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第6章~ラグナロクの始まり~

第2話

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 ――あっ、兄上だ……!

 白い片マントを翻し、華麗に敵を斬っていく兄。何人もの敵を倒しているのに、白い衣装には一滴の返り血もついていなかった。美しく戦場を舞っている姿に、改めて見惚れてしまった。

 ――ああ……やっぱり兄上かっこいい……。

 目からハートが出そうだ。遠くから眺めているだけでうっとりする。

 いつもはおっとりして、ややすっとぼけているところがあるけれど、さすがに戦場では勇ましい。そのギャップに惚れ直した。

「フレイン、もうこの辺りでいいだろう。先に進むぞ」
「はいはい、了解だよ」

 ブン、と太刀を地面に向かって振り、こびりついた血を振り落とす。残った血は紙で拭き取って、鞘にパチンと納めた。

 ――兄上と一緒に戦いたかったなぁ……。

 今更だが、これに関しては本当に残念だと思う。なんで俺は十一歳も年下なのかと、事あるごとに悔しくなったものだ。それは今でもちょっと思っている。年齢は追いついたものの、中身はちっとも追いついている気がしない。今でも自分は未熟な弟のままなのだ。兄がいないと肝心な時に何もできない……。

 ――というか、ここに兄上がいるってことは、俺は後方で待機してるってことか?

 あるいはまだ配備すらされていないか……などと考えていた時、とある人物が兄に近づいていった。

 ――えっ……?

 黒ベースの衣装に、両肩には金属製の肩当て。腰に二振りの小太刀を下げており、

 あれは、どこをどう見ても若かりし頃の自分だった。十一年前だから十六歳くらいか。
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