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第3章~新たなる試練~

第116話

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 言われてみればその通りだ。兄は蘇ったばかりで、本調子なのかよくわからない。喉元に傷が残っているように、完全に蘇生したとは言えない状態だ。

 兄から誘われたデートではあるが、今日は大事をとって休んでいた方がいいかもしれない……。

「何してるの?」

 そこへ兄本人がやってきた。兄の表情はほとんど変わらなかったが、纏っている空気がピシッと張り詰めたのを感じた。

 ロシェに至ってはあからさまに青い顔になり、怯えたように半歩後ろに下がる。

「フ、フレイン様……ここにいらっしゃったのですか……」
「……誰かと思えばきみか。朝から騒々しいね。うちの弟に何の用?」
「ち、ちょっとした朝のご挨拶に……。特に用はありませんので、これで失礼します!」

 そう言うなり、ロシェは脱兎のごとく逃げて行ってしまった。アクセルは軽く溜息をつきながら、ドアを閉めた。

「兄上……トラブルでもないんだから、わざわざ出て来なくてもよかったんだぞ?」
「お前が玄関でずっと話し込んでるから、誰なのかと思っただけだよ。というかあの問題児、本当に何の用だったの?」
「本当にただの挨拶だよ……。というか、言うほど問題児でもないと思うけどな、ロシェは」
「おや、彼の肩を持つのかい? もう少しで狼に喰い殺されるところだったのに」
「それは……でも、狼が来たのは偶然だと思うんだが。崖に落ちたのだって、俺の不注意みたいなもんだし」

 そう言ったら、兄は露骨に眉を顰めた。
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