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22 悪役令嬢は王子2と話し合う

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「面倒くさい、何故こんなことに~」
と言えば、ラーニャは呆れた様子で、
「お嬢様、レオナルド王子様にお呼ばれするなんて、令嬢達の憧れじゃありませんか?」
「お呼ばれなんて言わないで、お茶の招待よね。私、マリネッセ様の派閥に入っているのよ、マリネッセ様に知られたら、とんでもないしっぺ返しが来るんじゃないかしら」
と言えば、一応考えている風に見せるメイド。

「でも、公爵令嬢と王族の第一王子様ですよ。どちらが身分が上かと言えば、王子様でしょう。行くしかないですね」

軽く言わないでよ。令嬢世界の情報網ってどこから仕入れるの?と思うぐらい早いし正確だし、次のお茶会が怖い。

明日はお義母様も帰ってくる予定なのに、次から次にイベントがやってくるのはなんでだろう。

乙女ゲームは終わったのよ。

本当に?プロローグだけで終わるの?明日アリサさん馬車から出てきたりして?
いやいや!?

「お嬢様、終わりましたか、脳内会議の百面相。旦那様もご心配をしていましたよ。商人を呼んでもいいそうですよ。新しいドレスや小物類、どうしますか?」
「前にマリネッセ様のお茶会行けなかったし、あのドレスでいいわよ」
「お嬢様、そんな投げやりな、みんなの憧れレオナルド王子様ですよ。ザ王子様!夢の時間ですよ」
「勘弁してよ、高貴な人なんて私にとって地獄よ。勉強の話なんてされたら、紅茶の味がわからないわ」
と存外に何を話したら良いかわからないと言えば、ラーニャは深い溜息を吐く。

「自然に流されるままです」
と言われて、確かにと思う。
話のネタを考えようとした私が馬鹿だった。

だって、向こうからの呼び出しだものね?王子様の招待状は上質な紙で濁りもない白。レオナルド王子様ぽい。


お義母様が帰ってきた。とても疲れている。一週間に何があったのか、知りたいようで知りたくない。
お義母様も、ヒョーガル王子様が我が家にいた経緯を聞いて、驚いたり顔色を悪くしたり、表情豊かだ。

「エルフィン様、ミルフィーナ様、少し良いですか?アリサから手紙が来ても、必ず私を通してくれませんか?決して手紙を送ったりしないで下さいませ」
と言われて兄様と承諾した。

一体どんなところだったのだろう。

詳細は知らされないまま、三日経ち、とうとう本日は、王宮へ向かいます。
朝から湯浴みをし、メイドが三人で身体を磨いてくれる。その中にサラもいた。侯爵家を辞めるという話だったが?
いや、結構生き生きしているような顔つきだ。何だろう?ドレスを着て髪型をいじられる。

悪役令嬢らしく、少しキツめの顔つきだ。これで13歳、顔はしっかりしているが、随分と体型がお粗末様だ。まず寄せる胸がない。これは幼児体型ストン型だ。尻もない。
知っていた。私の年齢にしたらあまりにもお粗末なのではないか。悪役令嬢としてこれでいいのかと知らない世界の誰かの声がする。

しかし顔はメイクでなんとかなるが体型はどうしようもない。
ラーニャが何かを出した。それは?

「お嬢様、秘策ですよ。ふふ」
って。
いや、それ詐欺じゃないかな。
面倒くさいのに、嘘まで盛ったら、お父様の首が飛ぶ未来が見えるよ。
神の遣いの言葉出てしまうよ?

「そうですか、それは残念です。お嬢様がそこまでいうなら、このパンは、調理場に返してきます」

「えっ、また口から漏れていた?」
「はい、詐欺だの旦那様の首が飛ぶと」
「どうしよう。私、早急に口を縫った方がいいわ。声を発してるつもり無くて、ダダ漏れが続いているわ。私不敬罪で死ぬかもしれない」

「お嬢様、口紅が引けません!」
「ごめんなさい、サラ」

「大丈夫です。口さえ開かなければ侯爵家の令嬢です」
ラーニャは力いっぱい私を励ます。

トボトボと玄関に向かって、お父様がもう待機している。王宮までエスコートをしてくれるが、私は行きたくないのだよ。

「お父様、私」
「アー、やアー、は聞こえない」
駄目だ。聞く気がないらしく、仕方なく馬車に乗る。

行きたくないと思うと早く着く。
「では、楽しいひとときを!」
と言った後、お父様は逃げた。
不敬があったら飛ぶ首は父様なのに。
私は王宮のメイドさんに挨拶からの連行された。
花の匂いかする。満開に咲かせる庭はない。我が家も所々休憩が入っている土地がある。
「流石、庭造りがお上手ですね」
当たり障りのないトークをメイドさんにかましたが、軽く笑ってへし折られた。

無理~!

ついたところは真っ白な小さな木で作られた野営するかのような作りの休憩場。屋根は、麻で作られた布が幾重にも重なっている。
そこに立っているのは、ザ・王子の異名を持つレオナルド王子様。
金髪にエメラルドのような瞳、薄いグレイの衣装に濃い青の縁取り、タイが赤。
イケメンすぎて恐縮です。

「どうぞ、こちらに、ミルフィーナ嬢」

呼ばれてしまった。足よ動け。
「お久しぶりでございます。レオナルド王子様、ダルン侯爵家の娘ミルフィーナでございます。本日は、お招きありがとうございます」
と貴族の礼として、膝を折り、頭を下げる。
この姿勢はキツい。身分が上の方の許しが出るまで耐えなければいけない。
「どうかお座り下さい」
と言われて、許された。

こんな緊迫感に包まれたお茶会、もう嫌だ。

口をグッと瞑って、気合いを入れた。最近口元が緩く、勝手に心の声が漏れる。

「早速だけど、何故私の指輪とトモホーク王国の王子のペンダントが反応すると夢で見たの?」

やっぱりその件か。
仕方ない。自分の名前が出れば、興味は湧くものだ。事前に用意した言い訳を言う。

「私の母が亡くなって、泣き明かした日の夜に夢を見たのです。ヒョーガル王子が北の森で彷徨い、そして記憶を無くし街を彷徨い、王宮でレオナルド王子様と会い指輪とペンダントが共鳴するかのように光る絵が見えたのです。もちろん夢を見た時は、ヒョーガル王子とはわかりませんでした」
と言えば、
「何故彼は、王宮に来るのさ」
至極真っ当な質問が来た。
「それは、…王宮に盗みに入り騎士に捕らえられていた時に」
と言った。これに関して誤魔化せなかった。
難しい顔したレオナルド王子。

「王子として記憶がないって、この国で何をして今まで生きていたの?」
「私はわかりません。ただ街に出た際、偶然夢で見た人だと思って話しかけて、色々ぼろぼろだったので、我が家で保護したのです」

ちょっと苦しい言い訳かな。

「王宮に盗みね…、本人に口止めされているのかな?」
そこ、深掘りしちゃうの?それはいくらなんでも可哀想だよ。今度学校行こうとしているのに、泥棒のレッテル貼られるのは王子として最悪だと思うよ。

「ミルフィーナ嬢!大丈夫ですか?」
「はっ?何か?」
「いや、泥棒のレッテルを貼られたら可哀想だとかなんとか小声で言ってましたが」
やばい、また漏れてた。
「失礼しました。思考に潜ってぶつぶつ言ってしまいました。王子殿下、どうかヒョーガル王子をお許し下さい。私自身も本当のところはわからないのです。それに母様が亡くなってから見た夢はもう見なくなりました」

ここ重要だ。予知夢はもう見ない!

私の話になって申し訳ないが、理解してほしい。
もうそんな力はない。
ゲームは途中でリタイアしているんだしヒロインもういませんから。
ここ、強気です。

「まぁ、わかりました。ヒョーガル王子が苦労されたであろう経緯は、ミルフィーナ嬢は趣味はなんですか?」

いきなりお見合いぽい。

「趣味ですか?特にありません。私勉強も刺繍も苦手で、何をやっても人一倍時間がかかるので宿題や課題をやる時間が長いのです、強いて言えば読書です」
あの思い出してから、いかにゲームからの離脱、攻略対象者に近づかないか、ヒロイン対策にかけて来たため、趣味、現実の乙女ゲームを壊す事を考えた、だな。

「レオナルド王子は、ご趣味は?」
「鍛錬かな」


「真面目ですね」
「馬鹿にしている?」
「まさか!そんな不敬な。ただ疲れませんか?そんないい子で」
「いい子って、僕は王子だよ」
「そうですね、王子ですね。学校でもそんな真面目なんですか?」
「何故君は真面目を強調する?」
「例えば、いかにサボろうとか楽したいとかふらっと街に出て屋台で串焼き食べてすぐ帰るとか、誰かに嘘を吐こうとか思わないのですか?」
「驚いたよ、君はそんなことばかり考えているのか?エルフィンの妹だよね」
あー、この人も兄様タイプか、ヤバいな。
ヒロインいなくて良かったね。イチコロだよ。
「レオナルド王子様、兄は騙されるに関しては一度経験がありますので、実証例として確認した方が良いかもしれませんね。レオナルド王子様は素晴らしいと思うのですが、真面目すぎると余裕がなくなりますから、少しばかりダラっとされることを推奨します」
と言えば、周りにいた騎士にメイドさん達が驚きの表情から睨んで来た~!

命の危機!

「では、私は失礼なことを申し上げてしまって、これでお暇させて下さい。本日は、不敬な私を広い御心で許してくださりありがとうございます。失礼します」

やばい、やばい。
調子に乗ってしまった。悪役令嬢が何調子に乗ったわけ!
命の危機を感じながら、すぐに馬車に飛び乗った。
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