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62聖女決定
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翌日
教室内は昨日の話で持ちきりのようで廊下にまでミンネの悪口を言う声が聞こえる。
廊下で足が止まり深呼吸を一度する。
「冷静に、普通に、ペースを合わせない」
今日から一週間ほどミンネは休む。昨日全部事情を話した。
「何が起きたのかわからなくなって怖かったわ。意識の外で色々身体が動いて気持ち悪かったし、所々覚えてないの。でもあの封筒の中身は、王宮からの使者様からの聖杯の清めの儀式の招待状よ。ティアに見せようと思って持ってきたのよ、本当よ、信じて」
と泣きながら言っていた。
私も誠心誠意、知っていたのに言わずに後回しにしていたことを謝った。
鞄の中を確認しても封筒は見つからなかった。
「どこかで差し替えられたのではないか」
とシルベルト様が言ったが、ミンネには、心当たりがない、覚えてないと言った。
サクラさんは、強かさで単純だけど、自分勝手を無理矢理でも通す力強さが怖いと話した。
そんな人と話し合いで解決なんて無理だねとミンネとお互い納得した。
最後、街に行った時にカフェでご馳走することで許してくれた。
本当に最悪な人だ、サクラさんは。こんな事を当たり前のようにやるなんて。
「おはようございます」
と言えば、サクラさんから
「昨日は怖かったわね~」
と言葉が投げかけられた。顔が上手く笑えない。その顔を見るだけで腹が立つ。冷静に、普通に、を繰り返す。
私の後ろからシルベルト様が、顔を出し
「留学生のサクラ嬢はいるか?」
と呼びかけ、意識は私の後ろに一気に集中した。
それだけで、気の張り込みが抜けた。顔も、相当強張っていたみたいだ。
「はい、は~い、います。ここにいます」
明るい声が響いた。
「昨日の件なんだが、今日は先生にも話を通してあるので、今から荷物を持って生徒会室に来て欲しい」
「えっ、何故荷物を?」
と一歩引いた感じで言った。
「あぁ、言い方が悪かったな、申し訳ない。少し時間がかかる。君はミンネ嬢と仲が良いと聞いたから。生徒会と学園長も話を聞きたいと言っているんだが。都合が今日は悪かったかな?」
と言えば、
「いいえ、シルベルト様。大丈夫です」
と再び明るく答えた。
そしてシルベルト様は教室全体に向けて、
「申し訳ないが、サクラ嬢から話を聞いたあと昼休みに昨日事情を聞けなかった半数のみんなから事情を聞きたい、用意しておいて欲しい」
と言えば、サクラさんは疑いもせず、私にドヤ顔をして通り過ぎていく。
あぁ、この人やっぱり嫌いだわと思った。カミューラ様やイリーネ様を悪役令嬢だの言っていたけど、この人は悪役にもならない、愚かな人だ。
そして、二時間目の授業が終わると、サクラさんは戻ってきた。
そして大きな声で
「ミンネが落とした昨日の封筒、やっぱり黒魔術だったんだって!あっ、これって内緒ね」
と言った。
「「「ウソー、怖いんだけど。私達呪われたの」」」
と一部のクラスメイトが騒いだ。
「シィーー。静かにしてよ。それが聖女の血で清められるってわかったから、私、血を提供してきたわ。内緒よ。あれが嫌な感じがするってわかったのは聖なる力があるかもって言われちゃったの」
とサクラさんのテンション上げ上げの声は止まらない。内緒と言われても内緒にはしないらしい。
「うそ、サクラ、聖女になるの?言っていた黒魔術の聖杯を清める役に選ばれたってこと?」
「う~、内緒よ。多分ってことみたいだけど、クラード様から直接言われたし~」
「えぇ~、信じられない!!」
「何でも聖女は王太子殿下のエスコートを受けるらしいのよね~で、聖女らしいドレス作るって言われたのよね~」
「羨ましいぃーー」
「そういえば、結局、ミンネってやっぱりセリナさんと同じってこと?」
「今日、捕まるらしいわよ。これ内緒だからね、あぁもう行かなきゃ、ドレスの採寸なの、シルベルト様がエスコートしてくれるそうなんだけど。公爵家御用達の所か王太子殿下の御用達の所にするか…ハァーーー迷っちゃうわ」
といってわざわざ私を見てきた。
目線は合わせませんよ。
どうせまたドヤ顔でしょうね。
「サクラ嬢、どこに行ったかと思いましたよ。急にいなくなるから…困った人ですね、学園長とは話し終えたのですか?それなら、ご用意した店に行きたいのですが…」
「ごめんなさい、シルベルト様~ちょっと忘れ物しちゃって、エスコートありがとうございます~」
と相変わらず鼻につく甘ったるい声を出している。
「では、行きましょう」
「は~い」
と言って二人は出て行った。
しばらくすると、扉に騎士が入ってきた。
「はい、皆さん動かないでください。その場に待機です」
と言われた。次に、
「みなさん、順番に教室内から出て行ってください」
と廊下に出された。
そして最後の一人が出ると扉を閉められた。
中で何が行われているのかは、みんな興味津々だけど、警備員やフラン様達に見張られて、みんな黙って外で待った。
そして騎士達が教室から出て行って、クラード殿下に報告していた。
その後、ログワット様が、
「みんな、今の事は内緒にして欲しい。頼むね」
と威圧をかけた。みんな頷く。
ただ噂話程度にヒソヒソ声は聞こえた。セレナさんの黒魔術を見つけたのも騎士達が活躍したから、ミンネも同じ証拠を探されていると思っているらしい。
生徒会の皆さんの努力で、サクラさんのテンションは一週間非常に高く、生徒会に入り浸りのままのおかげで、このクラスには何事もなかった。
しかし魔法具は見つからなかった。
『サクラ・セノーを聖女に任命する。
生徒会 会長 クラード・ノーマン 』
これが掲示板に張り出された。
「やったわ、公式よ、私、選ばれたの~」
と一人喜んでいるサクラさん。
みんなの白けきっている顔なんて見ていない。
魔法具は一週間使ってないようだ。すっかりみんなは、サクラさんから離れているのに気づかないらしい。
こんなに探しているのに見つからない魔法具が不思議だった。
キアヌス先生から、
「ティアラさん、職員室に来てくださいね」
と言われた。
分厚い紙束を渡された。
作成者、シリル殿下とカミューラ様…
この二人一体何をしているんだか。一枚目を捲ると、まさかの台本。
「何ですか?これは!」
思わず、職員室でも声を出してしまった。確かに、生徒会で偽の聖女イベントをと言ったけど。まさか台本を用意してまでとは…
かなりこの二人はノリノリなのか、設定だけじゃなく、衣装や小道具も細かく書いてある。
そして会話文も予想なのか、台詞として暗記なのか?
ミンネもイリーネ様達も当然のように駆り出されている。
「シリル様が楽しそうに渡しに来たのよ、頑張ってね、ティアラさん」
とキアヌス先生は中身も見ずに呆れているようだった。
教室内は昨日の話で持ちきりのようで廊下にまでミンネの悪口を言う声が聞こえる。
廊下で足が止まり深呼吸を一度する。
「冷静に、普通に、ペースを合わせない」
今日から一週間ほどミンネは休む。昨日全部事情を話した。
「何が起きたのかわからなくなって怖かったわ。意識の外で色々身体が動いて気持ち悪かったし、所々覚えてないの。でもあの封筒の中身は、王宮からの使者様からの聖杯の清めの儀式の招待状よ。ティアに見せようと思って持ってきたのよ、本当よ、信じて」
と泣きながら言っていた。
私も誠心誠意、知っていたのに言わずに後回しにしていたことを謝った。
鞄の中を確認しても封筒は見つからなかった。
「どこかで差し替えられたのではないか」
とシルベルト様が言ったが、ミンネには、心当たりがない、覚えてないと言った。
サクラさんは、強かさで単純だけど、自分勝手を無理矢理でも通す力強さが怖いと話した。
そんな人と話し合いで解決なんて無理だねとミンネとお互い納得した。
最後、街に行った時にカフェでご馳走することで許してくれた。
本当に最悪な人だ、サクラさんは。こんな事を当たり前のようにやるなんて。
「おはようございます」
と言えば、サクラさんから
「昨日は怖かったわね~」
と言葉が投げかけられた。顔が上手く笑えない。その顔を見るだけで腹が立つ。冷静に、普通に、を繰り返す。
私の後ろからシルベルト様が、顔を出し
「留学生のサクラ嬢はいるか?」
と呼びかけ、意識は私の後ろに一気に集中した。
それだけで、気の張り込みが抜けた。顔も、相当強張っていたみたいだ。
「はい、は~い、います。ここにいます」
明るい声が響いた。
「昨日の件なんだが、今日は先生にも話を通してあるので、今から荷物を持って生徒会室に来て欲しい」
「えっ、何故荷物を?」
と一歩引いた感じで言った。
「あぁ、言い方が悪かったな、申し訳ない。少し時間がかかる。君はミンネ嬢と仲が良いと聞いたから。生徒会と学園長も話を聞きたいと言っているんだが。都合が今日は悪かったかな?」
と言えば、
「いいえ、シルベルト様。大丈夫です」
と再び明るく答えた。
そしてシルベルト様は教室全体に向けて、
「申し訳ないが、サクラ嬢から話を聞いたあと昼休みに昨日事情を聞けなかった半数のみんなから事情を聞きたい、用意しておいて欲しい」
と言えば、サクラさんは疑いもせず、私にドヤ顔をして通り過ぎていく。
あぁ、この人やっぱり嫌いだわと思った。カミューラ様やイリーネ様を悪役令嬢だの言っていたけど、この人は悪役にもならない、愚かな人だ。
そして、二時間目の授業が終わると、サクラさんは戻ってきた。
そして大きな声で
「ミンネが落とした昨日の封筒、やっぱり黒魔術だったんだって!あっ、これって内緒ね」
と言った。
「「「ウソー、怖いんだけど。私達呪われたの」」」
と一部のクラスメイトが騒いだ。
「シィーー。静かにしてよ。それが聖女の血で清められるってわかったから、私、血を提供してきたわ。内緒よ。あれが嫌な感じがするってわかったのは聖なる力があるかもって言われちゃったの」
とサクラさんのテンション上げ上げの声は止まらない。内緒と言われても内緒にはしないらしい。
「うそ、サクラ、聖女になるの?言っていた黒魔術の聖杯を清める役に選ばれたってこと?」
「う~、内緒よ。多分ってことみたいだけど、クラード様から直接言われたし~」
「えぇ~、信じられない!!」
「何でも聖女は王太子殿下のエスコートを受けるらしいのよね~で、聖女らしいドレス作るって言われたのよね~」
「羨ましいぃーー」
「そういえば、結局、ミンネってやっぱりセリナさんと同じってこと?」
「今日、捕まるらしいわよ。これ内緒だからね、あぁもう行かなきゃ、ドレスの採寸なの、シルベルト様がエスコートしてくれるそうなんだけど。公爵家御用達の所か王太子殿下の御用達の所にするか…ハァーーー迷っちゃうわ」
といってわざわざ私を見てきた。
目線は合わせませんよ。
どうせまたドヤ顔でしょうね。
「サクラ嬢、どこに行ったかと思いましたよ。急にいなくなるから…困った人ですね、学園長とは話し終えたのですか?それなら、ご用意した店に行きたいのですが…」
「ごめんなさい、シルベルト様~ちょっと忘れ物しちゃって、エスコートありがとうございます~」
と相変わらず鼻につく甘ったるい声を出している。
「では、行きましょう」
「は~い」
と言って二人は出て行った。
しばらくすると、扉に騎士が入ってきた。
「はい、皆さん動かないでください。その場に待機です」
と言われた。次に、
「みなさん、順番に教室内から出て行ってください」
と廊下に出された。
そして最後の一人が出ると扉を閉められた。
中で何が行われているのかは、みんな興味津々だけど、警備員やフラン様達に見張られて、みんな黙って外で待った。
そして騎士達が教室から出て行って、クラード殿下に報告していた。
その後、ログワット様が、
「みんな、今の事は内緒にして欲しい。頼むね」
と威圧をかけた。みんな頷く。
ただ噂話程度にヒソヒソ声は聞こえた。セレナさんの黒魔術を見つけたのも騎士達が活躍したから、ミンネも同じ証拠を探されていると思っているらしい。
生徒会の皆さんの努力で、サクラさんのテンションは一週間非常に高く、生徒会に入り浸りのままのおかげで、このクラスには何事もなかった。
しかし魔法具は見つからなかった。
『サクラ・セノーを聖女に任命する。
生徒会 会長 クラード・ノーマン 』
これが掲示板に張り出された。
「やったわ、公式よ、私、選ばれたの~」
と一人喜んでいるサクラさん。
みんなの白けきっている顔なんて見ていない。
魔法具は一週間使ってないようだ。すっかりみんなは、サクラさんから離れているのに気づかないらしい。
こんなに探しているのに見つからない魔法具が不思議だった。
キアヌス先生から、
「ティアラさん、職員室に来てくださいね」
と言われた。
分厚い紙束を渡された。
作成者、シリル殿下とカミューラ様…
この二人一体何をしているんだか。一枚目を捲ると、まさかの台本。
「何ですか?これは!」
思わず、職員室でも声を出してしまった。確かに、生徒会で偽の聖女イベントをと言ったけど。まさか台本を用意してまでとは…
かなりこの二人はノリノリなのか、設定だけじゃなく、衣装や小道具も細かく書いてある。
そして会話文も予想なのか、台詞として暗記なのか?
ミンネもイリーネ様達も当然のように駆り出されている。
「シリル様が楽しそうに渡しに来たのよ、頑張ってね、ティアラさん」
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