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26初めましてヒロインさん
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とうとう、始まる。
フランツ王子様とマリーさんの恋物語、ようこそ漫画という世界。
私も誕生日を迎え13歳になった。そして冬が終わり、花に蕾がつき始めた。
「アーシャ様、スケッチブックばかり荷物に入っておりますよ。私がマリアさんに叱られます」
とメイドのミリーはパンパンに膨らんだ荷物の上に乗りなんとか蓋を閉めるべく戦っている。
学園には、屋敷から通えないので、寄宿舎になる。そしてミリーも一緒に来てくれる。
「ミリー、本当にいいの寄宿舎に来てくれるなんて」
「いやぁ、王都でお菓子巡りもありますし、私も婚活ですか、王子様に見初められたらどうしましょうか?お嬢様~」
あぁ、ミリー、頭の中に花が咲いているのね。公爵家から通ったら、なんてエリオン様は言ってくれたけど、ここは絶対阻止、無理、あり得ない。
悪役令嬢の周りにいた人は消える。
これがわかってて近づく馬鹿はいない。不便になるといってもメイドがいてくれるから大丈夫でしょう。
みんなにお別れを言った。
「大丈夫ですよ、アーシャ。あなたは王妃教育に負けないほどの教育を受けております。どの先生もハンコを押すほどです。自信を持って挑むのですよ」
何だこの今生の別れで、どこかに合戦でも行くかの様子は?
王妃教育って何?
「いやぁ、私誰にも挑みませんよ」
やだなぁ、お祖母様たら。
まさか、お祖母様の予知?いやぁ言ってないし、聞いてない。
「言葉遣い!」
「はい」
「夏休みには帰ってきます」
大きな白い壁に頑丈そうな正門、警備員もいて、白い石畳の道。
「凄いわね、王宮も立派だけど、この学園もなんだか絵物語みたいね。ミリー?」
とミリーを見れば、めちゃくちゃ目が見開いて、
「これ、お城じゃないんですか?アーシャ様」
「えぇ、ここが学園よ、で私達の寄宿舎があちらね」
先程警備の方に確認を取ってもらった。
ん、?何故寄宿舎の周りにいきなり現れた林みたいな木々。
「アーシャ様、学園は、見たことないような建物ですが、こちらは綿花工場の住み込みの建物みたいですね」
「えぇ、えぇ、随分と古そうね…」
しかし何故突然林のような木々があるのか?庭園ではなくて。古い洋館。
「失礼します。ドミルトン伯爵家のものですが」
とミリーが言えば、顔立ちの優しいおじ様が現れた。ミリーのハートが撃ち抜かれた瞬間を私は見た。
「スケッチブックをください」
「はい?」
中年の紳士が疑問系に聞き返した。
「お静かにアーシャ様。私ミリーと申します。こちらドミルトン伯爵家の令嬢でアーシャ様です。以後よろしくお願いします」
ミリー、あなたってば自分を最初に売りこんだわね。
「あぁ、あなたが、アーシャ・ドミルトン伯爵令嬢ですか。私は、こちらの管理人を勤めておりますガレットと申します。よろしくお願いします。お部屋は二部屋の続きになっております。2階に札が掛かっておりますし、荷物は運んであります。ごゆっくりお過ごしください。朝は、6時からダイニングが使えます。夜は、7時からになります。その他の事は、ミリーさんに伝えましょうかね」
とガレットさんは言った。綺麗な中年紳士だ。絵に描きたい。髪は、茶色に混ざった白髪?いや、光具合は、白というより、銀髪のように見える、肌もスルッとしたフランツ王子のようで眼鏡やら髭で年齢がわからないが、よく見れば、割と若い?年齢を聞くなんてヤボよね。
「こちらの寄宿舎何名いるのでしょうか?」
と質問した。共同生活だ。一応把握はしておく必要はあると思った。
「生徒さんは、予定は、5、6名でミリーさんのように従者の方も入れますと8名と存じます」
「ありがとうございます。ガレットさん」
二階に向かう廊下を案内してくれる。ミリーは、目がハートだ。結構古い建物の割に中の廊下は修繕が入ったようで新しい。木の匂いもする。5、6名か、凄い少なくないかしら?学園ってみんな王都に家があるの?
下位貴族の令嬢は中々通わないけど、令息はどこから通う?親戚?かもしれない。しかし少ない気がする…
張り替えた壁紙…
「こちらの階段を上がって下さい」
と言うガレットさんは、信じられないほど足音がしなかった。
行儀作法も随分と厳しかったので、この歩き方が上位貴族、もしくは訓練した者だとわかる。
ハアー。一息ついてから、
「申し訳ございません、ガレットさん、私、普通の寄宿舎を希望しておりまして、特別は要らないのですよ。誰のご配慮か存じませんが、伯爵家ですし、皆さんと同じ寄宿舎に移りたいです」
と言えば、ミリーが振り返り、眉毛が上がった。怒るかな?
ガレットさんは、嬉しそうに、
「私、何か粗相がありましたか?」
と聞いた。仕方なしに
「足音がしませんよ、ガレットさん。王宮勤めですか?もしくは秘密組織ですか?」
「ハハッお聞きに勝るとは、この事ですね。アーシャ様に何かありましたら、大変ですので、こちらの特別警護館になります」
「いえ、今や何の問題もないではありませんか?」
案に王宮内のトラブルに私を巻き込まないでおくれ、紳士さん。
ガレットさんは、少し自分の髭を触った後に息を吐いた。
移動させるつもりはないのだろうなと仕方なしに
「フランツ王子様もですか?」
と言えば、目と眉毛が動いた。
「まさか、お城から通えますよ」
ハアーと大きな溜息をついた。
私は、
「いやいや、若い男女を同じ建物内で交流を持たせるのは、絶対によくないです。婚約候補者がいる方ですので、世間的にも駄目です」
「アーシャ様、それはないです。お泊まりになられるようなことはないと思います」
とガレットさんは言ったが、
「泊まらなくても、こちらを休憩場所として使うという意味ですか?」
「そ、それは、その」
とガレットさんが目が泳いだ。ミリーは、
「すぐに工事を呼んで女子寮、男子寮みたいに壁か扉を作って下さい。アーシャ様も嫁入り前ですので」
まさかのミリー!いや、でも引っ越そうよミリー!
「王妃様ですか?元国王様?ガレットさん」
答えないが否定もしない。
「フランツ王子様の執務も大変でしょう?学園近くに執務室や仮眠室をご用意してあげる優しさ、素晴らしいです。ただ私は、いらなかったでしょうに?」
「いえ、要人を警護するには同じ場所にいていただく方がこちらの都合が良く」
「でしたら、フランツ王子様にも正直に警護の為と話すべきですよ。で残りの3、4名はどちら様ですか?」
「まだ2名でして、お二人の警護担当の学生です」
「学園の中も守って下さるの?私、王族じゃありませんよ」
…
ハアー、答えないか。
「わかりました。ご厚意御礼申し上げます。しかし私、警護対象はずれましたら、寄宿舎に移るのですぐに言って下さい。何も気にしてませんから」
と挨拶をして部屋に入る。新しい木の匂いがする。外側は出来ていて、中を新しくしたんだろう。
どうしてこんな要人扱いされるのかわからないけど、
『マリーさん』が現れたら、ヒロイン登場で私は、普通の寄宿舎に移ろう。突然にただ面倒くさくなった学園生活に、足音がしない紳士に特別警護館。初っ端から嫌な予感しかしないことを溜息で誤魔化した。
「フランツ、あなたには執務室を学園内の寄宿舎に用意しました。執務と学園生活大変だと思いますが、近場に部屋がある方が休み時間など利用できるでしょう」
と王妃が言った。まだ寄宿舎を見に行ってないが、とても機嫌がいい母様が怖い。
「一体なんなんだ?」
ガレットは、驚いた。あの令嬢が噂に聞く8歳で王子達の誘拐を防ぎ、カイル王子の襲撃を防ぎ、アステリア王国の使用人の勢力分布を変えた。話しを聞く限り信じられなかった。
印象が残らない雰囲気も意外だったな。
でも質問もさりげなく核をついていた。足音、顔の動きすべて見られて知られてしまう。恐ろしい令嬢だ。
話しに聞くより会って話せば怖さがわかる。
「参りましたね」
と呟くと、
「先生、どうしたんですか?」
と2名の学生警護担当の子達が来た。
「アーシャ・ドミルトン令嬢に負けました。完敗です」
と言えば、不貞腐れた顔を作った二人。
「ゲェ~」
「そんな令嬢、私担当するの?」
そして、青い空、雲がない。私は敷地内にいるため門からは入らないが、入学式。入学式は出会いと書いて会った。
そう言えばどこで出会うのだろうか?
場所取りが出来ない。考えてみれば、新入生が全員いるのは、講堂。ずっと隠れて見ているなんて面倒だから、とりあえず、講堂で天然系な失敗したりする女の子を見つけよう、と私は、真っ直ぐに進んだ。門など見ないで。
「あれも違うし、これも違う」
馬車から降りてくる貴族の令息や令嬢を確認している令嬢が一人。
ずっとその場で誰かを探しているようで警備員が
「誰かお探しですか?」
振り返った令嬢は、
「あなたに関係ないでしょう。見逃したら、大変だから黙って!」
と言った。警備員は、変な令嬢だと関わらない事を決めた。
ぶつぶつ言って、たまに頷く。
馬車の列は確認し、講堂に入る。
式はまだ始まっていない。
「あれ、私遅刻したはずじゃなかった?」
と割と大きな声で言う令嬢に、隣にいた令嬢が、
「フランツ王子様が新入生代表の挨拶をされる予定だったのに、前にいるご令嬢達が場所の取り合いで喧嘩になったみたいです。まだ始まっておりません」
と言った。
「何ですって」
と遅れて入った令嬢は前の席に向かった。
「えっ?」
あら、前に行かれたわ。私は、うるさいから一番後ろまで逃げて来た。私、マリーさんって名前知ってても顔を知らないので結局は、クラス分け見てからだと色々諦めた。いや、婚約候補者が、うるさくて面倒くさくなったと言う方が近い。フランツ王子は帰ったようだし。
イメージと違う始まりに興奮もせずに、私学園に来なくても良かったんじゃないかなぁと考えていた。
「早く夏休み来ないかしら」
結局、式はやらず各クラスに分かれる事になった。
フランツ王子様とマリーさんの恋物語、ようこそ漫画という世界。
私も誕生日を迎え13歳になった。そして冬が終わり、花に蕾がつき始めた。
「アーシャ様、スケッチブックばかり荷物に入っておりますよ。私がマリアさんに叱られます」
とメイドのミリーはパンパンに膨らんだ荷物の上に乗りなんとか蓋を閉めるべく戦っている。
学園には、屋敷から通えないので、寄宿舎になる。そしてミリーも一緒に来てくれる。
「ミリー、本当にいいの寄宿舎に来てくれるなんて」
「いやぁ、王都でお菓子巡りもありますし、私も婚活ですか、王子様に見初められたらどうしましょうか?お嬢様~」
あぁ、ミリー、頭の中に花が咲いているのね。公爵家から通ったら、なんてエリオン様は言ってくれたけど、ここは絶対阻止、無理、あり得ない。
悪役令嬢の周りにいた人は消える。
これがわかってて近づく馬鹿はいない。不便になるといってもメイドがいてくれるから大丈夫でしょう。
みんなにお別れを言った。
「大丈夫ですよ、アーシャ。あなたは王妃教育に負けないほどの教育を受けております。どの先生もハンコを押すほどです。自信を持って挑むのですよ」
何だこの今生の別れで、どこかに合戦でも行くかの様子は?
王妃教育って何?
「いやぁ、私誰にも挑みませんよ」
やだなぁ、お祖母様たら。
まさか、お祖母様の予知?いやぁ言ってないし、聞いてない。
「言葉遣い!」
「はい」
「夏休みには帰ってきます」
大きな白い壁に頑丈そうな正門、警備員もいて、白い石畳の道。
「凄いわね、王宮も立派だけど、この学園もなんだか絵物語みたいね。ミリー?」
とミリーを見れば、めちゃくちゃ目が見開いて、
「これ、お城じゃないんですか?アーシャ様」
「えぇ、ここが学園よ、で私達の寄宿舎があちらね」
先程警備の方に確認を取ってもらった。
ん、?何故寄宿舎の周りにいきなり現れた林みたいな木々。
「アーシャ様、学園は、見たことないような建物ですが、こちらは綿花工場の住み込みの建物みたいですね」
「えぇ、えぇ、随分と古そうね…」
しかし何故突然林のような木々があるのか?庭園ではなくて。古い洋館。
「失礼します。ドミルトン伯爵家のものですが」
とミリーが言えば、顔立ちの優しいおじ様が現れた。ミリーのハートが撃ち抜かれた瞬間を私は見た。
「スケッチブックをください」
「はい?」
中年の紳士が疑問系に聞き返した。
「お静かにアーシャ様。私ミリーと申します。こちらドミルトン伯爵家の令嬢でアーシャ様です。以後よろしくお願いします」
ミリー、あなたってば自分を最初に売りこんだわね。
「あぁ、あなたが、アーシャ・ドミルトン伯爵令嬢ですか。私は、こちらの管理人を勤めておりますガレットと申します。よろしくお願いします。お部屋は二部屋の続きになっております。2階に札が掛かっておりますし、荷物は運んであります。ごゆっくりお過ごしください。朝は、6時からダイニングが使えます。夜は、7時からになります。その他の事は、ミリーさんに伝えましょうかね」
とガレットさんは言った。綺麗な中年紳士だ。絵に描きたい。髪は、茶色に混ざった白髪?いや、光具合は、白というより、銀髪のように見える、肌もスルッとしたフランツ王子のようで眼鏡やら髭で年齢がわからないが、よく見れば、割と若い?年齢を聞くなんてヤボよね。
「こちらの寄宿舎何名いるのでしょうか?」
と質問した。共同生活だ。一応把握はしておく必要はあると思った。
「生徒さんは、予定は、5、6名でミリーさんのように従者の方も入れますと8名と存じます」
「ありがとうございます。ガレットさん」
二階に向かう廊下を案内してくれる。ミリーは、目がハートだ。結構古い建物の割に中の廊下は修繕が入ったようで新しい。木の匂いもする。5、6名か、凄い少なくないかしら?学園ってみんな王都に家があるの?
下位貴族の令嬢は中々通わないけど、令息はどこから通う?親戚?かもしれない。しかし少ない気がする…
張り替えた壁紙…
「こちらの階段を上がって下さい」
と言うガレットさんは、信じられないほど足音がしなかった。
行儀作法も随分と厳しかったので、この歩き方が上位貴族、もしくは訓練した者だとわかる。
ハアー。一息ついてから、
「申し訳ございません、ガレットさん、私、普通の寄宿舎を希望しておりまして、特別は要らないのですよ。誰のご配慮か存じませんが、伯爵家ですし、皆さんと同じ寄宿舎に移りたいです」
と言えば、ミリーが振り返り、眉毛が上がった。怒るかな?
ガレットさんは、嬉しそうに、
「私、何か粗相がありましたか?」
と聞いた。仕方なしに
「足音がしませんよ、ガレットさん。王宮勤めですか?もしくは秘密組織ですか?」
「ハハッお聞きに勝るとは、この事ですね。アーシャ様に何かありましたら、大変ですので、こちらの特別警護館になります」
「いえ、今や何の問題もないではありませんか?」
案に王宮内のトラブルに私を巻き込まないでおくれ、紳士さん。
ガレットさんは、少し自分の髭を触った後に息を吐いた。
移動させるつもりはないのだろうなと仕方なしに
「フランツ王子様もですか?」
と言えば、目と眉毛が動いた。
「まさか、お城から通えますよ」
ハアーと大きな溜息をついた。
私は、
「いやいや、若い男女を同じ建物内で交流を持たせるのは、絶対によくないです。婚約候補者がいる方ですので、世間的にも駄目です」
「アーシャ様、それはないです。お泊まりになられるようなことはないと思います」
とガレットさんは言ったが、
「泊まらなくても、こちらを休憩場所として使うという意味ですか?」
「そ、それは、その」
とガレットさんが目が泳いだ。ミリーは、
「すぐに工事を呼んで女子寮、男子寮みたいに壁か扉を作って下さい。アーシャ様も嫁入り前ですので」
まさかのミリー!いや、でも引っ越そうよミリー!
「王妃様ですか?元国王様?ガレットさん」
答えないが否定もしない。
「フランツ王子様の執務も大変でしょう?学園近くに執務室や仮眠室をご用意してあげる優しさ、素晴らしいです。ただ私は、いらなかったでしょうに?」
「いえ、要人を警護するには同じ場所にいていただく方がこちらの都合が良く」
「でしたら、フランツ王子様にも正直に警護の為と話すべきですよ。で残りの3、4名はどちら様ですか?」
「まだ2名でして、お二人の警護担当の学生です」
「学園の中も守って下さるの?私、王族じゃありませんよ」
…
ハアー、答えないか。
「わかりました。ご厚意御礼申し上げます。しかし私、警護対象はずれましたら、寄宿舎に移るのですぐに言って下さい。何も気にしてませんから」
と挨拶をして部屋に入る。新しい木の匂いがする。外側は出来ていて、中を新しくしたんだろう。
どうしてこんな要人扱いされるのかわからないけど、
『マリーさん』が現れたら、ヒロイン登場で私は、普通の寄宿舎に移ろう。突然にただ面倒くさくなった学園生活に、足音がしない紳士に特別警護館。初っ端から嫌な予感しかしないことを溜息で誤魔化した。
「フランツ、あなたには執務室を学園内の寄宿舎に用意しました。執務と学園生活大変だと思いますが、近場に部屋がある方が休み時間など利用できるでしょう」
と王妃が言った。まだ寄宿舎を見に行ってないが、とても機嫌がいい母様が怖い。
「一体なんなんだ?」
ガレットは、驚いた。あの令嬢が噂に聞く8歳で王子達の誘拐を防ぎ、カイル王子の襲撃を防ぎ、アステリア王国の使用人の勢力分布を変えた。話しを聞く限り信じられなかった。
印象が残らない雰囲気も意外だったな。
でも質問もさりげなく核をついていた。足音、顔の動きすべて見られて知られてしまう。恐ろしい令嬢だ。
話しに聞くより会って話せば怖さがわかる。
「参りましたね」
と呟くと、
「先生、どうしたんですか?」
と2名の学生警護担当の子達が来た。
「アーシャ・ドミルトン令嬢に負けました。完敗です」
と言えば、不貞腐れた顔を作った二人。
「ゲェ~」
「そんな令嬢、私担当するの?」
そして、青い空、雲がない。私は敷地内にいるため門からは入らないが、入学式。入学式は出会いと書いて会った。
そう言えばどこで出会うのだろうか?
場所取りが出来ない。考えてみれば、新入生が全員いるのは、講堂。ずっと隠れて見ているなんて面倒だから、とりあえず、講堂で天然系な失敗したりする女の子を見つけよう、と私は、真っ直ぐに進んだ。門など見ないで。
「あれも違うし、これも違う」
馬車から降りてくる貴族の令息や令嬢を確認している令嬢が一人。
ずっとその場で誰かを探しているようで警備員が
「誰かお探しですか?」
振り返った令嬢は、
「あなたに関係ないでしょう。見逃したら、大変だから黙って!」
と言った。警備員は、変な令嬢だと関わらない事を決めた。
ぶつぶつ言って、たまに頷く。
馬車の列は確認し、講堂に入る。
式はまだ始まっていない。
「あれ、私遅刻したはずじゃなかった?」
と割と大きな声で言う令嬢に、隣にいた令嬢が、
「フランツ王子様が新入生代表の挨拶をされる予定だったのに、前にいるご令嬢達が場所の取り合いで喧嘩になったみたいです。まだ始まっておりません」
と言った。
「何ですって」
と遅れて入った令嬢は前の席に向かった。
「えっ?」
あら、前に行かれたわ。私は、うるさいから一番後ろまで逃げて来た。私、マリーさんって名前知ってても顔を知らないので結局は、クラス分け見てからだと色々諦めた。いや、婚約候補者が、うるさくて面倒くさくなったと言う方が近い。フランツ王子は帰ったようだし。
イメージと違う始まりに興奮もせずに、私学園に来なくても良かったんじゃないかなぁと考えていた。
「早く夏休み来ないかしら」
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