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51学園長
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サクラさんみたいに、自分からこの本の通りになろうと近づいていっているのは、カミューラ様の言うヒロインであり続けたいからなのか?
クラード殿下との仲を深めたいのだろうか?
グタグタと考えてしまう。
徹夜明けのまま登校する。もちろん四冊の本を持っていく。
私の結論は、魔法?なんてありえないだ。でもそれは、私が知らないからかもしれない。
誰かに聞いてみなければ…
昨日聞いた「セレナさんの術」みたいなものと位置付ければ、実際操られた方には、思うところがあるのかもしれないし、まずは、シルベルト様に聞いてみようと思った。
ここまで来てしまうと気になってしまう。
「私ってこんな風だったかしら?毎日同じように学園に行き、家の手伝いをして、人の噂話も興味は薄かったと思っていたのに」
本を持って生徒会室に行こうと思えば校内は騒がしかった。どこもかしこも固まりを作り、話している状態。
聞こえてきたのは、王位継承権、王太子見直し、学園長の事…
あぁ、そうか昨日クラード殿下自ら言っていたし、もう噂になっていてもおかしくはない。私は、ブランカ先輩の事でいっぱいになってしまって、父様にさえ王子のことを言っていない。
「これは、朝から生徒会室なんて行ける雰囲気ではなさそう」
と諦め、まずは教室に入る。
小声で
「おはようございます」
と言えば、チラッとこちらを見て
「「おはようございます」」
とは聞こえた。
挨拶は返ってきて安心した。無視はキツイ。
私に寄ってきてくれる人はいないけど。
昨日の今日で印象は変わらないらしい。
ただ明らかな敵対発言がないだけ良かったと思う。
本当はミンネとも話したいが、まだ来ていないし。
廊下からタイミングよくサクラさんの声が聞こえた。
「お願い、ミンネ、ブランカさんの所に行きましょう。彼女なら何か知っているはずよ、新聞部でしょう」
「だから、何度も言っているでしょう。私は新聞部でもないし、学園に新聞部なんてないの。ブランカ様もよく知らないし、クラード殿下のことだって生徒会長としか知らないのよ」
と教室に入るなり声を荒げた。
「なんでよ、そういうフリしてブランカに協力していたんでしょう、カミューラの悪事を暴く証拠集めとか、もうフリとかしなくていいから~、今は何故違うのかを聞きたいのよ」
とサクラさんがミンネに纏わりつき、教室に入っても揉めている。
ミンネがチラッと私を見たが、呆れた感じで、席に座る。
「サクラ、敬称はつけなきゃ、トリウミ王国ではオープンでもここでは、流石に先輩だし駄目だよ」
と側にいたクラスメイトが注意した。
私は耳を澄ましていた。
サクラさんはやっぱりあの本通りがこの学園で起きていると信じている。
注意されたクラスメイトに、また、カミューラの仲間とか意地悪モブとか言うのかと…思っていたが、サクラさんは言わなかった。流石にこの状況を見たらしい。
突然ペコリと頭を下げて、
「あぁ、ごめんなさい。みんな。今日の王位継承権の噂を聞いたら、びっくりしちゃって…ほら、クラード様ってカミューラ様の婚約者だったでしょう。もしかして、カミューラ様が悪事をしたから、クラード様に実害が出て、そんな噂が流れたんじゃないかって心配になってて」
と言うとミンネが、少し大きな声で、
「それとどうブランカ様が関係しているわけ?初日からブランカ様に会いたいって言っているわよね?」
と問い詰めた。
それはまるで私にも聞かせてくれる為みたいだった。
サクラさんは、手を動かしながら、
「そ、それは、市井ではブランカさんの書いた本が出ていたりセレナさんの話とか色々発表しているじゃない。私ファンなの!!だから裏話とかさらに深掘りで聞きたいのよ。言い方が悪かったわ、怒らないでよ~ミンネ」
と最後猫撫で声を出した。
うーーん
気持ち悪い。
何だろう、この身体が受け付けない感じ。何でみんなこれが平気なんだろう?
ジットリ見てしまった。
「あら、ティアラ様もお話に加わりたいのかしら?」
とクラスメイトに言われてしまった。
「失礼しましたわ」
と一言だけ言って前を見た。
あちらを見ていないけど、サクラさんは、どうにか仲を修復したみたいだった。
一度ブランカ先輩の教室に確認にいけば、お休みだった。その時生徒会メンバーもお休みという事が聞こえた。
こんな気になることが多いのに、誰にも会えないなんて、タイミングが悪いとがっかりする。
お昼休みに仕方なく本をもって、図書室に行く。もしカミューラ様がいたならと願いを込めて。
しかし、誰もいなかった。
司書の先生だけ…。
知りたい気持ちや話したい気持ちがある時に肩透かしの状態は辛い。
「あぁ、ティアラさん、あのね、先日借りて行った本、トリウミ王国の本なんだけど返却お願いできないかしら?」
「まだ返却期限は、一ヶ月近くありますよね?だってつい先日ですものお借りしたのは」
と言えば
「そうなんだけど、学園長が今度の全校集会でトリウミ王国の話を引用して話したいっとおしゃっていて。出来れば一旦戻してもらって、再度借りてもらいたいと」
と司書の方も申し訳なさそうに言う。学園長だし、今日話題の王太子兄だものね。
…
困ったこれじゃ誰にも相談できないままだし、今持ってきてしまったという、タイミング的に合ってしまっている。
ジッと私の袋を見ている司書の方。
多分気づかれている。
「確かに今日持ってきましたけど…紙とペンを借りていいですか?」
「えぇ…」
空いている席につく。
聖杯のシーンがラストページ、もし本当にこのイベントがあるならと思い箇条書きで紙に写す。
図書室に誰か入ってきた。扉を見れば、話題の人物だ。
なんでこんな時に…
慌てて書いた物を片付ける。私ではなく司書の方に向かっている隙に。
「こんにちは、えっとティアラさんだったかな」
穏やかな声とスッとした立ち振る舞い。
「はい、学園長…」
「良かった、君にお願いがあったんだと、司書の人から聞いたんだね、すぐに持ってきてくれて助かるよ」
決して命令や威圧感を出すわけではないのに、私を真っ直ぐに見て、断らせない強かさがある。
「あ、はい」
「あれ、何か書いていたのかい?」
「いいえ」
「でもペンが横向きに倒れているよ」
「あぁ、これは誰かの忘れ物ではないですかね。私も返却を促されて休み時間の間に少しでも読んで返そうと思いまして…」
「あぁそうだね、借りたばかりじゃ読み切れないよね。興味がある話はあったかな?」
と聞かれて、
「特に…」
と答えれば、
「そう…おかしいと思いませんか?こんな物語がそのままになっているなんて」
と学園長は、私の疑問を突いてきた。本の内容を知っている…
そして私を試している?
「それは…たまたま。私も全部を読んだわけじゃないので似ているなという…」
と嘘の言い訳をしてしまった。
「本当に不思議だよ…」
と言った学園長は、どこか悲しそうな顔になった。
「学園長は、物語の通りに進むのは決められた話を誰かがやらされていると思いますか?そんな力があるんですか?学園長は話を知って、どうしようと考えてますか?」
と一気に聞くと、
「ん?話していることが、わからないですね。力があるなら、私は、自分の場所を守る為に目障りなものは消えてもらいたいなと考えますね。誰でも自分にマイナスになるようなことはしないでしょう?結末がわかっているなら尚更」
と私を初めて責めるような視線を見せた。
「それは…結末を変えたってことですか?」
と自分でも驚くぐらい声が小さくなった。
「本に書かれた結末は変わらないでしょう。ただ今見ている世界が物語ではないというだけ、当たり前の話ですよ。あなたは今、物語を歩いていると思ってますか?」
と言われ、否定した。
「ただ知り合いの名前が出てきたりして」
と言えば、
「では、もう少し黙って成り行きを見たらいかがですか?私が見たあなたは、一歩引き下がって周りを見ているのに誰かに手を無理矢理引かれ、舞台に上げられる人と印象でした。自分が引き上げられるのを待ってみたらどうですか?」
「それは、どういう意味ですか?何もするなと言われてますか?」
と言えば、学園長は肩をすくめ優しく笑った。それは、やっぱりクランさんの笑い方だった。
「やはり学園長はクランさんですね?」
と言えば、
「すぐ返却するようにするよ、ティアラさん悪かったね」
と何もないように四冊の本を持って行ってしまった。
一つだけわかったことがある、私は始めからクランさんに相手(恋愛)にされてない…
クラード殿下との仲を深めたいのだろうか?
グタグタと考えてしまう。
徹夜明けのまま登校する。もちろん四冊の本を持っていく。
私の結論は、魔法?なんてありえないだ。でもそれは、私が知らないからかもしれない。
誰かに聞いてみなければ…
昨日聞いた「セレナさんの術」みたいなものと位置付ければ、実際操られた方には、思うところがあるのかもしれないし、まずは、シルベルト様に聞いてみようと思った。
ここまで来てしまうと気になってしまう。
「私ってこんな風だったかしら?毎日同じように学園に行き、家の手伝いをして、人の噂話も興味は薄かったと思っていたのに」
本を持って生徒会室に行こうと思えば校内は騒がしかった。どこもかしこも固まりを作り、話している状態。
聞こえてきたのは、王位継承権、王太子見直し、学園長の事…
あぁ、そうか昨日クラード殿下自ら言っていたし、もう噂になっていてもおかしくはない。私は、ブランカ先輩の事でいっぱいになってしまって、父様にさえ王子のことを言っていない。
「これは、朝から生徒会室なんて行ける雰囲気ではなさそう」
と諦め、まずは教室に入る。
小声で
「おはようございます」
と言えば、チラッとこちらを見て
「「おはようございます」」
とは聞こえた。
挨拶は返ってきて安心した。無視はキツイ。
私に寄ってきてくれる人はいないけど。
昨日の今日で印象は変わらないらしい。
ただ明らかな敵対発言がないだけ良かったと思う。
本当はミンネとも話したいが、まだ来ていないし。
廊下からタイミングよくサクラさんの声が聞こえた。
「お願い、ミンネ、ブランカさんの所に行きましょう。彼女なら何か知っているはずよ、新聞部でしょう」
「だから、何度も言っているでしょう。私は新聞部でもないし、学園に新聞部なんてないの。ブランカ様もよく知らないし、クラード殿下のことだって生徒会長としか知らないのよ」
と教室に入るなり声を荒げた。
「なんでよ、そういうフリしてブランカに協力していたんでしょう、カミューラの悪事を暴く証拠集めとか、もうフリとかしなくていいから~、今は何故違うのかを聞きたいのよ」
とサクラさんがミンネに纏わりつき、教室に入っても揉めている。
ミンネがチラッと私を見たが、呆れた感じで、席に座る。
「サクラ、敬称はつけなきゃ、トリウミ王国ではオープンでもここでは、流石に先輩だし駄目だよ」
と側にいたクラスメイトが注意した。
私は耳を澄ましていた。
サクラさんはやっぱりあの本通りがこの学園で起きていると信じている。
注意されたクラスメイトに、また、カミューラの仲間とか意地悪モブとか言うのかと…思っていたが、サクラさんは言わなかった。流石にこの状況を見たらしい。
突然ペコリと頭を下げて、
「あぁ、ごめんなさい。みんな。今日の王位継承権の噂を聞いたら、びっくりしちゃって…ほら、クラード様ってカミューラ様の婚約者だったでしょう。もしかして、カミューラ様が悪事をしたから、クラード様に実害が出て、そんな噂が流れたんじゃないかって心配になってて」
と言うとミンネが、少し大きな声で、
「それとどうブランカ様が関係しているわけ?初日からブランカ様に会いたいって言っているわよね?」
と問い詰めた。
それはまるで私にも聞かせてくれる為みたいだった。
サクラさんは、手を動かしながら、
「そ、それは、市井ではブランカさんの書いた本が出ていたりセレナさんの話とか色々発表しているじゃない。私ファンなの!!だから裏話とかさらに深掘りで聞きたいのよ。言い方が悪かったわ、怒らないでよ~ミンネ」
と最後猫撫で声を出した。
うーーん
気持ち悪い。
何だろう、この身体が受け付けない感じ。何でみんなこれが平気なんだろう?
ジットリ見てしまった。
「あら、ティアラ様もお話に加わりたいのかしら?」
とクラスメイトに言われてしまった。
「失礼しましたわ」
と一言だけ言って前を見た。
あちらを見ていないけど、サクラさんは、どうにか仲を修復したみたいだった。
一度ブランカ先輩の教室に確認にいけば、お休みだった。その時生徒会メンバーもお休みという事が聞こえた。
こんな気になることが多いのに、誰にも会えないなんて、タイミングが悪いとがっかりする。
お昼休みに仕方なく本をもって、図書室に行く。もしカミューラ様がいたならと願いを込めて。
しかし、誰もいなかった。
司書の先生だけ…。
知りたい気持ちや話したい気持ちがある時に肩透かしの状態は辛い。
「あぁ、ティアラさん、あのね、先日借りて行った本、トリウミ王国の本なんだけど返却お願いできないかしら?」
「まだ返却期限は、一ヶ月近くありますよね?だってつい先日ですものお借りしたのは」
と言えば
「そうなんだけど、学園長が今度の全校集会でトリウミ王国の話を引用して話したいっとおしゃっていて。出来れば一旦戻してもらって、再度借りてもらいたいと」
と司書の方も申し訳なさそうに言う。学園長だし、今日話題の王太子兄だものね。
…
困ったこれじゃ誰にも相談できないままだし、今持ってきてしまったという、タイミング的に合ってしまっている。
ジッと私の袋を見ている司書の方。
多分気づかれている。
「確かに今日持ってきましたけど…紙とペンを借りていいですか?」
「えぇ…」
空いている席につく。
聖杯のシーンがラストページ、もし本当にこのイベントがあるならと思い箇条書きで紙に写す。
図書室に誰か入ってきた。扉を見れば、話題の人物だ。
なんでこんな時に…
慌てて書いた物を片付ける。私ではなく司書の方に向かっている隙に。
「こんにちは、えっとティアラさんだったかな」
穏やかな声とスッとした立ち振る舞い。
「はい、学園長…」
「良かった、君にお願いがあったんだと、司書の人から聞いたんだね、すぐに持ってきてくれて助かるよ」
決して命令や威圧感を出すわけではないのに、私を真っ直ぐに見て、断らせない強かさがある。
「あ、はい」
「あれ、何か書いていたのかい?」
「いいえ」
「でもペンが横向きに倒れているよ」
「あぁ、これは誰かの忘れ物ではないですかね。私も返却を促されて休み時間の間に少しでも読んで返そうと思いまして…」
「あぁそうだね、借りたばかりじゃ読み切れないよね。興味がある話はあったかな?」
と聞かれて、
「特に…」
と答えれば、
「そう…おかしいと思いませんか?こんな物語がそのままになっているなんて」
と学園長は、私の疑問を突いてきた。本の内容を知っている…
そして私を試している?
「それは…たまたま。私も全部を読んだわけじゃないので似ているなという…」
と嘘の言い訳をしてしまった。
「本当に不思議だよ…」
と言った学園長は、どこか悲しそうな顔になった。
「学園長は、物語の通りに進むのは決められた話を誰かがやらされていると思いますか?そんな力があるんですか?学園長は話を知って、どうしようと考えてますか?」
と一気に聞くと、
「ん?話していることが、わからないですね。力があるなら、私は、自分の場所を守る為に目障りなものは消えてもらいたいなと考えますね。誰でも自分にマイナスになるようなことはしないでしょう?結末がわかっているなら尚更」
と私を初めて責めるような視線を見せた。
「それは…結末を変えたってことですか?」
と自分でも驚くぐらい声が小さくなった。
「本に書かれた結末は変わらないでしょう。ただ今見ている世界が物語ではないというだけ、当たり前の話ですよ。あなたは今、物語を歩いていると思ってますか?」
と言われ、否定した。
「ただ知り合いの名前が出てきたりして」
と言えば、
「では、もう少し黙って成り行きを見たらいかがですか?私が見たあなたは、一歩引き下がって周りを見ているのに誰かに手を無理矢理引かれ、舞台に上げられる人と印象でした。自分が引き上げられるのを待ってみたらどうですか?」
「それは、どういう意味ですか?何もするなと言われてますか?」
と言えば、学園長は肩をすくめ優しく笑った。それは、やっぱりクランさんの笑い方だった。
「やはり学園長はクランさんですね?」
と言えば、
「すぐ返却するようにするよ、ティアラさん悪かったね」
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