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第2章~溢れる想い~
第35話
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「昼間の訓練では申し訳ないことをした。本当にすまない」
「ああ、そんなこともあったね。あれは気にしなくて大丈夫だよ」
「そういうわけにはいかない。戦いの快楽に呑まれて我を忘れた挙げ句、あなたを殺めてしまうなんて……」
「初心者ならあれくらいの暴走、よくあることさ。それにほら、私だってお前を殺したことあるし」
「死合い中はいいんだ。お互い覚悟を持って斬っているから。でも、意図せず相手を斬ってしまうのはただのミスだ。俺が未熟だという証拠だ」
「…………」
「すまない、兄上……出来の悪い弟で」
武器を振るうことは、相手を傷つけることである。だからこそ自分の力は自分でコントロールできなければならず、戦闘中に我を忘れて暴れ回るような人は戦士失格なのだ。
今回はヴァルハラでの出来事だったからよかった(いや、本当はよくない)が、これが下界で起こっていたら取り返しのつかないことになっていた。一番大切な人を誤って殺してしまっていた。
そう思えば思うほど、自分の罪の重さがのしかかってきて胸が潰れそうになる。
「お前は真面目だね。そしてとても優しい」
兄が土下座しているアクセルの前に膝をつく。そして優しく髪を撫でながら言った。
「その気持ちがあれば、同じ間違いは二度と犯さないさ。次はきっと大丈夫だよ」
「兄上……」
「それより私は、お前の心の傷の方が心配だ。ああいうことをされて、トラウマになる人もいるから……」
「……えっ?」
「怖かっただろう? 全く経験ないのに、いきなりあんなことされて……。一人じゃ怖いだろうから、しばらく私の家に泊まっていいからね」
「え……あ、はあ……それはありがたいですが……」
腫物を扱うように接してくる兄に、いささかの決まりの悪さを覚える。
「ああ、そんなこともあったね。あれは気にしなくて大丈夫だよ」
「そういうわけにはいかない。戦いの快楽に呑まれて我を忘れた挙げ句、あなたを殺めてしまうなんて……」
「初心者ならあれくらいの暴走、よくあることさ。それにほら、私だってお前を殺したことあるし」
「死合い中はいいんだ。お互い覚悟を持って斬っているから。でも、意図せず相手を斬ってしまうのはただのミスだ。俺が未熟だという証拠だ」
「…………」
「すまない、兄上……出来の悪い弟で」
武器を振るうことは、相手を傷つけることである。だからこそ自分の力は自分でコントロールできなければならず、戦闘中に我を忘れて暴れ回るような人は戦士失格なのだ。
今回はヴァルハラでの出来事だったからよかった(いや、本当はよくない)が、これが下界で起こっていたら取り返しのつかないことになっていた。一番大切な人を誤って殺してしまっていた。
そう思えば思うほど、自分の罪の重さがのしかかってきて胸が潰れそうになる。
「お前は真面目だね。そしてとても優しい」
兄が土下座しているアクセルの前に膝をつく。そして優しく髪を撫でながら言った。
「その気持ちがあれば、同じ間違いは二度と犯さないさ。次はきっと大丈夫だよ」
「兄上……」
「それより私は、お前の心の傷の方が心配だ。ああいうことをされて、トラウマになる人もいるから……」
「……えっ?」
「怖かっただろう? 全く経験ないのに、いきなりあんなことされて……。一人じゃ怖いだろうから、しばらく私の家に泊まっていいからね」
「え……あ、はあ……それはありがたいですが……」
腫物を扱うように接してくる兄に、いささかの決まりの悪さを覚える。
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