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54 悪役令嬢巻き込まれる(偶然→必然)
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「リン、まずは執事長に連絡、ことの詳細を話しましょう」
なんでもなければ良い。ミラン国が何か今しているわけではない。たまたまあの薬物入り惚れ薬の店の方角の話をした男がいただけ。
判断は全て父様に丸投げ。
「…ということなんです、お父様」
私は、夕食時に聞かれたので答えた。
お父様のおでこに深い皺が入った。
「あと、凄い視線を感じました。皆さん夜道や人通りの少ない場所はご注意下さい」
これは大事な共通項!
パーティー会場の件があるからね。突然襲われたら危険。
どこから刺客が現れるかわからないから。
ハアー
ハアー
深い深い溜息がお父様と兄様から聞こえた。
「命の危険を感じたって言うのか?」
と父様に言われ、
「そうですね、サーカス団員の絵姿にクレープを売っている店ですし、客層は令嬢ばかりです。ただ少々ガラの悪い商人さんな気がして、あの方達は用心棒?護衛?まぁ用心ということで」
とそのまま言えば、父様も
「まぁ確かに、王宮に忍びこんでまで襲うなんて輩が同一の団体だったら、何してくるかはわからない。中からの手引き、最初から中にいたという方が、あの日の出来事としてはしっくりくるのは確かだ。それぞれ気をつけよう。あの薬物に関して言えば、研究機関も狙いもわからなかった訳だし、単に小さな商店が潰れただけで終わった。終わった話だ。それを振り返すほどがあるなら、ミルフィーナが話した通り、ミラン国が後ろにいた場合」
そんな話を聞いて兄様は慌てた。
「父様、待ってください!ミルフィーナもミラン国なんて国名を出したらまずいですよ。何の為に惚れ薬として売るんですか?絵姿やその菓子だって、サーカス団が盛り上がっただけだろう。新しい菓子だってミラン国で売れたから、こっちでも儲けてやろうとの魂胆。たまたま…」
たまたま、レオナルド王子様のいる学校に惚れ薬を撒いて、
たまたま、レオナルド王子様とミラン国の姫様のパーティー参加の時にサーカス団が来た。
たまたま、レオナルド王子様の婚約者を決めている時に、王都でミラン国の菓子や店が流行っている。
深い意味はない。
「わかった、ミルフィーナ調査はする。しかし…」
と兄様は言葉を止めた。
「証拠がない以上余計なことは言いません。もちろん、マリネッセ様にも、兄様、レオナ様にもですよ!」
兄様が巻き込みたくないのは、レオナ様一択だから。
「わかっている」
兄様は力強く頷いた。
「そう、ミラン国の人気の店に貴族の令嬢も多数いました。ミラン国の姫がもしこの国に嫁入りに来たとしても、話題はあるわけで、親しくなるきっかけもあります。令嬢の囲い込みができる、勢力も派閥も変わりますね」
と私が言うとお義母様が、
「その通りですね。ミルフィーナ様の言う通り、夫人会でもサーカス団員の姿絵は大変流行っています。サーカスの興行収益は相当儲けたと聞きました。そしてお茶の時にもその話が一番盛り上がるのです」
最近の流行りはミラン国のもの。
そう言えば、最初の夏休みからカリナ様達令嬢は、サーカス団に夢中だった。
予想で何かを言ってはいけないけど。
まるで、じわじわと中に入り込むように話題を提供しに来ているようだ。レオナルド王子様が好きと言うだけなのだろうか?話したこともないが、パーティー会場で見たミラン国の姫様を思い出した。
そのまま、話は進み、父様、兄様、そしてお義母様までも頷き、これから、政務官に内務官、貴族夫人、貴族令息の情報収集をする方向で決まった。
…
いやいや、何、この悪の組織と戦おう感。単なる家族だよ、私達。
…
「さっきまで、調査機関に丸投げの方向に舵切っていたよね?」
「お嬢様、皆様、お部屋に戻られましたよ」
「えっ!?リン、なんか違うよね?私間違ってないよね?あの雰囲気、ダルン侯爵一家VSミラン国なんてならないよね?めっちゃくちゃ怖いのだけど、私、原因作ってないよね?」
「大丈夫です、お嬢様!いつもきっかけはお嬢様ですから!」
胸を張って答えるリン。
ノー、NO、
ハアー
たまたま街に行ったの。私達、惚れ薬の店はゲーム知識、今日行った、絵姿売りの雑貨店やクレープ屋さんは、本当に偶然なのよ!
ハアー
「リン、手紙を書くわ、書き終わったら、至急送って欲しいの」
「わかりました」
後二ヶ月で卒業式だ。そして卒業パーティー、それは、私の知っている乙女ゲームのエンディングの真夜中のダンスシーンでラストを迎えるわけだ。アリサさんはいないからダンスシーンはないけど。
ゲームにミラン国出てくるのかしら?
惚れ薬の件が本当にミラン国からなんらかの目的があって仕掛けてきたならゲームに関わっているのだろうな。
私の知る限りだと、アリサさんとアルフィン様が解決するはずを私が取り上げて父様に渡したから、実際には未解決?まさかね。
リンはクスクス笑って、
「お嬢様、悪そうな顔をしていますよ」
と言う。
「もう、我が家のメイドは、ただ考え事をしただけでしょう」
ひどい言われようです。
「実は、お嬢様、私が書いたロマンス小説が佳作に入ったんです。それでその…結果が載っている本をもう一冊買おうと思ってて、明日出かけても大丈夫ですかね?」
「凄いじゃない、おめでとう、リン。そうね、誰か護衛を、料理人達と街に行けばいいんじゃない?とにかくおめでとう、本に載るの?どんなの?題名は?」
と言えば、
「照れますね~」
と若干誤魔化しながら、見せるとは言わなかった。かなり気になる。
買うからいいわ!
そして、急に発表されたレオナルド王子様の卒業パーティーにミラン国の姫様が来賓でお見えになること。
姫様の御前で婚約発表をするのはいかがなものかと、またマリネッセ様の内々の婚約者認定が頓挫した。
「あり得ない!」
レオナ様の怒りの言葉を私達、兄妹が受け止めている。
レオナ様の肩を撫で落ちつかせながら、兄様は、
「レオナ、マリネッセ様は大丈夫なのか?」
と聞いた。しかしレオナ様も顔を振り、会えなかったと話した。
ボルドート王国にとって、第一王子の婚姻は、とても大きい事だ。ミラン国は、しっかり邪魔してやった感はあるけど…
「ここまでやりますか、普通?」
とぼそっと言った。そんなにレオナルド王子が好きかい?
「ミルフィーナ様、ミラン国の姫様、私もなんて意地悪な姫なのって思っているの。父に聞いた所、もう王宮にいるそうなのよ、絶対に卒業パーティーで発表する情報を知っていたのよ」
とレオナ様は興奮していた。
えっ、ミラン国の姫って王宮にいるの?
「ミルフィーナ様、お茶会の途中で申し訳ありません。旦那様が、お呼びです」
と執事長が呼びに来た。
執務室に入ると、アルフレッド公爵様もいた。
「お久しぶりです。アルフレッド公爵様」
「あぁミルフィーナ嬢。顔上げてくれ」
見ると、疲れた顔の公爵の顔。
「今日はミルフィーナ嬢に頼みがあってね。マリネッセのことなんだ。マリネッセが王宮に行くのをやめようとしないんだよ。ダルン侯爵に話は聞いた。ミラン国の怪しい動き。姫様がもし邪魔者を消すとなればマリネッセだろう。そんな危険な場所に行かせるわけには行かないんだよ、親としては。でも、あの子は、こんなに引き伸ばした婚約話は自分の責任だと引かない。危険な事はわかっていても王妃教育を辞めないんだ。ミルフィーナ嬢、一緒に王妃教育受けてくれ」
は?
はっ?
笑っちゃうよ。何言っているの?この公爵。危険なら娘を何としても引き下げようよ、説得しようよ、何、私、巻き込もうとするわけ?
危険な王宮、王妃教育、どれも絶対嫌だ。
親馬鹿じゃない?甘すぎなのよ、最初のセオデリック様の時にはっきりマリネッセ様に決めさせるべきだったのよ、公爵令嬢よ、アリサさんじゃない、ヒロイン以外は、恋に成り上がる階段なんて用意されてないのよ!
「ミルフィーナ…」
「ミルフィーナ、嬢…」
気まずい、非常に、気まずい空気。
私は、片眉をピクピクさせながら、
「漏れました、独り言?」
…
「あぁ、親馬鹿からな…」
と父様が頭を抱えながら言った。
…
…
「その通りだよ。一人娘のせいかマリネッセの望みを何でも叶えてやりたくなる。そしてあの子は努力もする。確かに我儘だ。言われる通り、自分の物だと思ったものが取り上げられると非常に怖い、逃げていることは確かだ」
父様は、アルフレッド公爵の肩を叩きながら、
「いや、今のはミルフィーナ、無礼だ。謝りなさい」
「申し訳ありませんでした」
と言えば、すかさず
「公爵、ミルフィーナが何を言おうとこちらには王子命令がありますから!」
と父様が言った。
?、??
王子命令って?
?、??
「明日から毎日王妃教育を受けることだよ。これは、決定だ」
なんでもなければ良い。ミラン国が何か今しているわけではない。たまたまあの薬物入り惚れ薬の店の方角の話をした男がいただけ。
判断は全て父様に丸投げ。
「…ということなんです、お父様」
私は、夕食時に聞かれたので答えた。
お父様のおでこに深い皺が入った。
「あと、凄い視線を感じました。皆さん夜道や人通りの少ない場所はご注意下さい」
これは大事な共通項!
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どこから刺客が現れるかわからないから。
ハアー
ハアー
深い深い溜息がお父様と兄様から聞こえた。
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「そうですね、サーカス団員の絵姿にクレープを売っている店ですし、客層は令嬢ばかりです。ただ少々ガラの悪い商人さんな気がして、あの方達は用心棒?護衛?まぁ用心ということで」
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そんな話を聞いて兄様は慌てた。
「父様、待ってください!ミルフィーナもミラン国なんて国名を出したらまずいですよ。何の為に惚れ薬として売るんですか?絵姿やその菓子だって、サーカス団が盛り上がっただけだろう。新しい菓子だってミラン国で売れたから、こっちでも儲けてやろうとの魂胆。たまたま…」
たまたま、レオナルド王子様のいる学校に惚れ薬を撒いて、
たまたま、レオナルド王子様とミラン国の姫様のパーティー参加の時にサーカス団が来た。
たまたま、レオナルド王子様の婚約者を決めている時に、王都でミラン国の菓子や店が流行っている。
深い意味はない。
「わかった、ミルフィーナ調査はする。しかし…」
と兄様は言葉を止めた。
「証拠がない以上余計なことは言いません。もちろん、マリネッセ様にも、兄様、レオナ様にもですよ!」
兄様が巻き込みたくないのは、レオナ様一択だから。
「わかっている」
兄様は力強く頷いた。
「そう、ミラン国の人気の店に貴族の令嬢も多数いました。ミラン国の姫がもしこの国に嫁入りに来たとしても、話題はあるわけで、親しくなるきっかけもあります。令嬢の囲い込みができる、勢力も派閥も変わりますね」
と私が言うとお義母様が、
「その通りですね。ミルフィーナ様の言う通り、夫人会でもサーカス団員の姿絵は大変流行っています。サーカスの興行収益は相当儲けたと聞きました。そしてお茶の時にもその話が一番盛り上がるのです」
最近の流行りはミラン国のもの。
そう言えば、最初の夏休みからカリナ様達令嬢は、サーカス団に夢中だった。
予想で何かを言ってはいけないけど。
まるで、じわじわと中に入り込むように話題を提供しに来ているようだ。レオナルド王子様が好きと言うだけなのだろうか?話したこともないが、パーティー会場で見たミラン国の姫様を思い出した。
そのまま、話は進み、父様、兄様、そしてお義母様までも頷き、これから、政務官に内務官、貴族夫人、貴族令息の情報収集をする方向で決まった。
…
いやいや、何、この悪の組織と戦おう感。単なる家族だよ、私達。
…
「さっきまで、調査機関に丸投げの方向に舵切っていたよね?」
「お嬢様、皆様、お部屋に戻られましたよ」
「えっ!?リン、なんか違うよね?私間違ってないよね?あの雰囲気、ダルン侯爵一家VSミラン国なんてならないよね?めっちゃくちゃ怖いのだけど、私、原因作ってないよね?」
「大丈夫です、お嬢様!いつもきっかけはお嬢様ですから!」
胸を張って答えるリン。
ノー、NO、
ハアー
たまたま街に行ったの。私達、惚れ薬の店はゲーム知識、今日行った、絵姿売りの雑貨店やクレープ屋さんは、本当に偶然なのよ!
ハアー
「リン、手紙を書くわ、書き終わったら、至急送って欲しいの」
「わかりました」
後二ヶ月で卒業式だ。そして卒業パーティー、それは、私の知っている乙女ゲームのエンディングの真夜中のダンスシーンでラストを迎えるわけだ。アリサさんはいないからダンスシーンはないけど。
ゲームにミラン国出てくるのかしら?
惚れ薬の件が本当にミラン国からなんらかの目的があって仕掛けてきたならゲームに関わっているのだろうな。
私の知る限りだと、アリサさんとアルフィン様が解決するはずを私が取り上げて父様に渡したから、実際には未解決?まさかね。
リンはクスクス笑って、
「お嬢様、悪そうな顔をしていますよ」
と言う。
「もう、我が家のメイドは、ただ考え事をしただけでしょう」
ひどい言われようです。
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「凄いじゃない、おめでとう、リン。そうね、誰か護衛を、料理人達と街に行けばいいんじゃない?とにかくおめでとう、本に載るの?どんなの?題名は?」
と言えば、
「照れますね~」
と若干誤魔化しながら、見せるとは言わなかった。かなり気になる。
買うからいいわ!
そして、急に発表されたレオナルド王子様の卒業パーティーにミラン国の姫様が来賓でお見えになること。
姫様の御前で婚約発表をするのはいかがなものかと、またマリネッセ様の内々の婚約者認定が頓挫した。
「あり得ない!」
レオナ様の怒りの言葉を私達、兄妹が受け止めている。
レオナ様の肩を撫で落ちつかせながら、兄様は、
「レオナ、マリネッセ様は大丈夫なのか?」
と聞いた。しかしレオナ様も顔を振り、会えなかったと話した。
ボルドート王国にとって、第一王子の婚姻は、とても大きい事だ。ミラン国は、しっかり邪魔してやった感はあるけど…
「ここまでやりますか、普通?」
とぼそっと言った。そんなにレオナルド王子が好きかい?
「ミルフィーナ様、ミラン国の姫様、私もなんて意地悪な姫なのって思っているの。父に聞いた所、もう王宮にいるそうなのよ、絶対に卒業パーティーで発表する情報を知っていたのよ」
とレオナ様は興奮していた。
えっ、ミラン国の姫って王宮にいるの?
「ミルフィーナ様、お茶会の途中で申し訳ありません。旦那様が、お呼びです」
と執事長が呼びに来た。
執務室に入ると、アルフレッド公爵様もいた。
「お久しぶりです。アルフレッド公爵様」
「あぁミルフィーナ嬢。顔上げてくれ」
見ると、疲れた顔の公爵の顔。
「今日はミルフィーナ嬢に頼みがあってね。マリネッセのことなんだ。マリネッセが王宮に行くのをやめようとしないんだよ。ダルン侯爵に話は聞いた。ミラン国の怪しい動き。姫様がもし邪魔者を消すとなればマリネッセだろう。そんな危険な場所に行かせるわけには行かないんだよ、親としては。でも、あの子は、こんなに引き伸ばした婚約話は自分の責任だと引かない。危険な事はわかっていても王妃教育を辞めないんだ。ミルフィーナ嬢、一緒に王妃教育受けてくれ」
は?
はっ?
笑っちゃうよ。何言っているの?この公爵。危険なら娘を何としても引き下げようよ、説得しようよ、何、私、巻き込もうとするわけ?
危険な王宮、王妃教育、どれも絶対嫌だ。
親馬鹿じゃない?甘すぎなのよ、最初のセオデリック様の時にはっきりマリネッセ様に決めさせるべきだったのよ、公爵令嬢よ、アリサさんじゃない、ヒロイン以外は、恋に成り上がる階段なんて用意されてないのよ!
「ミルフィーナ…」
「ミルフィーナ、嬢…」
気まずい、非常に、気まずい空気。
私は、片眉をピクピクさせながら、
「漏れました、独り言?」
…
「あぁ、親馬鹿からな…」
と父様が頭を抱えながら言った。
…
…
「その通りだよ。一人娘のせいかマリネッセの望みを何でも叶えてやりたくなる。そしてあの子は努力もする。確かに我儘だ。言われる通り、自分の物だと思ったものが取り上げられると非常に怖い、逃げていることは確かだ」
父様は、アルフレッド公爵の肩を叩きながら、
「いや、今のはミルフィーナ、無礼だ。謝りなさい」
「申し訳ありませんでした」
と言えば、すかさず
「公爵、ミルフィーナが何を言おうとこちらには王子命令がありますから!」
と父様が言った。
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