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第2章~溢れる想い~

第20話※

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「では、いこうか」
「よっしゃ! オレ達は簡単にはやられないぞ!」

 目にも留まらない速さで、ミューに斬りかかっていく二人。

「やったね! 盛り上がってきたよー!」

 ミューはそれを楽しそうに受け止め、鎌と一緒に鉄球をも勢いよく振り回した。金属同士がぶつかり合って火花が飛び散り、三人のオーラが衝撃波となって周囲の小石を弾き飛ばす。

 普通の戦士とは比べ物にならない。腕力、脚力、瞬発力……等々、何もかもが圧倒的だった。纏っているオーラからして、下位ランカーとは全然違った。

 ――これが狂戦士か……!

 アクセルは感動した。

 なんて楽しそうなんだろう。見ているだけでウズウズしてくる。俺もあんな風に戦いたい。あの高みに到達したい。彼らが――兄上が共有している感覚を、俺も一緒に味わいたい。

 俺が狂戦士になれたら、ああやって兄上と派手に死合うことも……!

「ふ……ふ……っ」

 熱い息を吐きながら、アクセルは両手の小太刀を構えた。

 血が滾る。興奮する。戦士としての本能が擽られる。狂戦士ならではの感覚を、この身にも是非……!

「シャアァァァアッ!」

 雄叫びを上げ、アクセルはミューに飛びかかった。何故かいつもより身体が軽かった。

「おおっ! もしやアクセルも狂戦士になった? 訓練初体験なのにすごいねー!」
「……!」

 そうか、これが狂戦士なのか。なんだか知らないが、自分にもできたみたいだ。

「ふふ……くははは!」

 楽しい。自分の思い通りに身体が動く。相手の動きが全てクリアに見え、痛みがないから斬られるのも怖くない。全身の血が沸騰し、永遠に戦っていられる気がする。

 最高の感覚だ。なんて気持ちいいんだろう。今までに味わったことのない快感だ。もっと味わっていたい。もっと、もっと。

「タアァァァア!」

 アクセルは無我夢中で武器を振るった。自分以外の人間が全て敵に見えてきた。
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