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第2章~溢れる想い~

第54話

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 すると兄は、笑いながら手を握ってきた。

「大丈夫大丈夫、もうしないよ。お前が傍にいてくれれば、私は誰かと遊ぶ必要もないしね」
「……本当か?」
「本当だって。お前よりいい男なんていないもの」

 むくっと上半身を起こし、兄が軽く口付けてくる。

「そういうお前も油断しないようにね。綺麗な男は狙われるって、よくわかったでしょ? 今後は顔見知りであっても、気安くついて行っちゃだめだよ。いいね?」
「ああ、わかったよ……」
「ふふ、いい子。まあ可愛い弟に変なことする人がいたら、お兄ちゃんが全部斬っちゃうけど」
「……兄上」

 冗談めかして言っているが、この兄だったら普通にやりかねない。先程の男たちを問答無用で斬り捨てたのがその証拠だ。

 絶対に怒らせないようにしよう……心に誓いつつ、アクセルは話題を変えた。

「そう言えば兄上、夕食はどうする予定なんだ?」
「あー……確かに訓練後から何も食べてなかったね。ちょっとお腹空いてきたかも」
「食材があるなら、俺が何か作ろうか?」
「ほんと? いいの?」
「ああ、そんなすごい物は作れないけどな」

 そう言ったら、兄はぱあっと顔を輝かせた。ちょっと可愛いなと思った。

「わー、嬉しいな。弟の手料理食べるの、夢だったんだ」
「そ、そうか……できる限りの物は作らせてもらうよ。……その前に浴室借りていいか? 湯浴みをしたい」
「うん、いいよ。浴室はそこの廊下を歩いてすぐ右の扉さ」

 アクセルはベッドを降りて浴室に向かった。広々とした脱衣所にタオルを置き、扉を開けて浴室に入る。
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