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63 【完】人生に悪役令嬢が続くわけない(と思いたい)
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「今日、この日、私達はボルドート王立学校を卒業します。今までありがとうございました」
とレオナ様の言葉でパーティーは開始した。その隣には兄様が微笑んでいた。
私達は、まず、来賓として紹介されその場で礼をした。
ただ、一点嘘がある。
『トモホーク王国第一王子、ヒョーガル・トモホーク殿下並びに婚約者ミルフィーナ・ダルン嬢』
いや、婚約してないよ!
これはまずいでしょう。だって書面も交わしてないし、そのなんとなくそんな流れかなっていう告白的なシーンはあった!あったけどその愛を語らうとかその約束の口づけ的なラブロマンスはなかったわけで…
そう、それは雰囲気的な告白で、妄想を働かせながら勝手に恋人に結びつけるあれやそれで。
だから婚約はしていなくて…
という思いで隣を見上げれば、笑顔で返ってきた。
違う、
違うよ。なんか違う。この人には、残念臭がする。話せばわかる、きっと…
一生に一度ならロマンチックで感動的で大袈裟でもなんでも、思い出が欲しいのよ私はね。それがロマンス小説愛好家だったりする。
でも現実はそんな物語はないのだけどね。
それで良い。平和でほのぼの、最高だけど、私は、我儘全部叶えさせていただきます。
我慢しません!
どうか、これから覚悟してください。と横を見れば、少しだけ首を傾げる姿、尊い!
「みんなに発表がある。今日、私、レオナルド・ボルドートはマリネッセ・アルフレッド公爵令嬢と婚約の書面を交わした。婚姻は、約二年後になる」
と王子自らの声で発表した。
マリネッセ様は美しく、昨日騒動に巻き込まれた感じを一切出さず、美しい姿勢でお辞儀をし、一本の芯の通った未来の王妃像を思わせた。
会場は大きな拍手に包まれた。歓声も上がった。
うん、私とは大違いだね、これも一つのロマンスだよね。思い出のワンシーンだよ。
と言う目でヒョーガル王子を見れば、視線を外した。
気づいた?やっと気づいた?
なんていうかこういうのさらっと流してやっちゃいけないこと気づいた?
「あ、あの、今、色々面倒くさくなるから紹介の仕方を端的に…そう誰も来賓なんて気にしてないから、まぁ、後日、後日だよな、俺達は…」
…
…
全くね、困った方ですよ。
まずいと思ったらしい気付きはいいですよ。これからに期待が出来ます。でも誰も気にしてないとか言っちゃいけないね。
私はこっそり、
「はぁ~駄目だわ、駄目すぎ」
と呟いた。
大きな黒犬が少ししょんぼりした後、会場に音楽が鳴り響き中、私の手を引いていく。
それは夕暮れの庭園
ヒョーガル王子の瞳は穏やかなオレンジ色。その中に私が映り込む。
「どんなことがあっても私は、いや俺は、ミルフィーナ・ダルンと共に生きていくから。ついて来て欲しい」
熱を感じるその掌の温度。熱は生きている証だ。
ふふっ変なの。ラブロマンス要素を求めているのに、直にあたると逃げたくなる心理、これを誰か説明してください。
…
…
会場から漏れてくる音楽。
…
「頑張ります」
私の言った言葉は正解かどうか?
かしこまりました
が、正解だったかしら?
「うん、どっちでも嬉しい」
と笑っている。
それが幸せ。アリサさんの笑顔を思い出した。ああ、こんな笑顔が幸せなのね。
これがハッピーエンド。エンディングは、いいね、これで!
またエスコートされながら、会場に戻れば、最老先生が扉の前にいた。
「いかがしましたか、ヨーダ先生?」
とヒョーガル王子が聞くと、
「王子、女王陛下が、ボルドート王国にお見えです」
と最老先生が答えた。
「えっ?」
ヒョーガル王子の驚く声。
「二人で王宮に戻ってきて欲しいと言ってます」
女王陛下とな!?
***
ボルドート王宮 ある会議室
「何故勝手にトモホーク王国から出てきたんですか?女王陛下!」
とヒョーガル王子が質問した。
あぁ、女王陛下の視線が痛い。
「なんとなく、私の勘がこの国で動きがあるって言ったのね。だから馬に乗って来ちゃったの」
んっ!?
なんかキャラ濃くない?
話し方変じゃないかしら?
女王陛下よね?
「馬車じゃなく単身馬ですか?護衛は?」
「護衛、もちろんいるの。二人ね」
と答えた。
じろじろ見るのは失礼だから、ずっと目線は、下を見ている。
少しだけ目線を上げる。
そこには話し方と違うバリバリ女騎士の姿がそこにあった。
ヒョーガル王子と同じ黒髪に薄い赤色の瞳。身体が大きく迫力がある女性。
何故騎士が~なの、的な話し方なのか?
駄目、今は、余計なこと考えちゃ駄目。
あぁ下から上まで評価されているわ。
「女王陛下、そういった無粋な目で見るのはやめていただきたい。彼女は、貴族令嬢ですので」
と言えば、
「でもミラン国の件、ミルフィーナ嬢が計画潰したのよね、賢者の話を聞いてワクワクしたの。ねぇ、闘ろうよ!どうやって馬車止めたの?闘ろう」
と女王陛下が威圧してくる。
まさかこれが花嫁修行?
アリサさんに何をするか聞かなきゃ。さっきから、やろうと言っているし、きっと王妃教育だわ。
昨日までのバトルロワイアルとは違うわ。
本格的なトモホーク王国の勉強?礼儀作法?
今から?色々無理!
「本日は、私の義妹が婚約をしまして、そのパーティーにお祝いに行かなければなりません。今夜は(王妃教育は)ご容赦ください」
「そうなの、模擬戦は時間かからないの。でもその素敵ドレス着替えなきゃいけないものね、わかったの。トモホーク王国に来るのね?」
と女王陛下は一応一人で納得されていた。
それよりも気になる。
「どうしたの?何故難しい顔をしているの?」
と威圧をガンガンかけながら、私に聞いてくる。その雰囲気と言葉がチグハグすぎてついていけない。
「何故、文の終わりに「の」をつけるのですか?」
と聞けば、
「私、辺境伯の娘で近衞騎士だったの。幼少期から男社会で育ったせいで言葉使いが壊滅的だったの。でも国王様からの猛烈なアタックで仕方なく王妃になるけど公務は無言で通したの。でも国王様が亡くなって公務も言葉も発しなくてはいけなくなったの。それで緊急措置として、言葉の最後に「の」をつけるということが、我が国の賢者会で決まったの。これなら私でも出来るの」
…
…
大丈夫かな、トモホーク王国。
そっと隣を見てみれば、ヒョーガル王子がおでこを押さえていた。
前に言っていた。大きな夜会の時王妃の後ろに立っていたって話。
代わりに話してたってこと?
なんか心配。勝手ながら心配よ。
「おかげでどの子供達も優秀なの。我が強くて変わっているけどとても凄いの」
何のおかげなのかわからないけど、父様は外務大臣をやると決めていた。こんな癖のある女王陛下と交渉?
こっちも凄い心配だわ。
別れの挨拶をして会議室から出ようとすれば、
「トモホーク王国の学校に留学するのね。決まったの。賢者も教えがいがあるって張り切っていたの。私は婚約認めるの。早く王妃教育して全部この子に移すの」
えっ!
えっ!?トモホーク王国?
留学?
何、全部、この子に移すって?
な、に、を?(公務)
横を素早く見た。ヒョーガル王子が小さい黒犬になっていた。
ない!ないわ!
それは
私の人生にないわ。公務を押し付けられる未来。
これは予告?なんの?
そう言えば、模擬戦だとかトモホーク王国に来るのとか訳わからないこと言っていた…
危険だ。
これは、危険しか…
絶対になんか違う!脳内がパニックになっている。
そして真っ白な景色が見える。
ヒョーガル王子様、さよなら初恋。
今日の思い出は、美しい思い出の1ページとして告白シーンまで、女王陛下に謁見したところの前辺りから全面カットでアルバムに閉じます。
『大丈夫よ、私、確か返事は、頑張りますしか言ってないわ。一時間前の私、ナイス判断』
逃げれる!!!
「私の娘の第一王女、今度ミラン国の王の側妃になるんだけど、変わり者でね、ミルフィーナ嬢を悪役令嬢がトモホーク王国にくるけどね、早く会いたいのって。私は、ミラン国の悪役王妃に悪役令嬢をやっつけてくるって張り切っているのね。困っているの。話聞いてあげてなの」
あー、わかんない。
分かりたくない。
行かないよ。私、トモホーク王国には行かないよ。
聞きたくないよ。
悪役令嬢だの悪役王妃…
知らないし、そんなのね。
いやいやヒョーガル王子、そんな縋り付く目をしても
ノー、NO、ですよ。
私も慈善事業で婚約や結婚は出来ません。
「大丈夫、すぐに弟が大きくなる。賢者による詰め込み教育が実施されている。私は騎士団をまとめる気だから、王位は継がない、母様が女王陛下として弟の立太子までは約束というか頑張らせる。大丈夫、本当だから、そんな疑わしい目では見ないでよ、ミルフィーナ。たしかに王族に数が少ないから、公務を割振る時もある。でも港の豊漁祭や僻地の収穫祭や地鎮祭とか山神様の奉納祭とか天神様の清めとかだから。女王陛下が行けなかった場所に王族が挨拶する昔からある行事」
「祭が多いですね」
と言えば、
「神物供養を信じている国だから」
と返ってきた。
いや、ここは迂闊に返事をしてはいけない。ダルン侯爵一致団結して相談をした方がいい。
外務大臣父と補佐バードナー伯爵に、聞くべき案件。
大丈夫で大丈夫の試しなし!
私は、馬鹿じゃない!まだ書類に契約していない!今までの発言だって誤魔化せる。
「ヒョーガル王子様、一度婚約話は持ち帰り、後日、お返事したいと思います」
「ヒョウ…って呼ばないの」
嫌~、そんな目をしないで、私を追い込まないで!
ハアー
「ヒョウ様、今回は色々あり、頭がすでに考えられない状態です。今は、無理です」
よくやった私、と脳内会議が喜びあう中
、答えれば、私をオレンジの瞳がじっと見る。黒犬の尻尾がぺたんとなった。
「わかった、では、私が、この国に婿入りする」
と、またわからないことを…
「ダルン侯爵令嬢、失礼します。こちらトモホーク王国第一王女からお預かりしてまして、お受け取りください」
ヒョーガル王子の側近?視線が痛い。
差し出されたのは、薔薇の模様が入った封筒に、メッセージカードが入っていた。
『悪役令嬢へ
私は、第一王女リリアンです。転生者です。トモホーク王国に来なければ、間違いなくヒョーガルは死ぬかもね。
色々話を聞きたいし、話したい。
詳しくは、トモホーク王国に留学した際に話すから、来ない場合は迎えに行く』
転生者!?
この乙女ゲームを知っているということね。私、途中までしか知らない。終わったよね今日?
最後脅しだな。
ハアー
死んじゃうって何、なんなの?
私の知っている方向と違う。
もっと胸キュンをください。
悪役令嬢ですがラブ要素ください。
乙女ゲームなのにラブロマンスない、なさすぎるよ。
まさか、ヒロイン以外、恋というイチャイチャお楽しみシーンカットってあり得る話なのか?
更に私だけヘルモードだったり!?
運営に告ぐ!
「ミルフィーナ何を!?」
「悪役令嬢終了デス~~~!!!」
私のこの心の叫びは、ボルドート王国の王宮入り口赤絨毯の横にいる警備兵二名のところまで聞こえたらしい。
【完】
とレオナ様の言葉でパーティーは開始した。その隣には兄様が微笑んでいた。
私達は、まず、来賓として紹介されその場で礼をした。
ただ、一点嘘がある。
『トモホーク王国第一王子、ヒョーガル・トモホーク殿下並びに婚約者ミルフィーナ・ダルン嬢』
いや、婚約してないよ!
これはまずいでしょう。だって書面も交わしてないし、そのなんとなくそんな流れかなっていう告白的なシーンはあった!あったけどその愛を語らうとかその約束の口づけ的なラブロマンスはなかったわけで…
そう、それは雰囲気的な告白で、妄想を働かせながら勝手に恋人に結びつけるあれやそれで。
だから婚約はしていなくて…
という思いで隣を見上げれば、笑顔で返ってきた。
違う、
違うよ。なんか違う。この人には、残念臭がする。話せばわかる、きっと…
一生に一度ならロマンチックで感動的で大袈裟でもなんでも、思い出が欲しいのよ私はね。それがロマンス小説愛好家だったりする。
でも現実はそんな物語はないのだけどね。
それで良い。平和でほのぼの、最高だけど、私は、我儘全部叶えさせていただきます。
我慢しません!
どうか、これから覚悟してください。と横を見れば、少しだけ首を傾げる姿、尊い!
「みんなに発表がある。今日、私、レオナルド・ボルドートはマリネッセ・アルフレッド公爵令嬢と婚約の書面を交わした。婚姻は、約二年後になる」
と王子自らの声で発表した。
マリネッセ様は美しく、昨日騒動に巻き込まれた感じを一切出さず、美しい姿勢でお辞儀をし、一本の芯の通った未来の王妃像を思わせた。
会場は大きな拍手に包まれた。歓声も上がった。
うん、私とは大違いだね、これも一つのロマンスだよね。思い出のワンシーンだよ。
と言う目でヒョーガル王子を見れば、視線を外した。
気づいた?やっと気づいた?
なんていうかこういうのさらっと流してやっちゃいけないこと気づいた?
「あ、あの、今、色々面倒くさくなるから紹介の仕方を端的に…そう誰も来賓なんて気にしてないから、まぁ、後日、後日だよな、俺達は…」
…
…
全くね、困った方ですよ。
まずいと思ったらしい気付きはいいですよ。これからに期待が出来ます。でも誰も気にしてないとか言っちゃいけないね。
私はこっそり、
「はぁ~駄目だわ、駄目すぎ」
と呟いた。
大きな黒犬が少ししょんぼりした後、会場に音楽が鳴り響き中、私の手を引いていく。
それは夕暮れの庭園
ヒョーガル王子の瞳は穏やかなオレンジ色。その中に私が映り込む。
「どんなことがあっても私は、いや俺は、ミルフィーナ・ダルンと共に生きていくから。ついて来て欲しい」
熱を感じるその掌の温度。熱は生きている証だ。
ふふっ変なの。ラブロマンス要素を求めているのに、直にあたると逃げたくなる心理、これを誰か説明してください。
…
…
会場から漏れてくる音楽。
…
「頑張ります」
私の言った言葉は正解かどうか?
かしこまりました
が、正解だったかしら?
「うん、どっちでも嬉しい」
と笑っている。
それが幸せ。アリサさんの笑顔を思い出した。ああ、こんな笑顔が幸せなのね。
これがハッピーエンド。エンディングは、いいね、これで!
またエスコートされながら、会場に戻れば、最老先生が扉の前にいた。
「いかがしましたか、ヨーダ先生?」
とヒョーガル王子が聞くと、
「王子、女王陛下が、ボルドート王国にお見えです」
と最老先生が答えた。
「えっ?」
ヒョーガル王子の驚く声。
「二人で王宮に戻ってきて欲しいと言ってます」
女王陛下とな!?
***
ボルドート王宮 ある会議室
「何故勝手にトモホーク王国から出てきたんですか?女王陛下!」
とヒョーガル王子が質問した。
あぁ、女王陛下の視線が痛い。
「なんとなく、私の勘がこの国で動きがあるって言ったのね。だから馬に乗って来ちゃったの」
んっ!?
なんかキャラ濃くない?
話し方変じゃないかしら?
女王陛下よね?
「馬車じゃなく単身馬ですか?護衛は?」
「護衛、もちろんいるの。二人ね」
と答えた。
じろじろ見るのは失礼だから、ずっと目線は、下を見ている。
少しだけ目線を上げる。
そこには話し方と違うバリバリ女騎士の姿がそこにあった。
ヒョーガル王子と同じ黒髪に薄い赤色の瞳。身体が大きく迫力がある女性。
何故騎士が~なの、的な話し方なのか?
駄目、今は、余計なこと考えちゃ駄目。
あぁ下から上まで評価されているわ。
「女王陛下、そういった無粋な目で見るのはやめていただきたい。彼女は、貴族令嬢ですので」
と言えば、
「でもミラン国の件、ミルフィーナ嬢が計画潰したのよね、賢者の話を聞いてワクワクしたの。ねぇ、闘ろうよ!どうやって馬車止めたの?闘ろう」
と女王陛下が威圧してくる。
まさかこれが花嫁修行?
アリサさんに何をするか聞かなきゃ。さっきから、やろうと言っているし、きっと王妃教育だわ。
昨日までのバトルロワイアルとは違うわ。
本格的なトモホーク王国の勉強?礼儀作法?
今から?色々無理!
「本日は、私の義妹が婚約をしまして、そのパーティーにお祝いに行かなければなりません。今夜は(王妃教育は)ご容赦ください」
「そうなの、模擬戦は時間かからないの。でもその素敵ドレス着替えなきゃいけないものね、わかったの。トモホーク王国に来るのね?」
と女王陛下は一応一人で納得されていた。
それよりも気になる。
「どうしたの?何故難しい顔をしているの?」
と威圧をガンガンかけながら、私に聞いてくる。その雰囲気と言葉がチグハグすぎてついていけない。
「何故、文の終わりに「の」をつけるのですか?」
と聞けば、
「私、辺境伯の娘で近衞騎士だったの。幼少期から男社会で育ったせいで言葉使いが壊滅的だったの。でも国王様からの猛烈なアタックで仕方なく王妃になるけど公務は無言で通したの。でも国王様が亡くなって公務も言葉も発しなくてはいけなくなったの。それで緊急措置として、言葉の最後に「の」をつけるということが、我が国の賢者会で決まったの。これなら私でも出来るの」
…
…
大丈夫かな、トモホーク王国。
そっと隣を見てみれば、ヒョーガル王子がおでこを押さえていた。
前に言っていた。大きな夜会の時王妃の後ろに立っていたって話。
代わりに話してたってこと?
なんか心配。勝手ながら心配よ。
「おかげでどの子供達も優秀なの。我が強くて変わっているけどとても凄いの」
何のおかげなのかわからないけど、父様は外務大臣をやると決めていた。こんな癖のある女王陛下と交渉?
こっちも凄い心配だわ。
別れの挨拶をして会議室から出ようとすれば、
「トモホーク王国の学校に留学するのね。決まったの。賢者も教えがいがあるって張り切っていたの。私は婚約認めるの。早く王妃教育して全部この子に移すの」
えっ!
えっ!?トモホーク王国?
留学?
何、全部、この子に移すって?
な、に、を?(公務)
横を素早く見た。ヒョーガル王子が小さい黒犬になっていた。
ない!ないわ!
それは
私の人生にないわ。公務を押し付けられる未来。
これは予告?なんの?
そう言えば、模擬戦だとかトモホーク王国に来るのとか訳わからないこと言っていた…
危険だ。
これは、危険しか…
絶対になんか違う!脳内がパニックになっている。
そして真っ白な景色が見える。
ヒョーガル王子様、さよなら初恋。
今日の思い出は、美しい思い出の1ページとして告白シーンまで、女王陛下に謁見したところの前辺りから全面カットでアルバムに閉じます。
『大丈夫よ、私、確か返事は、頑張りますしか言ってないわ。一時間前の私、ナイス判断』
逃げれる!!!
「私の娘の第一王女、今度ミラン国の王の側妃になるんだけど、変わり者でね、ミルフィーナ嬢を悪役令嬢がトモホーク王国にくるけどね、早く会いたいのって。私は、ミラン国の悪役王妃に悪役令嬢をやっつけてくるって張り切っているのね。困っているの。話聞いてあげてなの」
あー、わかんない。
分かりたくない。
行かないよ。私、トモホーク王国には行かないよ。
聞きたくないよ。
悪役令嬢だの悪役王妃…
知らないし、そんなのね。
いやいやヒョーガル王子、そんな縋り付く目をしても
ノー、NO、ですよ。
私も慈善事業で婚約や結婚は出来ません。
「大丈夫、すぐに弟が大きくなる。賢者による詰め込み教育が実施されている。私は騎士団をまとめる気だから、王位は継がない、母様が女王陛下として弟の立太子までは約束というか頑張らせる。大丈夫、本当だから、そんな疑わしい目では見ないでよ、ミルフィーナ。たしかに王族に数が少ないから、公務を割振る時もある。でも港の豊漁祭や僻地の収穫祭や地鎮祭とか山神様の奉納祭とか天神様の清めとかだから。女王陛下が行けなかった場所に王族が挨拶する昔からある行事」
「祭が多いですね」
と言えば、
「神物供養を信じている国だから」
と返ってきた。
いや、ここは迂闊に返事をしてはいけない。ダルン侯爵一致団結して相談をした方がいい。
外務大臣父と補佐バードナー伯爵に、聞くべき案件。
大丈夫で大丈夫の試しなし!
私は、馬鹿じゃない!まだ書類に契約していない!今までの発言だって誤魔化せる。
「ヒョーガル王子様、一度婚約話は持ち帰り、後日、お返事したいと思います」
「ヒョウ…って呼ばないの」
嫌~、そんな目をしないで、私を追い込まないで!
ハアー
「ヒョウ様、今回は色々あり、頭がすでに考えられない状態です。今は、無理です」
よくやった私、と脳内会議が喜びあう中
、答えれば、私をオレンジの瞳がじっと見る。黒犬の尻尾がぺたんとなった。
「わかった、では、私が、この国に婿入りする」
と、またわからないことを…
「ダルン侯爵令嬢、失礼します。こちらトモホーク王国第一王女からお預かりしてまして、お受け取りください」
ヒョーガル王子の側近?視線が痛い。
差し出されたのは、薔薇の模様が入った封筒に、メッセージカードが入っていた。
『悪役令嬢へ
私は、第一王女リリアンです。転生者です。トモホーク王国に来なければ、間違いなくヒョーガルは死ぬかもね。
色々話を聞きたいし、話したい。
詳しくは、トモホーク王国に留学した際に話すから、来ない場合は迎えに行く』
転生者!?
この乙女ゲームを知っているということね。私、途中までしか知らない。終わったよね今日?
最後脅しだな。
ハアー
死んじゃうって何、なんなの?
私の知っている方向と違う。
もっと胸キュンをください。
悪役令嬢ですがラブ要素ください。
乙女ゲームなのにラブロマンスない、なさすぎるよ。
まさか、ヒロイン以外、恋というイチャイチャお楽しみシーンカットってあり得る話なのか?
更に私だけヘルモードだったり!?
運営に告ぐ!
「ミルフィーナ何を!?」
「悪役令嬢終了デス~~~!!!」
私のこの心の叫びは、ボルドート王国の王宮入り口赤絨毯の横にいる警備兵二名のところまで聞こえたらしい。
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ズルいですぅ~~
書き出し読んだら~続きが読みたいですぅ~~
責任取ってください~~
(ヒロイン風(笑))
ヒロイン口調難しい😅
どのキャラも魅力的で、まさかラザリーさんがヒーローになる日が来るなんて(笑)
覚醒したスッポン父やヒロインの腹黒夫vs兄嫁なんてのも読んでみたいし…
いつか書き出しの続き、もしくは番外編などが読める日が来ることを楽しみにしてます😊🎶
ありがとうございます♪
来月あたりに新しい作品を出す予定です。またかなさんのお目に留まり、読んで頂けたら嬉しいです。
またよろしくお願いします。
久しぶりに読ませて頂きました😊
そして、前回同様続きが読みたくなりました😊
第二幕をいつか読めたら嬉しいな😆
サイコーの悪役令嬢です💕
お読み下さりありがとうございました。
少し書いてはいたのですが、どうしても最終章が見えなくて、途中放棄し、終りまで書けないと…出すことは出来なくて申し訳ありません。
書き出しだけですが、かなさんに!
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「悪役令嬢終了デス~~~!!!」
あの心からの叫びをお聞きいただけたでしょうか?
どうして叫んだかって?
それはそうでしょう、辛いことも理不尽なこともありましたよ。
だって悪役だもので片付けられる悔しさ…これは経験者しか分かち合えないでしょう。
ふふふ良いのです。終わったことは気にしない、それが青春をこれから謳歌する乙女の合言葉…
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この度は、感想ありがとうございました。
状況は多分こうなんだろうなと思う言葉足らずなセリフと説明文に、最初は違和感がかなりありましたが、脳内で一文字変えて読んだり、付け足して読んだりしながら、慣れて行きました。
何故か!?
お話がとお~っっっても面白かったから!!
主人公も他の登場人物も、個性的で中々いい味出してましたねw
終わるのが勿体ないくらい楽しかったです!
お読み下さりありがとうございました。
感想嬉しかったです。
とっても面白かったなんて最高の褒め言葉に私もとっても幸せな気持ちを頂きました。
今、新しいものを書いていて、それが書き終われば、またミルフィーナの新たな旅立ちから書くかもしれません。その時またミルフィーナに会ってくれたら嬉しいです。