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第2章~溢れる想い~

第4話

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「ねえ、このシチューとってもおいしいね。アクセルが作ったんだって?」
「ああ、作ったと言っても手伝っただけだが……」
「でも味付けとか最高だよ。料理も上手でかっこよくて、おまけに強いなんてうらやましいな」
「いや、そんなたいしたことは……。俺より強い人なんていくらでもいるし」
「五〇位以内だったら十分すごいと思うけど」
「ありがとう。でもまだまだだ。七位以内には程遠い」
「アクセルは七位以内に入りたいの?」
「そうだな。早く兄上と同じくらい強くなりたいし」
「お兄ちゃんってフレインだよね。いいね、がんばって」
「あ、ああ……ありがとう……」

 礼を言いつつも、トップセブンに君臨している戦士を友達のように呼び捨てにしていることに少し面食らった。

 アクセルはそんなに気にならないが、こんな喋り方をしたら気にする上位ランカーもいるのではないか。気の短いランカーだったら――例えばランゴバルトみたいな荒くれ者だったら、問答無用で斬られてしまうかもしれない。やんわりと注意してあげた方がいいのではないか。

 どう言ったものか……とあれこれ考えた挙げ句、アクセルはこう尋ねることにした。

「ところで、きみの名前は?」
「ああ、僕はねぇ……」

 少年が口を開きかけた時、会場の雰囲気がガラッと変わった。真ん中の広場に、派手に着飾った長身の男性が現れる。ユーベルだ。金糸・銀糸を織り込んだ上着に、ゆったりした裾のパンツを履いている。

「あ、ユーベル。つるぎの舞が始まるのか」
「あ、ああ……そうみたいだな……」

 また呼び捨て……ということより、アクセルは少年の身なりが気になってしょうがなかった。

 危険な舞だというのに、武器を持っているようには見えない。盾も装備していないし、鎧を着ているとも思えなかった。というか、短パンを穿いているので太ももが剥き出しだ。

 けれど本人は全く危機感がなく、平然とイノシシのシチューを食べ続けている。
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