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第3章~新たなる試練~

第133話(アクセル~フレイン視点)

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「っ……!?」

 そんなことを考えている自分に気付き、ショックのあまり胸が潰れそうになった。

 ――どうかしてるぞ、俺……!

 兄・フレインのことは昔から大好きだ。人間だった頃はずっと片想いだったから、ようやくヴァルハラで結ばれて本当に嬉しかったのだ。今だってもったいないくらい愛されて、幸せでたまらないのに。

 それなのに、何故こんなことを……。

 ――こんなこと思ってない……考えちゃいけない……。

 兄のことを「疎ましい」だの「目障り」だの、ましてや「いなくなればいい」だなんて、そんなこと……。

「……アクセル?」

 兄が心配そうに顔を覗き込んできた。

「本当に大丈夫? さっきから様子が……」

 兄の顔を見た瞬間、何かがプチンと弾けた。

 それっきり、アクセルの理性はどす黒い本能に掻き消された。

***

 もう一度弟の様子を窺おうとしたら、急に弟の態度が豹変した。

「うざいんだよ!」
「っ……!」

 驚く間もなく胸倉を掴まれ、地面に引き倒されて馬乗りにされる。そのまま首に手をかけられ、容赦なくギリギリ締め上げられた。

「あんたがいるから……あんたのせいで、俺は……」
「か……はっ……」
「あんたなんていなくなればいいんだ!」

 弟の指が気管に食い込み、息ができなくなる。首を圧迫されたことで脳が膨脹するような感覚に陥り、酸素の足りなくなった身体が空気を求めて痙攣し始める。

 命の危機を覚え、フレインは指先で弟の喉仏を突いた。弟が仰け反り、両手の力が一瞬緩んだ。

 その隙を見逃さず、半身を起こして太刀を掴むと、柄の部分で弟の腹部を殴った。
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