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第6章~ラグナロクの始まり~
第156話(フレイン視点)
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――あーあ……またこんなところで寝ちゃって……。
疲れているのはわかる。だが、寝るのならちゃんと安全な場所で寝て欲しい。こんな何もない外で、無防備な姿を晒すものではない。
まあ、今はピピが側にいるから安心しきっているのかもしれないが……。
「やれやれ……」
フレインはそっと弟の隣に腰を下ろし、自分もピピに寄り掛かった。思った以上にふかふかで暖かかった。これは確かに気持ちいい。一度寄り掛かったらあっと言う間に爆睡してしまいそうだ。さすがにちょっと眠気が襲ってきた。
――まあ、私はすぐに起きられるから大丈夫かな……。
念のため、フレインはピピに声をかけた。
「ピピちゃん、誰かが来たらすぐにわかるよね? 変な音が聞こえたら教えて」
「ぴー」
ピピが小さく頷いたのを見届けて、自分も弟の隣に寝そべる。至近距離に弟の顔が見えた。起きている時も可愛いが、寝ている時はより可愛さが増していると思う。天使みたいだ。
――私の役目は、弟がのびのび生活できる環境を整えることだからね……。
ヴァルハラに来たばかりの時もそうだった。荒れていたヴァルハラの治安改善のために、長い年月をかけて奔走した。
ラグナロクの時も同じだ。いざという時は、自分の身を犠牲にしてでも弟を守る覚悟はできている。
もちろん、それは本当の最終手段だが……。
「愛してるよ、可愛いアクセル……」
弟の前髪を掻き上げ、軽く額にキスを落とした。アクセルは少し身じろぎしたが、起きる気配はなかった。
苦笑しつつ、フレインは無防備な弟を抱き締めた。確かな温もりが今は心地よかった。
疲れているのはわかる。だが、寝るのならちゃんと安全な場所で寝て欲しい。こんな何もない外で、無防備な姿を晒すものではない。
まあ、今はピピが側にいるから安心しきっているのかもしれないが……。
「やれやれ……」
フレインはそっと弟の隣に腰を下ろし、自分もピピに寄り掛かった。思った以上にふかふかで暖かかった。これは確かに気持ちいい。一度寄り掛かったらあっと言う間に爆睡してしまいそうだ。さすがにちょっと眠気が襲ってきた。
――まあ、私はすぐに起きられるから大丈夫かな……。
念のため、フレインはピピに声をかけた。
「ピピちゃん、誰かが来たらすぐにわかるよね? 変な音が聞こえたら教えて」
「ぴー」
ピピが小さく頷いたのを見届けて、自分も弟の隣に寝そべる。至近距離に弟の顔が見えた。起きている時も可愛いが、寝ている時はより可愛さが増していると思う。天使みたいだ。
――私の役目は、弟がのびのび生活できる環境を整えることだからね……。
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ラグナロクの時も同じだ。いざという時は、自分の身を犠牲にしてでも弟を守る覚悟はできている。
もちろん、それは本当の最終手段だが……。
「愛してるよ、可愛いアクセル……」
弟の前髪を掻き上げ、軽く額にキスを落とした。アクセルは少し身じろぎしたが、起きる気配はなかった。
苦笑しつつ、フレインは無防備な弟を抱き締めた。確かな温もりが今は心地よかった。
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