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第6章~ラグナロクの始まり~
第104話(フレイン視点)
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――ごめんよ、アクセル……。
ここでピピに会えたのは不幸中の幸いだが、自分のミスが消えるわけではない。せめて弟が全快するまで、責任もって側にいなければ……。
「アクセル、頑張って……! 絶対死んじゃだめだからね……!」
「…………」
返事はない。まだ息はしているがそれも虫の息で、いつ途切れてもおかしくなかった。
――死に別れるのは御免だよ……。
今度はもう一人で死にたくない。生前は弟に看取られてしまったけれど、どうせ死ぬならお互いの顔を見合って死にたい。離れ離れになるのはもう嫌だ。隣を見れば当たり前のように弟がいる。それがヴァルハラでも死者の国でも構わない。自分たちにとって当たり前の日常を、当たり前に送りたいだけだ。
そのためにも、こんなところで弟を失うわけにはいかない。
「ぴー!」
ピピが鳴き声を上げた。草木が途切れ、広い荒野のような場所に出た。漆黒の空には白い月が昇っていて、何もない地面をほんのりと照らしていた。
――あれは……!
月光を浴びた湖面が、優美に輝いているのが見えた。透明な水を湛えた泉は、自分の記憶より遥かに広く拡大していた。泉というより、まるで湖のようだった。
そう言えば、ラグナロクに際して教会――オーディンの棺がある場所――を取り壊す代わりに、もともとあった泉を拡張工事したんだっけな……と思い出す。もっとも、ここまで広く拡張するとは思っていなかったが。
ここでピピに会えたのは不幸中の幸いだが、自分のミスが消えるわけではない。せめて弟が全快するまで、責任もって側にいなければ……。
「アクセル、頑張って……! 絶対死んじゃだめだからね……!」
「…………」
返事はない。まだ息はしているがそれも虫の息で、いつ途切れてもおかしくなかった。
――死に別れるのは御免だよ……。
今度はもう一人で死にたくない。生前は弟に看取られてしまったけれど、どうせ死ぬならお互いの顔を見合って死にたい。離れ離れになるのはもう嫌だ。隣を見れば当たり前のように弟がいる。それがヴァルハラでも死者の国でも構わない。自分たちにとって当たり前の日常を、当たり前に送りたいだけだ。
そのためにも、こんなところで弟を失うわけにはいかない。
「ぴー!」
ピピが鳴き声を上げた。草木が途切れ、広い荒野のような場所に出た。漆黒の空には白い月が昇っていて、何もない地面をほんのりと照らしていた。
――あれは……!
月光を浴びた湖面が、優美に輝いているのが見えた。透明な水を湛えた泉は、自分の記憶より遥かに広く拡大していた。泉というより、まるで湖のようだった。
そう言えば、ラグナロクに際して教会――オーディンの棺がある場所――を取り壊す代わりに、もともとあった泉を拡張工事したんだっけな……と思い出す。もっとも、ここまで広く拡張するとは思っていなかったが。
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