194 / 393
冬休み編
第3話
しおりを挟む
「……それで、話ってなんですか」
誰もいない屋上に連れてこられて、夏樹は目を細めた。
聞くまでもなく、話の内容はわかっている。
それでもあえて聞いたのは、いきなり本題に入られるのが怖かったからだ。一拍置くことで、緊張している自分の心を落ち着かせたかったからだ。
河口が口を開いた。
「ズバリ聞くけどさ。お前、市川センセとつき合ってるだろ」
「…………」
やはりそうきたか。夏樹は内心で溜息をついた。
こういう疑いは、決定的な証拠を突き付けられない限り、こちらが否定し続けていればごまかせる。翔太はそう言っていた。
だから夏樹も、とことん嘘をつき通そうと思った。
「……つき合ってませんよ。なんでそんなこと聞くんですか」
「へぇ~? マジでつき合ってねぇの? だったらなんで文化祭の時あんなことしてたのかなぁ?」
「えっ……?」
「お前、先生とあの茶室でヤりまくってただろ」
「!?」
なんでそんなこと知ってるんだ。あの茶室には当時、他の生徒は誰もいなかったはずだ。翔太がバラしたとも思えないし、何故……?
(あっ……まさか……!)
途中で微かに聞こえた、枝が割れたような音。あれは河口が出した音だったのではないか。茶室に耳をそばだてているうちに、枝を踏んづけてしまったのではないか。
だとしたら、市川との関係は全部河口にバレているということになる。
河口はニヤニヤ笑いながら、するりと夏樹の背後に回ってきた。
誰もいない屋上に連れてこられて、夏樹は目を細めた。
聞くまでもなく、話の内容はわかっている。
それでもあえて聞いたのは、いきなり本題に入られるのが怖かったからだ。一拍置くことで、緊張している自分の心を落ち着かせたかったからだ。
河口が口を開いた。
「ズバリ聞くけどさ。お前、市川センセとつき合ってるだろ」
「…………」
やはりそうきたか。夏樹は内心で溜息をついた。
こういう疑いは、決定的な証拠を突き付けられない限り、こちらが否定し続けていればごまかせる。翔太はそう言っていた。
だから夏樹も、とことん嘘をつき通そうと思った。
「……つき合ってませんよ。なんでそんなこと聞くんですか」
「へぇ~? マジでつき合ってねぇの? だったらなんで文化祭の時あんなことしてたのかなぁ?」
「えっ……?」
「お前、先生とあの茶室でヤりまくってただろ」
「!?」
なんでそんなこと知ってるんだ。あの茶室には当時、他の生徒は誰もいなかったはずだ。翔太がバラしたとも思えないし、何故……?
(あっ……まさか……!)
途中で微かに聞こえた、枝が割れたような音。あれは河口が出した音だったのではないか。茶室に耳をそばだてているうちに、枝を踏んづけてしまったのではないか。
だとしたら、市川との関係は全部河口にバレているということになる。
河口はニヤニヤ笑いながら、するりと夏樹の背後に回ってきた。
0
お気に入りに追加
603
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
膀胱を虐められる男の子の話
煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ
男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話
膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)
童貞が建設会社に就職したらメスにされちゃった
なる
BL
主人公の高梨優(男)は18歳で高校卒業後、小さな建設会社に就職した。しかし、そこはおじさんばかりの職場だった。
ストレスや性欲が溜まったおじさん達は、優にエッチな視線を浴びせ…
新しいパパは超美人??~母と息子の雌堕ち記録~
焼き芋さん
BL
ママが連れてきたパパは超美人でした。
美しい声、引き締まったボディ、スラリと伸びた美しいおみ足。
スタイルも良くママよりも綺麗…でもそんなパパには太くて立派なおちんちんが付いていました。
これは…そんなパパに快楽地獄に堕とされた母と息子の物語…
※DLsite様でCG集販売の予定あり
受け付けの全裸お兄さんが店主に客の前で公開プレイされる大人の玩具専門店
ミクリ21 (新)
BL
大人の玩具専門店【ラブシモン】を営む執事服の店主レイザーと、受け付けの全裸お兄さんシモンが毎日公開プレイしている話。
「学校でトイレは1日2回まで」という校則がある女子校の話
赤髪命
大衆娯楽
とある地方の私立女子校、御清水学園には、ある変わった校則があった。
「校内のトイレを使うには、毎朝各個人に2枚ずつ配られるコインを使用しなければならない」
そんな校則の中で生活する少女たちの、おしがまと助け合いの物語
部室強制監獄
裕光
BL
夜8時に毎日更新します!
高校2年生サッカー部所属の祐介。
先輩・後輩・同級生みんなから親しく人望がとても厚い。
ある日の夜。
剣道部の同級生 蓮と夜飯に行った所途中からプチッと記憶が途切れてしまう
気づいたら剣道部の部室に拘束されて身動きは取れなくなっていた
現れたのは蓮ともう1人。
1個上の剣道部蓮の先輩の大野だ。
そして大野は裕介に向かって言った。
大野「お前も肉便器に改造してやる」
大野は蓮に裕介のサッカーの練習着を渡すと中を開けて―…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる