622 / 2,666
第6章~ラグナロクの始まり~
第35話
しおりを挟む
彼女が瘴気を出していたことにも全く気づかなかった。
死者の国の女王様だから出していてもおかしくなさそうだが、あんなに近くで会話していたのに全く体調が変わらないのも不思議な話だ。
初めて来た人は、あまり瘴気の影響を受けないんだろうか。それとも単に自分が鈍感なだけだろうか。よくわからない……。
「ところで、お前は自分で神器を使ったことは一度もないよね?」
と、兄が話しかけてくる。口元を白いマントで覆っているせいか、やや声がこもっていた。
「地上に戻ったらすぐにラグナロクが始まるかもしれない。今のうちにある程度使い方を学んでおいた方がいいよ。瘴気の石を壊す時に使ってみるといい」
「あ、ああ……それもそうだな。……しかし、瘴気の石を壊す時というのは?」
「瘴気の石は大きいんだ。まあ、見てみればわかるさ」
「そうなのか……」
漬物石くらいの大きさなのかな、とぼんやり想像しつつ、アクセルは兄と並んで歩き回った。
自分は瘴気を感知することができないので、兄が進む方向に一緒についていった。体調が万全でないのに、瘴気の石まで探させてしまって申し訳ない。
「おっと、一個発見」
兄がやや黒みがかった岩に近づいていく。周辺には砕けた小石らしきものがたくさん散らばっていた。漬物石レベルの石はないようだが……。
「じゃ、さっさと破壊しちゃおうかな」
と、兄が岩に向かって武器を構えようとする。
本気で岩を斬ろうとするので、アクセルはびっくりして聞き返した。
死者の国の女王様だから出していてもおかしくなさそうだが、あんなに近くで会話していたのに全く体調が変わらないのも不思議な話だ。
初めて来た人は、あまり瘴気の影響を受けないんだろうか。それとも単に自分が鈍感なだけだろうか。よくわからない……。
「ところで、お前は自分で神器を使ったことは一度もないよね?」
と、兄が話しかけてくる。口元を白いマントで覆っているせいか、やや声がこもっていた。
「地上に戻ったらすぐにラグナロクが始まるかもしれない。今のうちにある程度使い方を学んでおいた方がいいよ。瘴気の石を壊す時に使ってみるといい」
「あ、ああ……それもそうだな。……しかし、瘴気の石を壊す時というのは?」
「瘴気の石は大きいんだ。まあ、見てみればわかるさ」
「そうなのか……」
漬物石くらいの大きさなのかな、とぼんやり想像しつつ、アクセルは兄と並んで歩き回った。
自分は瘴気を感知することができないので、兄が進む方向に一緒についていった。体調が万全でないのに、瘴気の石まで探させてしまって申し訳ない。
「おっと、一個発見」
兄がやや黒みがかった岩に近づいていく。周辺には砕けた小石らしきものがたくさん散らばっていた。漬物石レベルの石はないようだが……。
「じゃ、さっさと破壊しちゃおうかな」
と、兄が岩に向かって武器を構えようとする。
本気で岩を斬ろうとするので、アクセルはびっくりして聞き返した。
0
お気に入りに追加
828
あなたにおすすめの小説
侯爵令息セドリックの憂鬱な日
めちゅう
BL
第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける———
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。
あと一度だけでもいいから君に会いたい
藤雪たすく
BL
異世界に転生し、冒険者ギルドの雑用係として働き始めてかれこれ10年ほど経つけれど……この世界のご飯は素材を生かしすぎている。
いまだ食事に馴染めず米が恋しすぎてしまった為、とある冒険者さんの事が気になって仕方がなくなってしまった。
もう一度あの人に会いたい。あと一度でもあの人と会いたい。
※他サイト投稿済み作品を改題、修正したものになります
【完】ゲームの世界で美人すぎる兄が狙われているが
咲
BL
俺には大好きな兄がいる。3つ年上の高校生の兄。美人で優しいけどおっちょこちょいな可愛い兄だ。
ある日、そんな兄に話題のゲームを進めるとありえない事が起こった。
「あれ?ここってまさか……ゲームの中!?」
モンスターが闊歩する森の中で出会った警備隊に保護されたが、そいつは兄を狙っていたようで………?
重度のブラコン弟が兄を守ろうとしたり、壊れたブラコンの兄が一線越えちゃったりします。高確率でえろです。
※近親相姦です。バッチリ血の繋がった兄弟です。
※第三者×兄(弟)描写があります。
※ヤンデレの闇属性でビッチです。
※兄の方が優位です。
※男性向けの表現を含みます。
※左右非固定なのでコロコロ変わります。固定厨の方は推奨しません。
お気に入り登録、感想などはお気軽にしていただけると嬉しいです!
乙女ゲームのサポートメガネキャラに転生しました
西楓
BL
乙女ゲームのサポートキャラとして転生した俺は、ヒロインと攻略対象を無事くっつけることが出来るだろうか。どうやらヒロインの様子が違うような。距離の近いヒロインに徐々に不信感を抱く攻略対象。何故か攻略対象が接近してきて…
ほのほのです。
※有難いことに別サイトでその後の話をご希望されました(嬉しい😆)ので追加いたしました。
嫌われ者の長男
りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....
双子攻略が難解すぎてもうやりたくない
はー
BL
※監禁、調教、ストーカーなどの表現があります。
22歳で死んでしまった俺はどうやら乙女ゲームの世界にストーカーとして転生したらしい。
脱ストーカーして少し遠くから傍観していたはずなのにこの双子は何で絡んでくるんだ!!
ストーカーされてた双子×ストーカー辞めたストーカー(転生者)の話
⭐︎登場人物⭐︎
元ストーカーくん(転生者)佐藤翔
主人公 一宮桜
攻略対象1 東雲春馬
攻略対象2 早乙女夏樹
攻略対象3 如月雪成(双子兄)
攻略対象4 如月雪 (双子弟)
元ストーカーくんの兄 佐藤明
王太子殿下は悪役令息のいいなり
白兪
BL
「王太子殿下は公爵令息に誑かされている」
そんな噂が立ち出したのはいつからだろう。
しかし、当の王太子は噂など気にせず公爵令息を溺愛していて…!?
スパダリ王太子とまったり令息が周囲の勘違いを自然と解いていきながら、甘々な日々を送る話です。
ハッピーエンドが大好きな私が気ままに書きます。最後まで応援していただけると嬉しいです。
書き終わっているので完結保証です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる