22 / 2,792
第1章~あなたを目指して~
第22話
しおりを挟む
チェイニーがやや呆れたような表情になる。
「ひっどいよなぁ、フレイン様。弟を忘れた挙げ句、腕まで斬り落としちゃうなんてさ。愛しのお兄様、生前からそんなドSだったわけ?」
「いや、そんなことは……。まあ、人の顔と名前を覚えるのは苦手だったけど……」
そう言いつつ、思い出したら腹が立ってきた。一途に兄だけを追いかけてきた身としては、あの仕打ちはどうしても納得できなかった。
他の人を忘れるならまだしも、何故よりにもよって弟を忘れるのか。兄にとって自分はその程度の存在なのか? 俺は一日たりとも兄上を忘れたことなんてないのに!
腹立ち紛れに、アクセルは天に向かって叫んだ。
「兄上の馬鹿ー! 大雑把のニワトリ男めー!」
「? なんでニワトリなのさ?」
「ニワトリは三歩歩くとすぐ忘れちゃうだろ。今度会ったら頭にトサカ投げつけてやる!」
「まあ落ち着きなよ。ほらアレだ、ここに来た時ヴァルキリーが言ってたじゃん。『エインヘリヤルになる時に、生前の記憶が一部欠損することがあります』って。フレイン様の物忘れはそれが原因じゃないの?」
「だとしても! 弟のことは忘れちゃいけないだろ! 忘れるならもっと別のことを忘れてくれ!」
「そんなこと言われてもねぇ……」
「ホントにあり得ない……! 十一年ぶりの再会だったのに、第一声が『誰だっけ?』なんて……! 『ランク上げ、頑張って』じゃなくてもっと他に言う事あるだろ……!」
「ひっどいよなぁ、フレイン様。弟を忘れた挙げ句、腕まで斬り落としちゃうなんてさ。愛しのお兄様、生前からそんなドSだったわけ?」
「いや、そんなことは……。まあ、人の顔と名前を覚えるのは苦手だったけど……」
そう言いつつ、思い出したら腹が立ってきた。一途に兄だけを追いかけてきた身としては、あの仕打ちはどうしても納得できなかった。
他の人を忘れるならまだしも、何故よりにもよって弟を忘れるのか。兄にとって自分はその程度の存在なのか? 俺は一日たりとも兄上を忘れたことなんてないのに!
腹立ち紛れに、アクセルは天に向かって叫んだ。
「兄上の馬鹿ー! 大雑把のニワトリ男めー!」
「? なんでニワトリなのさ?」
「ニワトリは三歩歩くとすぐ忘れちゃうだろ。今度会ったら頭にトサカ投げつけてやる!」
「まあ落ち着きなよ。ほらアレだ、ここに来た時ヴァルキリーが言ってたじゃん。『エインヘリヤルになる時に、生前の記憶が一部欠損することがあります』って。フレイン様の物忘れはそれが原因じゃないの?」
「だとしても! 弟のことは忘れちゃいけないだろ! 忘れるならもっと別のことを忘れてくれ!」
「そんなこと言われてもねぇ……」
「ホントにあり得ない……! 十一年ぶりの再会だったのに、第一声が『誰だっけ?』なんて……! 『ランク上げ、頑張って』じゃなくてもっと他に言う事あるだろ……!」
0
お気に入りに追加
844
あなたにおすすめの小説

ハッピーエンドのために妹に代わって惚れ薬を飲んだ悪役兄の101回目
カギカッコ「」
BL
ヤられて不幸になる妹のハッピーエンドのため、リバース転生し続けている兄は我が身を犠牲にする。妹が飲むはずだった惚れ薬を代わりに飲んで。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)

嫌われ者の長男
りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....

弟は僕の名前を知らないらしい。
いちの瀬
BL
ずっと、居ないものとして扱われてきた。
父にも、母にも、弟にさえも。
そう思っていたけど、まず弟は僕の存在を知らなかったみたいだ。
シリアスかと思いきやガチガチのただのほのぼの男子高校生の戯れです。
BLなのかもわからないような男子高校生のふざけあいが苦手な方はご遠慮ください。

モブなのに執着系ヤンデレ美形の友達にいつの間にか、なってしまっていた
マルン円
BL
執着系ヤンデレ美形×鈍感平凡主人公。全4話のサクッと読めるBL短編です(タイトルを変えました)。
主人公は妹がしていた乙女ゲームの世界に転生し、今はロニーとして地味な高校生活を送っている。内気なロニーが気軽に学校で話せる友達は同級生のエドだけで、ロニーとエドはいっしょにいることが多かった。
しかし、ロニーはある日、髪をばっさり切ってイメチェンしたエドを見て、エドがヒロインに執着しまくるメインキャラの一人だったことを思い出す。
平凡な生活を送りたいロニーは、これからヒロインのことを好きになるであろうエドとは距離を置こうと決意する。
タイトルを変えました。
前のタイトルは、「モブなのに、いつのまにかヒロインに執着しまくるキャラの友達になってしまっていた」です。
急に変えてしまい、すみません。
異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話
深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?

買われた悪役令息は攻略対象に異常なくらい愛でられてます
瑳来
BL
元は純日本人の俺は不慮な事故にあい死んでしまった。そんな俺の第2の人生は死ぬ前に姉がやっていた乙女ゲームの悪役令息だった。悪役令息の役割を全うしていた俺はついに天罰がくらい捕らえられて人身売買のオークションに出品されていた。
そこで俺を落札したのは俺を破滅へと追い込んだ王家の第1王子でありゲームの攻略対象だった。
そんな落ちぶれた俺と俺を買った何考えてるかわかんない王子との生活がはじまった。

ヤンデレ化していた幼稚園ぶりの友人に食べられました
ミルク珈琲
BL
幼稚園の頃ずっと後ろを着いてきて、泣き虫だった男の子がいた。
「優ちゃんは絶対に僕のものにする♡」
ストーリーを分かりやすくするために少しだけ変更させて頂きましたm(_ _)m
・洸sideも投稿させて頂く予定です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる