるんだね」
「そうみたいだな……。向こうの景色がちょっと不気味だが……」
遠目から見る景色は、穏やかなものとは言い難い。雲は灰色で時折ピカッと雷が鳴っているし、大地も荒れ果てて植物の類いがほとんど生えていなかった。城や塔はないものの、フェンリルが住んでいる周辺の地域に似ている。
――とはいえ、ここは進まないといけないんだろうな……。
透ノ国まで来てしまったのだ。今更後には退けない。
「兄上、ここで待っててくれ。ピピを呼んでくる」
そう言って、アクセルは家の外に出た。ピピはドアの近くで待っているはずだ。
「ピピ、待たせてごめんな。変な扉を見つけたから、きみも一緒に……」
だが、ピピの姿は見当たらなかった。「あれ?」と思って周りをキョロキョロ見回したが、丸くてもふもふしたシルエットはどこにもなかった。
「ピピ? ピピ、どこだ? 隠れてないで出てきてくれ! おーい!」
ピピは耳がいい。アクセルが呼びかければ、遠くにいても駆けつけてくれるはずだった。
が、そのまましばらく待ってみてもピピは一向に姿を現さない。
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