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第7章~ラグナロクの最中に~

第82話

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「ピピ、ちょっと身体貸してくれ」
「ぴ?」

 きょとんとしているピピの腹部に、ぼふ……とダイブする。

 ピピは一瞬「ひやっ」としたみたいだが、すぐにおとなしく身体を貸してくれた。もふもふで温い毛並みが心地よかった。

 ――ああもう……本当に凍るかと思った……。

 防寒具なしで冷凍庫みたいな場所に長時間いるのは、常識的に考えても命懸けである。

 通りかかっただけで周囲にここまでの影響を与えるなんて、改めてフェンリルの恐ろしさを思い知った。間違ってもあんなのと戦ったり、倒そうなどと考えてはいけない。

 ――しかし、ここにいないなら一体みんなどこに行ったんだろう……。

 ピピで身体を温めながら、考えを巡らせる。

 フェンリルは巨大だ。遠くからでもわかるし、足音もするから近づいてくるのも察知できる。ならば、襲われるより先に逃げたと考えるのが自然だろう。

 それはそれでホッとするが、それなら兄たちは一体どこに逃げたのだろうか。そんなに遠くまで行く時間はないし、かといって周辺に隠れられる場所はなさそうだし……。

「アクセル、だいじょぶ?」

 ピピがたどたどしい言葉で話しかけてきた。ピピはいつでも純粋にアクセルを想ってくれる。

「ああ、大丈夫だよ。だいぶ温まってきた、ありがとう」
「アクセル、しんぱい?」
「うん……そうだな。兄上のことはもちろん心配だが、他の三人も一緒だし。俺もピピと一緒だから、何となくいつもより大丈夫な気がしてるんだ」
「ぴ……」
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