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2 悪役令嬢の作戦
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多少の計画のずれがあるとは感じる。
ヒロインの義妹がお兄様を攻略するのがスムーズだったのか、これはプロローグで雑な攻略だったのか?
悪役令嬢としてすぐに名指しをされ、吊るし上げられたこと、やっぱり決まった路線の肩慣らしの自己紹介的なやつか。
でも複雑かつ人数が多く出てくるより、さっさと少なく単純で計画的なプロローグの方が、私がまだ悪役令嬢として認識されてない分、信じてくれる。
私が思い描いた時期より早かったが、私は、ここぞとばかりに自分の身を守るための行動に出ることにした。
「お父様、お話があります。よろしいでしょうか?」
切り出しは、上々か。緊張する。
逆にザマァなんて食らったら…
今は考えない!
「ああ、聞こう」
と静かに頷いた。
「お父様、私はアリサさんは天然なのか計略をもってなのか、私を排除しに来ている気がするのですが?お兄様を使われた時点で人数差が生まれ、私を孤独にしていると感じました。レオナ様にも近寄らないよう一言、私の事で釘をさされたと申しておりました。大変言いにくいのですが、観察していた結果、危険な方だと思います。それは、私を排するからではなくて、私の次は、レオナ様、その次と…きっと彼女は野心が高いと思われます」
兄様の驚いた顔、今日だけで何度目だろう。
お父様は深い溜息を吐いて、
「何故そう思う」
と聞かれた。
「最初の顔合わせの挨拶の時の笑い方です。初め上目遣いでおどおどした仕草をしていましたが、お義母様が話し、そちらに注目がいけば、彼女は、価値を見定めるような商人の目で調度品を見ていました。あの目と口端が上に上がりながら見回す仕草は忘れられません。私は、亡くなったお母様に感謝しております。最後まで貴族の令嬢としての注意深さと強かさ、女性同士の駆け引きを助言して下さいました。お母様は、私に自分が持っていた知識や技術を教えてくださったんです」
と言うと、二人の男は驚いていた。もうその顔が張り付いているのか!
まぁ、お母様には教わってない。
最後は、花になりたいというような人だったから。
つまり、兄様と母様は似ていた。性格も顔も。私は、決して家族が嫌いではない。
ある日突然、この世界が乙女ゲームだと気づいた。
それは、ちょうどお母様が亡くなって、泣きつかれた時にグワァと世界が歪んだ感覚と頭をうつ痛み。
信じられないが最初にきて、何も手につかないぐらいの衝撃を受けた。
しかも乙女ゲームの知識だけ。何故だかはわからない。お母様のプレゼントとして受け入れるまで…
他者から見て、中々立ち直れない娘として扱われたので助かった。
この世界をすぐ認められる方がおかしい。
お父様もお兄様も言葉が出ないのか、やはり私のことなど信じられないのかわからないが、私は、前から決めていたお願い事というか回避すべき事案を言う。
「だから、私は、同じ学校に行くのは反対します。間違いなく彼女の野心は上位貴族の令息に向きます。そしてそれは兄様にしたように近づくことでしょう。相手に婚約者がいようがお構いなく」
と捲し立てれば、我が家の男たちは情けなく、ただ顔を青褪めていた。
そんなこと考えないよね、普通。
「私は巻き込まれたくありませんので、アリサさんとは、違う学校に行かして下さい」
と言えば、お父様は、顎を触りながら、
考えている。
「しかしそれは全てミルフィーナの予測だろう?」
と言った。
確かにそうだ。アリサさんが上位貴族を狙う、それは乙女ゲームの出来事。
絶対とは断言出来ない。
でもプロローグは始まって、兄様は簡単に攻略されたのも事実。
「お母様のこと疑うんですか?」
もう私は言ってしまった。
あとは、亡きお母様のせいにする。ごめんなさい、親不孝します。
「いや、そういうわけではないが、ソフィアは心優しい女性だったから、そんな恐ろしい女性社会に身を投じていたかと思うと…」
とお父様は亡くなったお母様の回想をしていた。
もちろん、お母様は一言もそんな事言ってないよ、お父様。
大丈夫。優しい、真面目なお母様でした。
「たぶん、私のことを最後気にかけて下さったのでしょう。私と茶会に行けないことを残念がってくださってましたから」
と言えば、お父様も納得したかのように、
「あぁ、そうだった、ソフィアは残念がっていた。本当はその時々教えようと思っていたことを全部ミルフィーナに言葉で伝えたということか」
と言った。
真実1に対して嘘、予測、私の誘導9って悪質だ。
それでも…
なんか、上手いように納得してくれた気がする。それは、良かった。
「お二人の前では中々女性の駆け引きは見る機会がないでしょう。では、再来週にある公爵家のお茶会、こっそり観察するっていうのはどうですか?お父様の従兄弟ですよね、アルフレッド公爵さまは!事情を話して隠れながら観察しましょう」
と提案した。
そう、プロローグに二人目の攻略対象者が現れる。この人は、学校の入学式から始まる本編で上位貴族との顔繋ぎ役、セオドリック・レスター伯爵令息。公爵家の分家で私達と同じ歳だ。儚い尽くしキャラだった。彼にアリサさんが食いつくかどうか、私の運命もそこで決まる。
「わかった、相談する。ミルフィーナも参加するんだろう?」
と聞かれて、顔を振り、
「いいえ、私は当日腹痛で欠席して公爵家のメイドをさせてください。きっとその方がアリサさんも本来の、ううん、私に気を使わない姿が見れるでしょうし、アリサさんのエスコートはお兄様でレオナ様にも来ていただけると思いますし。派閥のお茶会ですもの。お父様は遠くで観察して下さい。お兄様は近くで観察。それで女性を見て学んで下さい。それから、これは内密に、準備や警戒されてしまったら、意味ありませんから」
と言った。
とりあえず、二人は納得したようだ。
一応、早急に手を打てることはした。私は、自分が悪役令嬢になりたくないもあるが、乙女ゲームに身を投じたくないが一番なのだ。
ヒロインの義妹がお兄様を攻略するのがスムーズだったのか、これはプロローグで雑な攻略だったのか?
悪役令嬢としてすぐに名指しをされ、吊るし上げられたこと、やっぱり決まった路線の肩慣らしの自己紹介的なやつか。
でも複雑かつ人数が多く出てくるより、さっさと少なく単純で計画的なプロローグの方が、私がまだ悪役令嬢として認識されてない分、信じてくれる。
私が思い描いた時期より早かったが、私は、ここぞとばかりに自分の身を守るための行動に出ることにした。
「お父様、お話があります。よろしいでしょうか?」
切り出しは、上々か。緊張する。
逆にザマァなんて食らったら…
今は考えない!
「ああ、聞こう」
と静かに頷いた。
「お父様、私はアリサさんは天然なのか計略をもってなのか、私を排除しに来ている気がするのですが?お兄様を使われた時点で人数差が生まれ、私を孤独にしていると感じました。レオナ様にも近寄らないよう一言、私の事で釘をさされたと申しておりました。大変言いにくいのですが、観察していた結果、危険な方だと思います。それは、私を排するからではなくて、私の次は、レオナ様、その次と…きっと彼女は野心が高いと思われます」
兄様の驚いた顔、今日だけで何度目だろう。
お父様は深い溜息を吐いて、
「何故そう思う」
と聞かれた。
「最初の顔合わせの挨拶の時の笑い方です。初め上目遣いでおどおどした仕草をしていましたが、お義母様が話し、そちらに注目がいけば、彼女は、価値を見定めるような商人の目で調度品を見ていました。あの目と口端が上に上がりながら見回す仕草は忘れられません。私は、亡くなったお母様に感謝しております。最後まで貴族の令嬢としての注意深さと強かさ、女性同士の駆け引きを助言して下さいました。お母様は、私に自分が持っていた知識や技術を教えてくださったんです」
と言うと、二人の男は驚いていた。もうその顔が張り付いているのか!
まぁ、お母様には教わってない。
最後は、花になりたいというような人だったから。
つまり、兄様と母様は似ていた。性格も顔も。私は、決して家族が嫌いではない。
ある日突然、この世界が乙女ゲームだと気づいた。
それは、ちょうどお母様が亡くなって、泣きつかれた時にグワァと世界が歪んだ感覚と頭をうつ痛み。
信じられないが最初にきて、何も手につかないぐらいの衝撃を受けた。
しかも乙女ゲームの知識だけ。何故だかはわからない。お母様のプレゼントとして受け入れるまで…
他者から見て、中々立ち直れない娘として扱われたので助かった。
この世界をすぐ認められる方がおかしい。
お父様もお兄様も言葉が出ないのか、やはり私のことなど信じられないのかわからないが、私は、前から決めていたお願い事というか回避すべき事案を言う。
「だから、私は、同じ学校に行くのは反対します。間違いなく彼女の野心は上位貴族の令息に向きます。そしてそれは兄様にしたように近づくことでしょう。相手に婚約者がいようがお構いなく」
と捲し立てれば、我が家の男たちは情けなく、ただ顔を青褪めていた。
そんなこと考えないよね、普通。
「私は巻き込まれたくありませんので、アリサさんとは、違う学校に行かして下さい」
と言えば、お父様は、顎を触りながら、
考えている。
「しかしそれは全てミルフィーナの予測だろう?」
と言った。
確かにそうだ。アリサさんが上位貴族を狙う、それは乙女ゲームの出来事。
絶対とは断言出来ない。
でもプロローグは始まって、兄様は簡単に攻略されたのも事実。
「お母様のこと疑うんですか?」
もう私は言ってしまった。
あとは、亡きお母様のせいにする。ごめんなさい、親不孝します。
「いや、そういうわけではないが、ソフィアは心優しい女性だったから、そんな恐ろしい女性社会に身を投じていたかと思うと…」
とお父様は亡くなったお母様の回想をしていた。
もちろん、お母様は一言もそんな事言ってないよ、お父様。
大丈夫。優しい、真面目なお母様でした。
「たぶん、私のことを最後気にかけて下さったのでしょう。私と茶会に行けないことを残念がってくださってましたから」
と言えば、お父様も納得したかのように、
「あぁ、そうだった、ソフィアは残念がっていた。本当はその時々教えようと思っていたことを全部ミルフィーナに言葉で伝えたということか」
と言った。
真実1に対して嘘、予測、私の誘導9って悪質だ。
それでも…
なんか、上手いように納得してくれた気がする。それは、良かった。
「お二人の前では中々女性の駆け引きは見る機会がないでしょう。では、再来週にある公爵家のお茶会、こっそり観察するっていうのはどうですか?お父様の従兄弟ですよね、アルフレッド公爵さまは!事情を話して隠れながら観察しましょう」
と提案した。
そう、プロローグに二人目の攻略対象者が現れる。この人は、学校の入学式から始まる本編で上位貴族との顔繋ぎ役、セオドリック・レスター伯爵令息。公爵家の分家で私達と同じ歳だ。儚い尽くしキャラだった。彼にアリサさんが食いつくかどうか、私の運命もそこで決まる。
「わかった、相談する。ミルフィーナも参加するんだろう?」
と聞かれて、顔を振り、
「いいえ、私は当日腹痛で欠席して公爵家のメイドをさせてください。きっとその方がアリサさんも本来の、ううん、私に気を使わない姿が見れるでしょうし、アリサさんのエスコートはお兄様でレオナ様にも来ていただけると思いますし。派閥のお茶会ですもの。お父様は遠くで観察して下さい。お兄様は近くで観察。それで女性を見て学んで下さい。それから、これは内密に、準備や警戒されてしまったら、意味ありませんから」
と言った。
とりあえず、二人は納得したようだ。
一応、早急に手を打てることはした。私は、自分が悪役令嬢になりたくないもあるが、乙女ゲームに身を投じたくないが一番なのだ。
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