Kの家族

第5話 魔女狩り

魔女狩りが頻繁におこったのは、唯気に入らない人がいっぱい居たからだろう。

障害者、高齢者、女性、子供、同性愛者、思考する人、哲学者、政治にとって都合の悪い人。
みんなひとまとめに邪魔だから殺された。

歴史の中でもよくある話だ。
唯、時の権力者、為政者にとって目障りな者は藁人形のように処分される。
身勝手だが、それも人間の本質なのだ。利己的な遺伝子が殺せと命じたのだろうか？

目の前で火あぶりにされても、何も感じない人は多かった。感じる人は極僅かだったらしい。

「この違いってなんなんだろう。うーん。」

「さあ、よくわからないけど、共感する個体もあれば、全くない個体もあるんじゃないか？環境要因、時代の要因もあるが、遺伝子の要因もある。複雑に絡み合って、共存できなくなった、何かが
膨れ切った風船を針で刺すように弾ける時、瞬間があるんじゃないか？
でなければ、革命とか、暴動とか、人狩りなど起きるはずがない・・。」

ひらひらと手の代わりに羽を振りかざしながら、ケチュルは溜息がついた。

「全く下界の人間は複雑で僕らには手に負えないよ。そんなに嫌いなら全滅させればいいのに・・
嗚呼そうだ。〇△ラーは、自分より優秀な民族を根絶やしにしようとしたね。
凄いね。計画的に、荷物として運んで焼却炉に入れたんだ。ふうん。ガスまで・・。でも残念だったね。次第にバレてとうとう人道的に反すると国際が反発したんだ。
笑わせるよ。全く偽善ぽいよ・・。知っている？身近な民が壁の向こう側で悲鳴や断末魔、銃声が聞こえても無視していたんだよ。そのくせ知らなかったとぬけぬけというんだ。
いや・・本当にその時は彼らは視界に入らなかったのかもね・・。人間って怖いからね。」

「そうだな‥そのくせ偽善を尊ぶから我らにはわからんよ。」
触手をひらめかせながら神々は討論した。
第８宇宙領域を担当する鳥の遺伝子が組み込まれたケチュルと、蛸や、未知の遺伝子が組み込まれたクチュルは命じられた通り、原人と遺伝子改造された人間を監視していた。
その民族は奇妙な宗教、風習、慣習をそれぞれ創り上げた。
通常なら、その文明は停滞していただろう。しかしある時天才は生まれ、時代を大きく動かすのだ。
「ねえ・・ぼく思ったんだけど、天才ってもしかして特別な遺伝子注入されてないかな？、自然のものにしては、あまりにも都合がいいんだよね。」
「そうだな・・ウエの人たちに弄られているかもしれない。この文明がどうなるかもわからんし、監視や観察も楽ではない。」
ふうとクチュルは溜息をついた。
悍ましい蛮行をしながら、破滅的な行為をしながら、命と性や生を尊ぶ欠陥だらけの民族にうんざりと疲れ果てていた。
「しかし、ワレワレはその役目を担ったのだ。唯遂行するのみだ。」
「ええ・・いつ終わるんだろう・・。」
「そのときは、魔女狩りがこの星全体に・・覆われた時だ。」
「ふうん・・早めることはできないの？」
「できないことはないが・・まあしばらく様子見しよう・・。」
神々は不穏な議論をして、この文明はいつ終わってくれるか、いつ終わらせるか彼らは思考した。
そこに民族への文明への愛はなかった。