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第6章~ラグナロクの始まり~

第61話

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 弟がピンチに陥れば危険を顧みず助けてくれるし、自分と同じ目に遭わないようにとヴァルハラの治安を整備してくれた。他にも数えきれないほど世話になっている。

 でもそれは……アクセルがいなければ、全部起こらなかったことだ。

 一人っ子の寂しさはあったかもしれないが、弟さえいなければ兄はもっと平穏でのんびりした生活が送れたはずなのだ。「なんで私ばかりがこんな目に」、「弟がいるせいでいつも私が貧乏くじ」と感じることもあったと思う。

 アクセルがもっとしっかりしていれば、兄の手を煩わせることもなかったのだろうが……。

 ――結局、全部俺のせいか……。

 いや、そんなこと最初からわかっていた。

 兄に頼らないようにしようと心掛けたところで、ピンチになるとつい兄を呼んでしまう。兄の負担を理解しつつも、兄に甘えるのをやめられない。以前もどこかで言われたが、これは弟の本能みたいなもので、意識して直すことは不可能だ。

 ならば、今のアクセルにできることは……。

「で、どうしようか。このまま神殿探索してみる? それとも、他の場所でお前の服を探す?」
「あ、ああ……そうだな、どうしよう」
「私はどっちでもいいよ。身体もだんだん軽くなってきたし、今ならどこへでも行ける気がするんだ」
「……そうか。それじゃあ、まずは服を調達したいな……。さすがに胸元がビリビリのままじゃ、いざという時に困るし……」
「わかった。じゃあ少し神殿を探索してから別の場所に行こうか。ここにも神父さんが着ていそうな衣装があるかもしれないし」
「……そうだな」

 小さく頷き、兄を見つめる。
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