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40 王子2婚約者決めパーティーに参加中
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「兄様!」
と声をかければ、学校から帰ったばかりの兄様は、すぐに
「大変だったな。アルフィンから申し訳なかったと侯爵家に向けて謝罪があったよ。ラザリー嬢からないな」
私を気遣いながら話す。
私としては、スタック男爵家に申し立てても謝罪を受ける程度、今後関わってこないならその方がいい。
「私、やはり悪役令嬢に仕立てられ、いじめというものに押し嵌められようとしているみたいです」
と言えば、
「それもアリサと一緒か。私もだがアルフィンは、何故冷静な判断が出来なかったんだろう。すぐ行動に移すなんておかしい!」
確かに上級生男子が下級生女子に突然責め立てることの異常さ。
「判断を狂わす?惚れ薬みたいね」
と言えば、まさかなと二人で顔を見合わせた。
兄様がすぐにどこかに出かけた。
兄様は夕飯時にも帰って来なかった。みんな兄様を心配していて、そしてバタバタと足音が響いた。
兄様は開口一番、
「すまない、証拠はない。アルフィンも意識していなかったが、確かに同じ話を何度も聞いているうちに、上級生とか男とか関係なくてミルフィーナが悪いと思ったとそれは私にも記憶がある。同じ症状だ!」
兄様、それ薬物じゃないわ。単に乙女ゲームの悪役令嬢を断罪するシーンに乗っただけ。オート機能なのかわからないけどアルフィン様も最初断らなければ私の婚約者だ!
ゲーム上、兄様とアルフィン様は間違いなく私がヒロインにとっての悪役令嬢!
だからスムーズに実行したのか!
こんなところばかり、忠実に実行しなくても良いじゃないか!
私が考えに耽っていれば、父様と兄様は話に行ってしまった。
それから、アルフィン様は騎士道に反したと学校を休み自宅謹慎している。
ご実家でも叱られたのだろうか?
ラザリーさんは、翌日は来て、教室内で気まずい顔をしながら席に座った。
その後、先生に呼ばれ、その日から学校を休んでいる。
あの後、兄様から先生に事情を説明したと報告を受けた。流石にこんなことを何度も続けられたら、おかしいし、わざと喧嘩を仕掛けているようにしか見えないと怒っていたから。
ラザリーさんも自宅謹慎なのかな?
そう言えば、バードナー伯爵は、伯爵領から出ない、パーティー嫌いと聞いていたけどラザリーさんは、どこから通っているんだろう。みんなみたいに王都の家からなのかな?
しかしその疑問に答えがなく、二週間とても平和な学校生活を過ごせたまま、パーティーの日を迎えた。
「ラーニャ、きつく締めすぎよ」
「このぐらい当然です」
う、あ、ブェ、
「変な雑音は言わないでください、お嬢様、メイド達の作業の邪魔です」
しかし、ウ、ア、ぶぇ
今までとは違いコルセットをつけるドレス、お義母様が選んだものは、裾や肩周りがフワフワしていないドレス。鎖骨は出ていないが、まだ私には早いのではないか?
なんていってもツルペタスルリンだからね。でもお義母様がいうには、
「学校に行ってますからね。大人の階段を登っていますし、ミルフィーナ様の顔立ちには大変お似合いだと思いますよ」
ふふっ大人の階段、いい響きだわ。
しかしまさか大人ドレスってこんなくびれを出すために努力をするの!?
まるでハムになった気分よ。
「お嬢様、後は仕上げです。大丈夫です、最高に美しいです」
王宮の大きな会場
華やかいかにも舞踏会!音楽の音合わせが聞こえる。
キラキラして、参加者の皆様のドレスの美しさ、使用人までみんな輝いて、お父様はおデコが光っていて、
「ミルフィーナ、また余計なことを…」
と言われた。
「お父様、私、今また心の声が漏れましたか?」
「あぁ、私の額が光ってと言っていた。誰のせいでこんな痛みと緊張しているんだと思う」
と尋常ではない汗をかきながら、エスコートしてくれている父様。
この会場に入る馬車の停留所で、私達は、輩に襲われたのです。三人組みのヒョロっとした侍従ぽい衣装を来た人達。
「頭が悪いですよね~、あんなところ、警備兵が常勤しているに決まっているのにね」
「何を呑気な、ミルフィーナ、お前を庇って私は、足を捻ってしまったのだぞ」
ありがとう、父様。痛いところエスコートさせて本当に申し訳ありません。
あのまま帰っても、誰にも怒られないのではないかと思ったが、引きずる足で中に入る父様の痛々しさに黙って従う。
私達は、捕物(逃げようとしたけどすぐに捕まったであろう)見ないで会場に入った。
「お父様、マリネッセ様ですわ」
「あぁ」
痛む足を運んでアルフレッド公爵様に挨拶する、父様。
凄いよ、頑張り屋だよ。貴族の鑑だよ。
「マリネッセ様、本日も麗しいですわ」
と挨拶すれば、大人ドレスがよく似合う。特に胸のボリュームが…
お義母様、私にはまだ早かったのではないかしら?
そしてミラン国の姫様が中央を歩いてきました。
あら、不思議。どこかでシャラーンシャーランと鳴っていそうな三人係の衣装持ちがいて、驚く光景。
アルフレッド公爵も私の父も驚きを隠せていない。国が違えば文化は違う。
私、選択科目、文化ですからね。ついていけます。
幻想的な入場に、身分の上の方から会場に入る。
姫様が進んだあと、マリネッセ様なのだが、顔が厳しくなった。
先日まで、あんなに覇気がなかったのに、他国の姫に対抗するかのように姿勢を直し、オーラを纏い公爵令嬢の仮面を被った。
「マリネッセ様、凄いですわ、お父様」
と言えば、
「普通、上位貴族ならプライドを持つ場面だろう。他国の姫様があんなに輝けば、…ミルフィーナよ」
とまた溜息をもらった。
私の番が来た。父様の汗が光る、もうきっと普通の汗ではない、脂汗だ!
「ダルン侯爵家娘、ミルフィーナ・ダルンです。本日はお招きいただきありがとうございます」
と膝を折り、頭を下げ両手でドレスをつまむ。
「本日は来てくれてありがとう」
と少し顔色の悪いレオナルド王子、これは何なのかな。挨拶をしてホストの場所を離れる。
「お父様、救護室に行って下さい。かなり汗が出ております」
と言えば、父様も、
「私は、ここまでだ、もう無理だ。頼むから馬鹿な真似はしないでくれ。そして例の作戦は回避だ」
とお父様は指示を出して、近くの警備の騎士に肩を貸してもらい移動する。
ぽつんと一人、壁の花。
いえ、私は今、指示をもらった。
やったわ!
作戦回避とは私がレオナルド王子様の婚約者になるため頑張らなくてもいいと言われた訳だ。
そっと飲み物のテーブルの壁側に移動。
同化と言えばカッコいいが、令嬢のオーラをオフにする。
そして耳を澄ます。
「凄いのが見れそうだな、ミラン国の姫VSアルフレッド公爵令嬢」
誰か使用人が呟いた。
「ビリビリする挨拶だったな」
いつの間にそんな展開?何があったの?
ミラン国の姫様は上座の椅子が用意されていて、マリネッセ様は、その向かい側の場所に公爵と立って、次から次に入る令嬢やエスコートをする者に挨拶をしている。まるでホストみたいだ。
扉が閉まる時、
「レオナルド王子様~、ご招待いただきありがとうございます~」
語尾が長い聞いたことのある話し方。
毛色が違う令嬢と丸っこい男性が入って来た。
甲高い声とフリフリのピンクドレス。幼い時の茶会で着たようなドレスに髪の毛には、花が生け花のように刺さっていた。
みんな目を見開いている。
一体何の仮装?というぐらい。
ある意味、場をラザリーさんの世界にしたようで、みんな談笑をやめ注目した。
「凄いわ、叔父様~。本当にアリサさんの言う通りみんな私に注目しているわ~。パーティー会場ではまず自分が花となって目立たなければ誰にも声をかけられないという通りだったわね~!」
と一応小声で言っているようだが、丸聞こえである。
あれは、アリサさんのアドバイス!?何故あんな風な?なんか悪意を感じる…
それでも流石ラザリーさん、端には来ないでレオナルド王子様のいる中央にいる。まるで一番最初にダンスを踊るための待機場所にいるみたいに。
レオナルド王子様の挨拶が始まり、踊り相手として近衞騎士達が一列に並んだ。それでも令嬢の人数には足らないけどね。
音楽がなり、レオナルド王子様は、ミラン国の姫を迎えにいく。マリネッセ様の目が光った気がした。
ラザリーさんは、
「な、ん」
と言った瞬間に隣の男性に口を押さえられた。
中央で二人のダンスが始まる。そしてマリネッセ様が初めて扇子を出し口元を隠した。
女の戦いだ。だからレオナルド王子様は顔色が悪かったんだ。今日のこの感じを挨拶の時点で予見したんだな。
周りはもうこの空気に気付いた。一人だけバタバタしている令嬢を除いて。
マリネッセ様、王子の婚約者になる気が無さそうだったのに、何故今更?
頭に浮かぶアリサさんのセオデリック様に対する時の顔。
マリネッセ様は、『奪われる』が嫌な方なんだ。それも目の前で!人から話を聞く分にはスイッチが入らないけど、自分の前でされると…
面倒くさい人だ。いや、彼女もゲーム世界では悪役令嬢だ。
こんな感じで我儘だから悪役令嬢なのよねと、急に冷めた。
二曲目、レオナルド王子様は、マリネッセ様に手を伸ばし踊り始めた。激しいと思えるようなキレのあるダンス。長年パートナーを務めてきた二人だからこそのダンス。
バチッバチじゃないの。
みんなが踊り始めた頃、近くのフルーツジュースを飲み、軽食を食べ、窓の外を見て、緑が随分と濃く、太陽はまだ出ているなと分析しながら、壁になっていた。
そして、ある程度の時間経過を見ながら、お父様をネタにして救護室へと抜け出すことに成功した。
と声をかければ、学校から帰ったばかりの兄様は、すぐに
「大変だったな。アルフィンから申し訳なかったと侯爵家に向けて謝罪があったよ。ラザリー嬢からないな」
私を気遣いながら話す。
私としては、スタック男爵家に申し立てても謝罪を受ける程度、今後関わってこないならその方がいい。
「私、やはり悪役令嬢に仕立てられ、いじめというものに押し嵌められようとしているみたいです」
と言えば、
「それもアリサと一緒か。私もだがアルフィンは、何故冷静な判断が出来なかったんだろう。すぐ行動に移すなんておかしい!」
確かに上級生男子が下級生女子に突然責め立てることの異常さ。
「判断を狂わす?惚れ薬みたいね」
と言えば、まさかなと二人で顔を見合わせた。
兄様がすぐにどこかに出かけた。
兄様は夕飯時にも帰って来なかった。みんな兄様を心配していて、そしてバタバタと足音が響いた。
兄様は開口一番、
「すまない、証拠はない。アルフィンも意識していなかったが、確かに同じ話を何度も聞いているうちに、上級生とか男とか関係なくてミルフィーナが悪いと思ったとそれは私にも記憶がある。同じ症状だ!」
兄様、それ薬物じゃないわ。単に乙女ゲームの悪役令嬢を断罪するシーンに乗っただけ。オート機能なのかわからないけどアルフィン様も最初断らなければ私の婚約者だ!
ゲーム上、兄様とアルフィン様は間違いなく私がヒロインにとっての悪役令嬢!
だからスムーズに実行したのか!
こんなところばかり、忠実に実行しなくても良いじゃないか!
私が考えに耽っていれば、父様と兄様は話に行ってしまった。
それから、アルフィン様は騎士道に反したと学校を休み自宅謹慎している。
ご実家でも叱られたのだろうか?
ラザリーさんは、翌日は来て、教室内で気まずい顔をしながら席に座った。
その後、先生に呼ばれ、その日から学校を休んでいる。
あの後、兄様から先生に事情を説明したと報告を受けた。流石にこんなことを何度も続けられたら、おかしいし、わざと喧嘩を仕掛けているようにしか見えないと怒っていたから。
ラザリーさんも自宅謹慎なのかな?
そう言えば、バードナー伯爵は、伯爵領から出ない、パーティー嫌いと聞いていたけどラザリーさんは、どこから通っているんだろう。みんなみたいに王都の家からなのかな?
しかしその疑問に答えがなく、二週間とても平和な学校生活を過ごせたまま、パーティーの日を迎えた。
「ラーニャ、きつく締めすぎよ」
「このぐらい当然です」
う、あ、ブェ、
「変な雑音は言わないでください、お嬢様、メイド達の作業の邪魔です」
しかし、ウ、ア、ぶぇ
今までとは違いコルセットをつけるドレス、お義母様が選んだものは、裾や肩周りがフワフワしていないドレス。鎖骨は出ていないが、まだ私には早いのではないか?
なんていってもツルペタスルリンだからね。でもお義母様がいうには、
「学校に行ってますからね。大人の階段を登っていますし、ミルフィーナ様の顔立ちには大変お似合いだと思いますよ」
ふふっ大人の階段、いい響きだわ。
しかしまさか大人ドレスってこんなくびれを出すために努力をするの!?
まるでハムになった気分よ。
「お嬢様、後は仕上げです。大丈夫です、最高に美しいです」
王宮の大きな会場
華やかいかにも舞踏会!音楽の音合わせが聞こえる。
キラキラして、参加者の皆様のドレスの美しさ、使用人までみんな輝いて、お父様はおデコが光っていて、
「ミルフィーナ、また余計なことを…」
と言われた。
「お父様、私、今また心の声が漏れましたか?」
「あぁ、私の額が光ってと言っていた。誰のせいでこんな痛みと緊張しているんだと思う」
と尋常ではない汗をかきながら、エスコートしてくれている父様。
この会場に入る馬車の停留所で、私達は、輩に襲われたのです。三人組みのヒョロっとした侍従ぽい衣装を来た人達。
「頭が悪いですよね~、あんなところ、警備兵が常勤しているに決まっているのにね」
「何を呑気な、ミルフィーナ、お前を庇って私は、足を捻ってしまったのだぞ」
ありがとう、父様。痛いところエスコートさせて本当に申し訳ありません。
あのまま帰っても、誰にも怒られないのではないかと思ったが、引きずる足で中に入る父様の痛々しさに黙って従う。
私達は、捕物(逃げようとしたけどすぐに捕まったであろう)見ないで会場に入った。
「お父様、マリネッセ様ですわ」
「あぁ」
痛む足を運んでアルフレッド公爵様に挨拶する、父様。
凄いよ、頑張り屋だよ。貴族の鑑だよ。
「マリネッセ様、本日も麗しいですわ」
と挨拶すれば、大人ドレスがよく似合う。特に胸のボリュームが…
お義母様、私にはまだ早かったのではないかしら?
そしてミラン国の姫様が中央を歩いてきました。
あら、不思議。どこかでシャラーンシャーランと鳴っていそうな三人係の衣装持ちがいて、驚く光景。
アルフレッド公爵も私の父も驚きを隠せていない。国が違えば文化は違う。
私、選択科目、文化ですからね。ついていけます。
幻想的な入場に、身分の上の方から会場に入る。
姫様が進んだあと、マリネッセ様なのだが、顔が厳しくなった。
先日まで、あんなに覇気がなかったのに、他国の姫に対抗するかのように姿勢を直し、オーラを纏い公爵令嬢の仮面を被った。
「マリネッセ様、凄いですわ、お父様」
と言えば、
「普通、上位貴族ならプライドを持つ場面だろう。他国の姫様があんなに輝けば、…ミルフィーナよ」
とまた溜息をもらった。
私の番が来た。父様の汗が光る、もうきっと普通の汗ではない、脂汗だ!
「ダルン侯爵家娘、ミルフィーナ・ダルンです。本日はお招きいただきありがとうございます」
と膝を折り、頭を下げ両手でドレスをつまむ。
「本日は来てくれてありがとう」
と少し顔色の悪いレオナルド王子、これは何なのかな。挨拶をしてホストの場所を離れる。
「お父様、救護室に行って下さい。かなり汗が出ております」
と言えば、父様も、
「私は、ここまでだ、もう無理だ。頼むから馬鹿な真似はしないでくれ。そして例の作戦は回避だ」
とお父様は指示を出して、近くの警備の騎士に肩を貸してもらい移動する。
ぽつんと一人、壁の花。
いえ、私は今、指示をもらった。
やったわ!
作戦回避とは私がレオナルド王子様の婚約者になるため頑張らなくてもいいと言われた訳だ。
そっと飲み物のテーブルの壁側に移動。
同化と言えばカッコいいが、令嬢のオーラをオフにする。
そして耳を澄ます。
「凄いのが見れそうだな、ミラン国の姫VSアルフレッド公爵令嬢」
誰か使用人が呟いた。
「ビリビリする挨拶だったな」
いつの間にそんな展開?何があったの?
ミラン国の姫様は上座の椅子が用意されていて、マリネッセ様は、その向かい側の場所に公爵と立って、次から次に入る令嬢やエスコートをする者に挨拶をしている。まるでホストみたいだ。
扉が閉まる時、
「レオナルド王子様~、ご招待いただきありがとうございます~」
語尾が長い聞いたことのある話し方。
毛色が違う令嬢と丸っこい男性が入って来た。
甲高い声とフリフリのピンクドレス。幼い時の茶会で着たようなドレスに髪の毛には、花が生け花のように刺さっていた。
みんな目を見開いている。
一体何の仮装?というぐらい。
ある意味、場をラザリーさんの世界にしたようで、みんな談笑をやめ注目した。
「凄いわ、叔父様~。本当にアリサさんの言う通りみんな私に注目しているわ~。パーティー会場ではまず自分が花となって目立たなければ誰にも声をかけられないという通りだったわね~!」
と一応小声で言っているようだが、丸聞こえである。
あれは、アリサさんのアドバイス!?何故あんな風な?なんか悪意を感じる…
それでも流石ラザリーさん、端には来ないでレオナルド王子様のいる中央にいる。まるで一番最初にダンスを踊るための待機場所にいるみたいに。
レオナルド王子様の挨拶が始まり、踊り相手として近衞騎士達が一列に並んだ。それでも令嬢の人数には足らないけどね。
音楽がなり、レオナルド王子様は、ミラン国の姫を迎えにいく。マリネッセ様の目が光った気がした。
ラザリーさんは、
「な、ん」
と言った瞬間に隣の男性に口を押さえられた。
中央で二人のダンスが始まる。そしてマリネッセ様が初めて扇子を出し口元を隠した。
女の戦いだ。だからレオナルド王子様は顔色が悪かったんだ。今日のこの感じを挨拶の時点で予見したんだな。
周りはもうこの空気に気付いた。一人だけバタバタしている令嬢を除いて。
マリネッセ様、王子の婚約者になる気が無さそうだったのに、何故今更?
頭に浮かぶアリサさんのセオデリック様に対する時の顔。
マリネッセ様は、『奪われる』が嫌な方なんだ。それも目の前で!人から話を聞く分にはスイッチが入らないけど、自分の前でされると…
面倒くさい人だ。いや、彼女もゲーム世界では悪役令嬢だ。
こんな感じで我儘だから悪役令嬢なのよねと、急に冷めた。
二曲目、レオナルド王子様は、マリネッセ様に手を伸ばし踊り始めた。激しいと思えるようなキレのあるダンス。長年パートナーを務めてきた二人だからこそのダンス。
バチッバチじゃないの。
みんなが踊り始めた頃、近くのフルーツジュースを飲み、軽食を食べ、窓の外を見て、緑が随分と濃く、太陽はまだ出ているなと分析しながら、壁になっていた。
そして、ある程度の時間経過を見ながら、お父様をネタにして救護室へと抜け出すことに成功した。
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