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第2章~溢れる想い~

第27話

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「ああ、お前さんはまだ知らないのか。狂戦士(バーサーカー)になったまま我を忘れて戻れなくなると、『完全獣化じゅうか』って判断されて魂砕かれるんだよ。これを『破魂』って呼んでるんだ。ヴァルハラの戦士にとっては『死』みたいなもんだな」

 それは初耳だ。「破魂」というのも初めて聞いたし、ジークの体験談も意外だった。ランキングの上位に居座っている戦士たちも、それなりの経験を積んでいるようだ。

 ジークが苦笑した。

「いいじゃねぇか。お前さんには失敗をフォローしてくれる兄貴がいるんだから。本来なら殺して止めるところを、あいつはわざわざ自分が殺される方を選んだんだぜ? そこまでしてくれた兄貴の思いやり、無駄にすんなよ」
「…………」
「じゃ、またな」

 軽く手を掲げ、ジークは立ち去っていった。

 ――『兄貴の思いやり』か……。

 また胸がズキンと痛んだ。

 兄の思いやりなんて、今更言われなくてもわかっている。人間だった頃からずっと優しくて、歳の離れた自分を可愛がってくれた。今でももったいないくらい愛情を注いでくれるし、何かあった時は必ず助けてくれる。

 だが、それだけに時折申し訳なく思うこともあった。兄上はこんなに俺を愛してくれているのに、俺は何もお返しできていない。それどころか、我を忘れて殺してしまう始末だ。

 ――俺、一体どうすればいいんだろう……。
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