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61扇動
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「大丈夫か、ティアラ嬢?顔色が悪い。この部屋から先に出るか?」
とコソっとシルベルト様が言った。
ミンネが心配だ。それは間違いない。早く駆けつけたい…
でも、私がイリーネ様達も巻き込んでいるのに、私だけが逃げるわけにはいかない。
「みんなと共に事情聴取には応じます」
と小さな声で言った。
サクラさんは、クラード殿下と会話していた。とても満足そうな顔をしている。その顔が腹立たしい。
ログワット様が、
「いきなり全員に話を聞くわけにはいかないから、まずイリーネ嬢達には、先に帰ってもらって明日聞こうよ、別クラスだ、事情はわからないだろう、クラード様」
と呼びかけて、納得されイリーネ様達はまず部屋から出た。
目だけで謝罪をした。文句は後ほど聞こう。
サクラさんのテーブルの人達からは、ミンネの怪しい言動が次から次と伝えられた。
「ミンネ…」
何故突然刃がミンネに向かったのか、みんなと仲良くしていたはずだったし、そんなことを言われる子じゃないのに。
「たまに、一緒にいたはずだったのにいなくなっていたり、そういう時にカミューラ様達に意地悪をされたり…」
「私が、階段でカミューラ様から突き飛ばされた時、生徒会室に伺う時だって、ミンネは行かない方がいいみたいなことを言いました。
…もしかしたら、カミューラ様とも通じていて証拠隠しをしていたのかも」
「確かに怪しかったわ。ティアラ様が生徒会の皆さんと仲が良いことも妬んで、私達に仲間外れを持ち掛けてきたのはミンネなんです」
…
なんでそんな出鱈目ばかり。
「人の気持ちを操るのが上手かったわよね~」
と扇動するサクラさん。
ティーカップを片手に持ち、座り込んでいた子達が正気を取り戻したみたいにキョロキョロしてから、軽い悲鳴をあげた。
自分がした事を思い出したみたいに。その子達に
「大変だったわね、あなた達、ミンネの入れたお茶を飲んだばっかりに操られたのよ、私はお茶をかけられた事怒ってないわ」
と説明し始めた。
なんて人だ…でも否定する証拠がない。
「まずは、そのお茶を調べる、誰も触らないように」
とシルベルト様がフラン様に命令して台車ごと扉から出て言った。
「今日は半数の事情を聞く。制服が濡れた者は、風邪をひいたら大変だ。明日話を聞こう。さぁ、部屋から先に帰っていいですよ」
そう言ったのは、いつのまにか扉に立っていた学園長だ。その端正な顔立ちに歓声のような騒ぎが生じた。しかし、生徒会メンバーが扉に誘導するとバラバラと何人も部屋から出て行く。
私は制服が濡れていないため残る。サクラさんがまた私を見た。
かなり自信たっぷりに、
「あら~、これ、クラード様が午前中にミンネに届けてくれた封筒じゃありませんか?大事そうに抱えて見せてくれませんでしたよね、皆さん?」
とサクラさんが机の下に落ちていた封筒をみんなに見えるよう高く上げた。
「そうです!見せてくれませんでした」
とクラスメイトの同意の声が聞こえた。
確かに言い争っていた時、そんな話になっていたと思うけど。
「わかった、それは預かる…」
とクラード様が言うと、サクラさんが、
「ご確認ください」
と随分と丁重に言って渡した。
「さぁ、事情聴取をしたい、半数は帰っていいよ」
とシルベルト様が言った。
しかしサクラさんは、足を動かさず、
「クラード様、今、その中身を確認してください」
とお願いした。
「なぜ?」
と聞き返していた。
「それは…なんか重要な…嫌な感じがするんです。私そういった気配に敏感で…だからミンネの様子もおかしいって気づけたんです」
と訴えていた。
…
…
明らかにあなたの言動の方がおかしい。動こうとしない彼女は、クラード殿下から目を離さない。
これはミンネの物じゃなくて、あなたが作為的に落とした証拠じゃないの?
「なぜ今君の前で見る必要がある?」
とクラード殿下がゆっくりサクラさんにわからすかのように言った。
「事情聴取がしたい。誰のかはあとで聞く。服が濡れた者は部屋から出て行って欲しい。これは、生徒会命令だよ」
と脅すように言った。
渋々出て行くサクラさんを見送った。一瞬睨みつけた気がしたけど。
「何があったかゆっくりでいい教えて欲しい」
とクラード殿下が言い、シルベルト様がその話を記載していく。
「わかりません、私、お茶を誰かにかけようなんて思っていなかったのに、急に目の前の人が憎くなって…、やらなきゃって思ってしまって…」
「そうです、私も、そんなこと考えたこともないのに急に体が勝手に動いたみたいな、感情も支配されたような」
「今は?」
と学園長が聞くと、
「「「大丈夫です」」」
と言った。
「覚えてないってことかな?その状況にあった時のこと」
と聞くと
「「「はい、気付いたらティーカップが空に…お茶をかけてしまって」」」
とみんな言った。
「ティアラ嬢は、お茶もかけられていないね。君は誰のお茶を飲んだの?」
と聞かれ、
まさか毒入りかもって思い、飲んだふりをしていたのをみんなの前で言うわけにはいかず、
「サクラさんが淹れてくれたのですが、少しお腹の調子が悪くて…飲んでないのです」
なんていうか居た堪れない雰囲気になってしまった。私はずっと怪しんでいたから飲まなかった。これをみんなに言っていたら…こんな事にはならなかった。
申し訳なく思う。
「わかった、みんな帰っていいよ。こちらの部屋は調査するからこのままで」
とクラード殿下に促されみんな部屋から出ていく。
最後に出た私は、
「ミンネはどこに連れて行かれたんですか?」
と聞けば
「医務室だ、一緒に行こう」
とシルベルト様に言われた。
すぐに向かおうとしたら、学園長から
「少し待って」
と声がかかった。
「封筒の中身を見てみませんか?」
と。
「サクラさんが見てと催促したものですよね。ミンネの物かだって怪しいですよ」
と言えば、
「そうだろうな、しかしそのままにも出来ない」
と言ってクラード様とフラン様が慎重に封筒から紙を取り出した。
それは、やっぱり黒魔術ぽい紋様が描かれていた。
そして命令文、『お茶をかける』
「なんか赤黒いな、見てるだけで気分が悪くなる」
確かに赤黒い…微かに鉄っぽい臭い。
「血…」
誰かが言った。
「まず、状態保全です。それを至急王宮の研究機関に回しましょう」
と学園長がハンカチで包んで持って行く。
あんな単純な命令で?
「魔法具で描いたってことか」
とログワット様が言った。
「血で書くのか、ならどこかその跡があるんじゃないか」
とクラード殿下の言葉で思い出した。
「サクラさん今日、左手の手首に包帯が見えました」
と言えば
「やっぱり自作自演だな、しかしクラスの半数を操れるってことか…怖いな。今日みんなの前で見せなかったことで明日も仕掛けてくるのではないか?」
とクラード様の懸念の通りかもしれない。
「でも彼女の目的は、聖女になれればいいんですよね?明日聖女に選ばれたことにすればいいじゃないですか?生徒会で」
と言えば、
「無理だ。聖杯の清めは厳粛にやると言われてすぐに教会側から許可がおりない」
とシルベルト様に言われたが、
「教会関係なく、生徒会として適当なイベントとしてです。落とし靴の姫君だって適当なイベントでしたよね」
と言うと、シルベルト様が考えながら
「偽を作るってことか。しかしすぐには無理だ」
と言われた。
「はい、何回か生徒会室に彼女を呼び寄せ、打ち合わせと言って荷物を検査したりすれば?その間に魔法具を取り上げられればいいのですけど」
と言えば、
「おや、随分悪い考えになっちゃったね、留学生を嵌めるなんてティアラ嬢!」
と廊下側から声がした。
「「シリル様!」」
「魔法具のことだけどトリウミ王国の王女から話を聞けたよ。刺繍針の形をしているペンだ。インクと血を混ぜて使ったと言っていた。幼なじみのサクラに盗られたそうだよ。多分身につけているんじゃないかな?だから聖女に選ばれた副賞は、採寸が必要な白のドレスはどうだろうか?」
と言った。
「戻られたんですか」
とシルベルト様が少し拗ねたように言うと、
「なんだいシル、嬉しく無さそうだね。里帰りも駄目なのかい?沢山話がしたかったのになぁ」
と笑って言う。
急にホッとした。
もう大丈夫じゃないかって勝手に思ってしまう。まだ何もやっていないのに。一人よりも二人、五人揃って生徒会なのかなって漠然と思ってしまった。皆様の声のトーンが明るくなったから。
「大丈夫か?ミンネ嬢の所に行こう。彼女も今不安になっている、君から説明してあげるのがきっといい」
とシルベルト様が私の横で言う。
「はい、先が見えるほど安心するんですね、ずっと気を張っていました。怖いしでも負けたくないって。私のせいでミンネに辛い思いをさせてしまったと思います。それも含めて謝ります。私もかなり自分勝手でした。色々知った気になって…」
と言えば、
「いや、君が動いて助かった者がいるのは忘れないで欲しい…」
と言われた。
何となく救われた。
ずっとこんなことに巻き込まれて最悪だと思っていたのに、自分勝手をし始めて、今日は後悔していたから。
「では、行こう」
「はい」
と二人で医務室に向かった。
とコソっとシルベルト様が言った。
ミンネが心配だ。それは間違いない。早く駆けつけたい…
でも、私がイリーネ様達も巻き込んでいるのに、私だけが逃げるわけにはいかない。
「みんなと共に事情聴取には応じます」
と小さな声で言った。
サクラさんは、クラード殿下と会話していた。とても満足そうな顔をしている。その顔が腹立たしい。
ログワット様が、
「いきなり全員に話を聞くわけにはいかないから、まずイリーネ嬢達には、先に帰ってもらって明日聞こうよ、別クラスだ、事情はわからないだろう、クラード様」
と呼びかけて、納得されイリーネ様達はまず部屋から出た。
目だけで謝罪をした。文句は後ほど聞こう。
サクラさんのテーブルの人達からは、ミンネの怪しい言動が次から次と伝えられた。
「ミンネ…」
何故突然刃がミンネに向かったのか、みんなと仲良くしていたはずだったし、そんなことを言われる子じゃないのに。
「たまに、一緒にいたはずだったのにいなくなっていたり、そういう時にカミューラ様達に意地悪をされたり…」
「私が、階段でカミューラ様から突き飛ばされた時、生徒会室に伺う時だって、ミンネは行かない方がいいみたいなことを言いました。
…もしかしたら、カミューラ様とも通じていて証拠隠しをしていたのかも」
「確かに怪しかったわ。ティアラ様が生徒会の皆さんと仲が良いことも妬んで、私達に仲間外れを持ち掛けてきたのはミンネなんです」
…
なんでそんな出鱈目ばかり。
「人の気持ちを操るのが上手かったわよね~」
と扇動するサクラさん。
ティーカップを片手に持ち、座り込んでいた子達が正気を取り戻したみたいにキョロキョロしてから、軽い悲鳴をあげた。
自分がした事を思い出したみたいに。その子達に
「大変だったわね、あなた達、ミンネの入れたお茶を飲んだばっかりに操られたのよ、私はお茶をかけられた事怒ってないわ」
と説明し始めた。
なんて人だ…でも否定する証拠がない。
「まずは、そのお茶を調べる、誰も触らないように」
とシルベルト様がフラン様に命令して台車ごと扉から出て言った。
「今日は半数の事情を聞く。制服が濡れた者は、風邪をひいたら大変だ。明日話を聞こう。さぁ、部屋から先に帰っていいですよ」
そう言ったのは、いつのまにか扉に立っていた学園長だ。その端正な顔立ちに歓声のような騒ぎが生じた。しかし、生徒会メンバーが扉に誘導するとバラバラと何人も部屋から出て行く。
私は制服が濡れていないため残る。サクラさんがまた私を見た。
かなり自信たっぷりに、
「あら~、これ、クラード様が午前中にミンネに届けてくれた封筒じゃありませんか?大事そうに抱えて見せてくれませんでしたよね、皆さん?」
とサクラさんが机の下に落ちていた封筒をみんなに見えるよう高く上げた。
「そうです!見せてくれませんでした」
とクラスメイトの同意の声が聞こえた。
確かに言い争っていた時、そんな話になっていたと思うけど。
「わかった、それは預かる…」
とクラード様が言うと、サクラさんが、
「ご確認ください」
と随分と丁重に言って渡した。
「さぁ、事情聴取をしたい、半数は帰っていいよ」
とシルベルト様が言った。
しかしサクラさんは、足を動かさず、
「クラード様、今、その中身を確認してください」
とお願いした。
「なぜ?」
と聞き返していた。
「それは…なんか重要な…嫌な感じがするんです。私そういった気配に敏感で…だからミンネの様子もおかしいって気づけたんです」
と訴えていた。
…
…
明らかにあなたの言動の方がおかしい。動こうとしない彼女は、クラード殿下から目を離さない。
これはミンネの物じゃなくて、あなたが作為的に落とした証拠じゃないの?
「なぜ今君の前で見る必要がある?」
とクラード殿下がゆっくりサクラさんにわからすかのように言った。
「事情聴取がしたい。誰のかはあとで聞く。服が濡れた者は部屋から出て行って欲しい。これは、生徒会命令だよ」
と脅すように言った。
渋々出て行くサクラさんを見送った。一瞬睨みつけた気がしたけど。
「何があったかゆっくりでいい教えて欲しい」
とクラード殿下が言い、シルベルト様がその話を記載していく。
「わかりません、私、お茶を誰かにかけようなんて思っていなかったのに、急に目の前の人が憎くなって…、やらなきゃって思ってしまって…」
「そうです、私も、そんなこと考えたこともないのに急に体が勝手に動いたみたいな、感情も支配されたような」
「今は?」
と学園長が聞くと、
「「「大丈夫です」」」
と言った。
「覚えてないってことかな?その状況にあった時のこと」
と聞くと
「「「はい、気付いたらティーカップが空に…お茶をかけてしまって」」」
とみんな言った。
「ティアラ嬢は、お茶もかけられていないね。君は誰のお茶を飲んだの?」
と聞かれ、
まさか毒入りかもって思い、飲んだふりをしていたのをみんなの前で言うわけにはいかず、
「サクラさんが淹れてくれたのですが、少しお腹の調子が悪くて…飲んでないのです」
なんていうか居た堪れない雰囲気になってしまった。私はずっと怪しんでいたから飲まなかった。これをみんなに言っていたら…こんな事にはならなかった。
申し訳なく思う。
「わかった、みんな帰っていいよ。こちらの部屋は調査するからこのままで」
とクラード殿下に促されみんな部屋から出ていく。
最後に出た私は、
「ミンネはどこに連れて行かれたんですか?」
と聞けば
「医務室だ、一緒に行こう」
とシルベルト様に言われた。
すぐに向かおうとしたら、学園長から
「少し待って」
と声がかかった。
「封筒の中身を見てみませんか?」
と。
「サクラさんが見てと催促したものですよね。ミンネの物かだって怪しいですよ」
と言えば、
「そうだろうな、しかしそのままにも出来ない」
と言ってクラード様とフラン様が慎重に封筒から紙を取り出した。
それは、やっぱり黒魔術ぽい紋様が描かれていた。
そして命令文、『お茶をかける』
「なんか赤黒いな、見てるだけで気分が悪くなる」
確かに赤黒い…微かに鉄っぽい臭い。
「血…」
誰かが言った。
「まず、状態保全です。それを至急王宮の研究機関に回しましょう」
と学園長がハンカチで包んで持って行く。
あんな単純な命令で?
「魔法具で描いたってことか」
とログワット様が言った。
「血で書くのか、ならどこかその跡があるんじゃないか」
とクラード殿下の言葉で思い出した。
「サクラさん今日、左手の手首に包帯が見えました」
と言えば
「やっぱり自作自演だな、しかしクラスの半数を操れるってことか…怖いな。今日みんなの前で見せなかったことで明日も仕掛けてくるのではないか?」
とクラード様の懸念の通りかもしれない。
「でも彼女の目的は、聖女になれればいいんですよね?明日聖女に選ばれたことにすればいいじゃないですか?生徒会で」
と言えば、
「無理だ。聖杯の清めは厳粛にやると言われてすぐに教会側から許可がおりない」
とシルベルト様に言われたが、
「教会関係なく、生徒会として適当なイベントとしてです。落とし靴の姫君だって適当なイベントでしたよね」
と言うと、シルベルト様が考えながら
「偽を作るってことか。しかしすぐには無理だ」
と言われた。
「はい、何回か生徒会室に彼女を呼び寄せ、打ち合わせと言って荷物を検査したりすれば?その間に魔法具を取り上げられればいいのですけど」
と言えば、
「おや、随分悪い考えになっちゃったね、留学生を嵌めるなんてティアラ嬢!」
と廊下側から声がした。
「「シリル様!」」
「魔法具のことだけどトリウミ王国の王女から話を聞けたよ。刺繍針の形をしているペンだ。インクと血を混ぜて使ったと言っていた。幼なじみのサクラに盗られたそうだよ。多分身につけているんじゃないかな?だから聖女に選ばれた副賞は、採寸が必要な白のドレスはどうだろうか?」
と言った。
「戻られたんですか」
とシルベルト様が少し拗ねたように言うと、
「なんだいシル、嬉しく無さそうだね。里帰りも駄目なのかい?沢山話がしたかったのになぁ」
と笑って言う。
急にホッとした。
もう大丈夫じゃないかって勝手に思ってしまう。まだ何もやっていないのに。一人よりも二人、五人揃って生徒会なのかなって漠然と思ってしまった。皆様の声のトーンが明るくなったから。
「大丈夫か?ミンネ嬢の所に行こう。彼女も今不安になっている、君から説明してあげるのがきっといい」
とシルベルト様が私の横で言う。
「はい、先が見えるほど安心するんですね、ずっと気を張っていました。怖いしでも負けたくないって。私のせいでミンネに辛い思いをさせてしまったと思います。それも含めて謝ります。私もかなり自分勝手でした。色々知った気になって…」
と言えば、
「いや、君が動いて助かった者がいるのは忘れないで欲しい…」
と言われた。
何となく救われた。
ずっとこんなことに巻き込まれて最悪だと思っていたのに、自分勝手をし始めて、今日は後悔していたから。
「では、行こう」
「はい」
と二人で医務室に向かった。
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