上 下
4 / 65

4 悪役令嬢の計略1

しおりを挟む
私は、ダイニングで起きた事、やっぱり兄様から私がアリサさんをいじめていると追及があったこと、これからマリネッセ様のお茶会で家族がアリサさんの行動を見ることを手紙に書いた。

「ラーニャ、手紙をお願い」
とラーニャに渡せば、
「お嬢様、私は、本当に信じられませんよ。お嬢様の言う通りになったり、アリサ様がなさること、言われる事、全て当たるんですもの。私は最初にお嬢様から、乙女ゲームって聞かされた時、頭がおかしくなってしまったと何度も神に祈りましたよ。早く治れと」
「そうよね、ラーニャ。私もあの時は、まさかのお母様からか神からか忠告に動揺していたから、壮大な物語を語ってしまったわね。でもあなたは、困りながらも私を信じてついてきてくれたわ。あなた無しでは、私、悪役令嬢にされてしまうところだったわ」

二人で手を握り語りあった。

私は、乙女ゲームの内容を書き出した後、確認する作業を始めた。これに私付きのメイドのラーニャが疑問に持ち、聞いてきたのが始まり。

そして私はこの時、乙女ゲームを語った。ラーニャは理解出来なくて、この世界にあるロマンス小説を出してきた。こんな話かと。読んでみて大半はこうだから、こんな真似をするヒロインがやってくることを伝えた。
それでも私は疑われた。
だから、アリサさんを見に行った。

ラーニャは私より5歳上なので、ちょうど恋愛系には、どハマり中だった。
これもラッキーだった。
アリサのあざとさをすぐに理解してくれた。やはりメイドの中にも料理人や執事長に媚びを売る子がいるそうで、
「お嬢様、確かにあの方は、要注意ですね、泣き真似したと思ったら笑ってますよ。あれは、男と女で態度を変えるタイプです」

これを出会う三か月前に知れた事は、とても大きな成果を上げた。

やはりメイドも噂話が好きなもので、ラーニャから言わないでよなんて聞いた話はぐるっと一周まわった。
そして、アリサさん達がやってきた。メイド達の視線は、笑顔の中に本当の姿を暴いてやるぞという意気込みが溢れていて、最初から疑って取り掛かった。
そしてお兄様の凋落にアリサさんが動き出せば、みんなやっぱりねと口を揃えた。
そうなるとメイドもアリサさんの味方はいない。
「アリサ様がお茶をしたいとミルフィーナ様をお誘いしようとしています」
「呼び方を聞かれました」
など逐一情報が入ってきたから、わざとお茶を誘われる日にレオナ様を呼んだり、アリサさんと呼ぶ事も強調したり、廊下で会わないように避けた。

聞いていれば、立派な悪役令嬢を私はしている。
「ラーニャ、私、悪役令嬢だったかしら?」
と聞けば、
「意地悪令嬢ぐらいじゃないですかね?」
と返ってきた。
「あら、酷いわね」
と笑った。
「ラーニャ、公爵家のお茶会に行くわ。アリサさんとお兄様も一緒よ。アリサさんがドレスや宝石の事、色々言うかもしれないけどメイドのみんなにもよろしくと伝えてね。私の持ち物が使いたいと言ったら貸して良いからね。上手く流しながら煽っておいてね。当日私、お腹痛くなる予定で欠席して、あちらのメイドとして参加出来るようにするわ」
と言えば、
「メイドですか?」
と聞き返された。
「ええ、お父様とお兄様に彼女の本当の顔を見て頂くチャンスですから」
「お嬢様、意地悪じゃないですね。悪役令嬢です」

「やっぱり!でも同じ学校に行ったら何をしでかすかわからないもの。怖くてあの子と同じとこなんて通えないわ」
「確かに、エルフィン様に仕掛けたあざとさや甘えや色仕掛けは、メイドのみんな見てましたし、お互い逐一報告しあった結果、わざとやっているに結論が出ましたから。あんなのを、学校でやられたら娼館の娘と言われてしまいますよ」
と言った。

そんなに凄いのか、アリサさんって。若干怖くなったが、もう賽は投げられた、悪いがこのお茶会で全てが決まると思った。
ごめんね、お義母様。お義母様は何も悪くない(私にとって)どんな風に育てたのか、気質なのか、生きるために女という武器を身につけさせたのかわからない。まだ紹介されて一カ月も経たない間で、この先の展開は読めないけど、仕掛けさせてもらいます。

私、悪役令嬢ですから。


「お嬢様、やはり宝石類、ミルフィーナ様のを貸して欲しいと言ってきたそうです」
「ここで私が貸さないと言えば、また泣き真似をして私を落とし入れる文言に変わるわ。ラーニャ、私には伝えておらず、メイド判断で使ってない宝石類を持って来たと言ったら、どうなるかしら?ラーニャだけじゃなくチームを組んで対応してみて!」


「お嬢様、私達がアリサ様に叱られました。お姉様の許可をもらってと。もしかして、お姉様が駄目だと言われたから黙って持ってきたの?と聞かれたので、もう一度、話してませんと言えば、ガッカリしてました。間違いなくお嬢様を怒らそうとするか、もしくは断られるのを期待しておりますね。凄いですね、アリサ様は、お嬢様を悪者や意地悪令嬢にしようとあの手この手を考えておりますよ。先程もエルフィン様が廊下に出るところを狙って待ち伏せしておりましたよ。ミルフィーナ様が宝石貸してくれるか聞いておりましたよ」
「あら、お兄様は何と言ったのかしら?」
と聞けば、
「この前商人が来た時のドレスを着ていくなら、きちんと合わせて宝石も買ったじゃないか、人の物ばかり欲しがるのはいけないよと言われておりました。かなり嫌悪感を出していたので、アリサ様は驚いていましたね。慌てて涙目を作り謝っておりましたが」

真面目か!

「ふふっ、お兄様もすっかり、アリサさんの正体がわかってきたわね。どう出るかしら?ヒロインさんは」

悪役令嬢らしい笑みを浮かべて、それらしい言葉を言ってみた(今はあえて)

「さすが悪役令嬢が様になってますよ、お嬢様」
あまり嬉しくないね。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

家出した伯爵令嬢【完結済】

弓立歩
恋愛
薬学に長けた家に生まれた伯爵令嬢のカノン。病弱だった第2王子との7年の婚約の結果は何と婚約破棄だった!これまでの尽力に対して、実家も含めあまりにもつらい仕打ちにとうとうカノンは家を出る決意をする。 番外編において暴力的なシーン等もありますので一応R15が付いています 6/21完結。今後の更新は予定しておりません。また、本編は60000字と少しで柔らかい表現で出来ております

【完結】婚姻無効になったので新しい人生始めます~前世の記憶を思い出して家を出たら、愛も仕事も手に入れて幸せになりました~

Na20
恋愛
セレーナは嫁いで三年が経ってもいまだに旦那様と使用人達に受け入れられないでいた。 そんな時頭をぶつけたことで前世の記憶を思い出し、家を出ていくことを決意する。 「…そうだ、この結婚はなかったことにしよう」 ※ご都合主義、ふんわり設定です ※小説家になろう様にも掲載しています

元侯爵令嬢は冷遇を満喫する

cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。 しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は 「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」 夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。 自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。 お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。 本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。 ※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります ※作者都合のご都合主義です。 ※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。 ※架空のお話です。現実世界の話ではありません。 ※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。

旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます

結城芙由奈 
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】 ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。

【完結済み】婚約破棄致しましょう

木嶋うめ香
恋愛
生徒会室で、いつものように仕事をしていた私は、婚約者であるフィリップ殿下に「私は運命の相手を見つけたのだ」と一人の令嬢を紹介されました。 運命の相手ですか、それでは邪魔者は不要ですね。 殿下、婚約破棄致しましょう。 第16回恋愛小説大賞 奨励賞頂きました。 応援して下さった皆様ありがとうございます。 本作の感想欄を開けました。 お返事等は書ける時間が取れそうにありませんが、感想頂けたら嬉しいです。 賞を頂いた記念に、何かお礼の小話でもアップできたらいいなと思っています。 リクエストありましたらそちらも書いて頂けたら、先着三名様まで受け付けますのでご希望ありましたら是非書いて頂けたら嬉しいです。

記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。

せいめ
恋愛
 メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。  頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。   ご都合主義です。誤字脱字お許しください。

【完結】お前なんていらない。と言われましたので

高瀬船
恋愛
子爵令嬢であるアイーシャは、義母と義父、そして義妹によって子爵家で肩身の狭い毎日を送っていた。 辛い日々も、学園に入学するまで、婚約者のベルトルトと結婚するまで、と自分に言い聞かせていたある日。 義妹であるエリシャの部屋から楽しげに笑う自分の婚約者、ベルトルトの声が聞こえてきた。 【誤字報告を頂きありがとうございます!💦この場を借りてお礼申し上げます】

処理中です...